機会あって同期と食べた加須のうどん。
冷汁うどんセットである。
窓の向こうにはお寺が見える。
その昔、鬼島にいる白竜を退治したがゆえに創建されたとの伝説がある。
写真を撮るつもりはなかったが、
ついカメラを向けてパチリ。
約10年ぶりに食べるその店のうどんだ。
ちょっとだけ感慨深い。
透き通るような白いうどんの向こうに、
10年前がかすんで見える。
目を細めれば、これから先の10年が見えるだろうか。
過去と比べて環境が変わっているように、
10年後にはいまは知らない誰かがそばにいるのかもしれない。
月日の流れは年を追うごとに早くなっていく。
否応なく変わっていくのは、
何も環境だけではないだろう。
うどんはツルツル入って、のど越しがおいしい。
天ぷらもサクサクだ。
隣の男子はカレーうどんに唐辛子をかけていた。
なるほど、夏らしい。
今後はカレーうどんを食べてみようかな、と
お新香を頬張りながら思う。
店内は客で賑わっていた。
常連がほとんどかもしれない。
部活帰りとおぼしき高校生が入ってくる。
入れ違うようにぼくらは席を立つ。
テレビは甲子園の試合を映し出していた。
夏の終わり、同期、10年ぶりに食べるうどん、唐辛子、甲子園……。
何の脈絡もなく見えるパズルが組み合わさって1つの絵を描く。
この瞬間に組み合わさることは、
10年前から決まっていたのかもしれない。
推理小説に仕組まれた伏線が、やがて意味を持つように。
外へ出れば容赦ない日射しが照りつける。
道路向こうの境内を見ても、
かつて鬼島のあった頃の面影はない。
いま白竜が現れたら、
その目に夏空はどう映るのだろう。
誰かに呼ばれた気がして振り向く。
でも、そこには誰もいない。
セミの声が10年前と同じように響いていた。
冷汁うどんセットである。
窓の向こうにはお寺が見える。
その昔、鬼島にいる白竜を退治したがゆえに創建されたとの伝説がある。
写真を撮るつもりはなかったが、
ついカメラを向けてパチリ。
約10年ぶりに食べるその店のうどんだ。
ちょっとだけ感慨深い。
透き通るような白いうどんの向こうに、
10年前がかすんで見える。
目を細めれば、これから先の10年が見えるだろうか。
過去と比べて環境が変わっているように、
10年後にはいまは知らない誰かがそばにいるのかもしれない。
月日の流れは年を追うごとに早くなっていく。
否応なく変わっていくのは、
何も環境だけではないだろう。
うどんはツルツル入って、のど越しがおいしい。
天ぷらもサクサクだ。
隣の男子はカレーうどんに唐辛子をかけていた。
なるほど、夏らしい。
今後はカレーうどんを食べてみようかな、と
お新香を頬張りながら思う。
店内は客で賑わっていた。
常連がほとんどかもしれない。
部活帰りとおぼしき高校生が入ってくる。
入れ違うようにぼくらは席を立つ。
テレビは甲子園の試合を映し出していた。
夏の終わり、同期、10年ぶりに食べるうどん、唐辛子、甲子園……。
何の脈絡もなく見えるパズルが組み合わさって1つの絵を描く。
この瞬間に組み合わさることは、
10年前から決まっていたのかもしれない。
推理小説に仕組まれた伏線が、やがて意味を持つように。
外へ出れば容赦ない日射しが照りつける。
道路向こうの境内を見ても、
かつて鬼島のあった頃の面影はない。
いま白竜が現れたら、
その目に夏空はどう映るのだろう。
誰かに呼ばれた気がして振り向く。
でも、そこには誰もいない。
セミの声が10年前と同じように響いていた。
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