8時に図書館が閉館し、何とはなしに海を見に行こうと思った。
ただの思い付きである。
高速道路に乗って南へ向かう。
ぼくの車にカーナビはない。
地図が1冊あるだけ。
計画もない。
ただ、海を見に行こう思っただけ。
首都高で15分ほど渋滞に巻き込まれたものの、
ノンストップで車を走らせる。
そして着いたのは江ノ島。
移動時間は2時間半くらいだったか。
むろん、暗い。
江ノ島も海も夜闇に包まれている。
島への道は封鎖されていて、行くことはできない。
浜辺に下りて、暗い海を眺めた。
風が強い。
潮の香りが吹き抜けていく。
波も高い。
車内にはプールで使っているゴーグルや水着があるのだが、
海に入ればそのまま彼岸まで行ってしまうだろう。
とはいえ、海の誘惑には抗えない。
膝まで海に浸かる。
暗い海から手が伸びて、思わず引き込まれそうだ。
海水は温かい。
ゴーグルが呼んでいたが、耳を貸さなかった。
夜の11時をまわっても、浜辺には人の姿がポツリポツリとあった。
みんな若い。
カップルや友だち連れがほとんどで、1人で海に佇んでいる姿はどこにもない。
20歳前後の頃、友人が茅ヶ崎に住んでいた。
何度か遊びに行き、トランクス姿で海にも入った。
女の子もいたのに何の恥じらいもなかったのは、
そこに海が広がっていたからだと思う。
彼が学校を卒業してからも深夜に茅ヶ崎へ行き、
一緒にラーメンを食べたことがある。
あの店はいまでもやっているのだろうか。
もう一度食べたかったが、どこの何という店かも知らず、
ヒントがあまりになさすぎて諦めた。
江ノ島の灯台が音もなく光っていた。
海のずっと遠くで船の明かりが瞬いている。
この地が積み重ねてきた長い歴史を想う。
波音が時の流れのように響いていた。
ただの思い付きである。
高速道路に乗って南へ向かう。
ぼくの車にカーナビはない。
地図が1冊あるだけ。
計画もない。
ただ、海を見に行こう思っただけ。
首都高で15分ほど渋滞に巻き込まれたものの、
ノンストップで車を走らせる。
そして着いたのは江ノ島。
移動時間は2時間半くらいだったか。
むろん、暗い。
江ノ島も海も夜闇に包まれている。
島への道は封鎖されていて、行くことはできない。
浜辺に下りて、暗い海を眺めた。
風が強い。
潮の香りが吹き抜けていく。
波も高い。
車内にはプールで使っているゴーグルや水着があるのだが、
海に入ればそのまま彼岸まで行ってしまうだろう。
とはいえ、海の誘惑には抗えない。
膝まで海に浸かる。
暗い海から手が伸びて、思わず引き込まれそうだ。
海水は温かい。
ゴーグルが呼んでいたが、耳を貸さなかった。
夜の11時をまわっても、浜辺には人の姿がポツリポツリとあった。
みんな若い。
カップルや友だち連れがほとんどで、1人で海に佇んでいる姿はどこにもない。
20歳前後の頃、友人が茅ヶ崎に住んでいた。
何度か遊びに行き、トランクス姿で海にも入った。
女の子もいたのに何の恥じらいもなかったのは、
そこに海が広がっていたからだと思う。
彼が学校を卒業してからも深夜に茅ヶ崎へ行き、
一緒にラーメンを食べたことがある。
あの店はいまでもやっているのだろうか。
もう一度食べたかったが、どこの何という店かも知らず、
ヒントがあまりになさすぎて諦めた。
江ノ島の灯台が音もなく光っていた。
海のずっと遠くで船の明かりが瞬いている。
この地が積み重ねてきた長い歴史を想う。
波音が時の流れのように響いていた。
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