クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

松岡昌宏版の「天と地と」をどうツッコむ?

2008年01月07日 | レビュー部屋
――つっこみどころの多いドラマ。
松岡昌宏が時代劇初主演となる「天と地と」(テレビ朝日)が、
1月6日に放送されました。
脚本はジェームズ三木。
“上杉謙信”役は松岡昌宏、
宿敵“武田信玄”役は渡部篤郎でした。

大河ドラマ「風林火山」を意識しての制作だったのでしょうか。
武田家の重臣で登場したのは“山本勘助”のみ。
1年間通して放送した「風林火山」に対し、
「天と地と」は約2時間番組です。
その内容の薄さは否めません。

総じて「天と地と」で描いたのは、謙信の恋と武田信玄との戦いでしょう。
宇佐美定行の娘“ナミ”(木村佳乃)に心を寄せる謙信は、
「風林火山」にはなかった要素です。
毘沙門天の化身と言われた謙信と雖も、血の通った人間。
生涯不犯を通したと伝えられますが、
若い頃は恋のひとつやふたつはあったことでしょう。

ところで、「天と地と」はその中身よりも、
総じて細部が目に付くドラマでした。
登場人物たちの背後に見える仰々しい“石垣”や“天守閣”。
しかも城は鬱蒼とした樹木に覆われ、
雪が降っているのに木の葉はみずみずしい緑色。
絢爛豪華な城を背後にした謙信は、
まるで江戸時代の大名のよう……。

昨年の今頃は万俵家の主として君臨していた北大路欣也は、
特撮戦隊物のごとく毘沙門天の姿で登場。
道には自動車が通ったような轍がくっくり残り、
第4次川中島合戦では信玄は出家前の「晴信」の名で呼ばれていました。

あまつさえ、チャンバラ時代劇のように“刀”で切り倒していく武将たち。
謙信があえて信玄を討たずに立ち去る一騎討ち。
創作を前提にしていても、
リアリティの欠落は興醒めするばかりです。
「天と地と」で最も血が通っていた登場人物は、
長尾晴景(佐野四郎)とお藤(床嶋佳子)だけだったかもしれません。

2008年大河ドラマ「篤姫」も同日にスタートしました。
男くさかった「風林火山」から一転して、
宮崎あおい主演の女の世界が描かれます。
時代も戦国時代から幕末。
万俵大介(「華麗なる一族」)から毘沙門天になった北大路欣也のように、
だいぶ変わったようです。
よかれあしかれ……。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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毘沙門天コスプレ (ルクレツィアの娘)
2008-01-09 17:27:46
ホントにツッコミどころ満載で、むしろ真面目に演技していた役者陣が哀れでした。
北大路欣也の毘沙門天コスプレには、テレビの前で凍り付いてしまいました。敢闘賞を差し上げたいです。
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役者は悪くない (クニ)
2008-01-09 21:28:52
ルクレツィアの娘さん

本当に役者さんが気の毒な感じでしたね。
松岡昌宏氏が熱演だっただけになおさら……
北大路欣也氏のコスプレにフリーズは共感します。
あの瞬間チャンネルを変えた視聴者も多いでしょうね。
ソフトバンクCM犬の声もやっているし、
確かに敢闘賞ものです(^^)
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