クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

気ままに行く夜の江ノ島は? ―1人さんぽ―

2014年08月14日 | 歴史さんぽ部屋
8時に図書館が閉館し、何とはなしに海を見に行こうと思った。
ただの思い付きである。
高速道路に乗って南へ向かう。

ぼくの車にカーナビはない。
地図が1冊あるだけ。
計画もない。
ただ、海を見に行こう思っただけ。

首都高で15分ほど渋滞に巻き込まれたものの、
ノンストップで車を走らせる。
そして着いたのは江ノ島。
移動時間は2時間半くらいだったか。

むろん、暗い。
江ノ島も海も夜闇に包まれている。
島への道は封鎖されていて、行くことはできない。
浜辺に下りて、暗い海を眺めた。

風が強い。
潮の香りが吹き抜けていく。
波も高い。
車内にはプールで使っているゴーグルや水着があるのだが、
海に入ればそのまま彼岸まで行ってしまうだろう。

とはいえ、海の誘惑には抗えない。
膝まで海に浸かる。
暗い海から手が伸びて、思わず引き込まれそうだ。
海水は温かい。
ゴーグルが呼んでいたが、耳を貸さなかった。

夜の11時をまわっても、浜辺には人の姿がポツリポツリとあった。
みんな若い。
カップルや友だち連れがほとんどで、1人で海に佇んでいる姿はどこにもない。

20歳前後の頃、友人が茅ヶ崎に住んでいた。
何度か遊びに行き、トランクス姿で海にも入った。
女の子もいたのに何の恥じらいもなかったのは、
そこに海が広がっていたからだと思う。

彼が学校を卒業してからも深夜に茅ヶ崎へ行き、
一緒にラーメンを食べたことがある。
あの店はいまでもやっているのだろうか。
もう一度食べたかったが、どこの何という店かも知らず、
ヒントがあまりになさすぎて諦めた。

江ノ島の灯台が音もなく光っていた。
海のずっと遠くで船の明かりが瞬いている。
この地が積み重ねてきた長い歴史を想う。
波音が時の流れのように響いていた。

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