クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

羽生を散策しませんか?(3) ―郷土資料館Ⅱ―

2008年03月11日 | ふるさと歴史探訪の部屋
羽生市立郷土資料館の入り口には、
輪切りにされた樹木が展示されている。
Sさんはその前に立ち「あら」と言った。
「これは何?」

その大きさは、幼い子どもの背丈以上ある。
長い間そこに展示されていて、
見慣れてしまうと何てことはないが、
初めて見る人には目立つかもしれない。

「須影のクロマツです」と、ぼくは答えた。
羽生市内に須影(すかげ)という地区がある。
近年、イオンモールが進出し、変貌著しい地域だ。
そこに鎮座するのが八幡神社で、
その境内にかつて黒松が立っていた。

「とても大きな松だったんです。源頼朝の旗かけの松とも言われていました」
巨木には伝説がつきものである。
源頼朝が奥州征伐へ行く途中、
松に旗をかけて戦勝祈願をしたと言われている。

あるいは、源義経を追ってきた弁慶は当社で休み、
ついてきた松の杖を境内にさしたところ、
やがて根付いて大きな木に成長したという伝説もある。
弁慶が残した足跡は池となり、
ゆえに神社周辺の田んぼは「足跡田」(あしっこた)と呼ばれたという。

「あしっこたは足の形をしているのかしら?」と、Sさんは言った。
「耕地整理がされる前は、似た形はあったかもしれませんね」
八幡神社周辺にはいまでも田んぼが広がっているが、
いずれも耕地整理がされている。
「弁慶さんの足はとても大きかったのね」
と、Sさんは可笑しそうに言った。
(続く)

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