23年に渡りNHKの『クローズアップ現代』のキャスターを務めた国谷裕子氏が、2016年3月で降板を言い渡され、その翌年に出版した本です。
『クローズアップ現代』の番組自体の事はさておき、「テレビの映像」と「インタヴューでの言葉」について深く考えさせる本です。
『クローズアップ現代』でもあらかじめ編集したVTRはもちろん流れますが、番組のメインはスタジオでのゲストへのインタヴューです。こ . . . 本文を読む
普通、政治家の書いた本(実際はゴーストライターが書いたんでしょうが)って、「政局もの」と相場は決まってます。読者もそういう内容を求めるし、実際、下手な小説を読んでいるより「事実は小説より奇なりと申しまして」(今は、籠池サンの名言となってしまいましたが)なのです・・・。
この本はそう言う類の本ではなく、藤井氏の持論である消費税増税の必要性について 繰り返し述べている本です。なので意外と読みに . . . 本文を読む
那覇の古本屋と言えば 牧志公設市場横の『ウララ』が全国的に有名です。僕も何度か伺いました。(初訪問時は これ です)。で、もう一つ別の古書店、モノレールの『安里駅』隣にある栄町市場にある「宮里小書店」について書かれたのがこの本です。
著者の宮里綾羽さんは、那覇市役所の公務員だった父親が始めた古本屋を受けついで、現在副店長をしています。と言っても「小さな古書店だから、小書店」な . . . 本文を読む
今年、改憲の発議が行われることを予想されます。僕はもちろん「改憲は必要ない」と思ってますが、今の東アジア情勢をリアルに見れば、自衛隊の肯定的に思う人は国民の過半数と思います。この「9条を守れ」を支持する人と「日本の国土と国民の生命を守る自衛隊」を支持する人の議論は、永遠に平行線のように思われがちです。
でも、大切なことは「9条を守る」ことと「国民の生命を守る」とことは ともに大切だという . . . 本文を読む
正月休みに読んだ本です。まあ あんまり正月ってぽい本ではないけどね。
水俣病って 僕が小学生の時は毎日の様に報道されていた様な気がする。他の公害闘争と異なり、妙にドロドロとした印象が子供心にありました。今はもうマスコミ的には過去の問題ですねえ。でも現地の当事者は まったく持って過去の問題ではないのだとおもいます。
この本の前半は、著者である渡辺氏の1970年前後に水俣闘争 . . . 本文を読む
今年の秋、筆者の野澤和弘さん(毎日新聞記者)が、富山に講演に来られたので聞きに行きました。その時に、ご本人が紹介していた、氏の新刊本です。
障害を持った当事者に 東大の教室に来てもらってゼミをするという企画の書籍化です。「大切なことは、読書ではなく、よく物を知っている(当事者なんだから当たり前かあ)人物との会話だ」と昔からよく言われていることを、地で行ってますね。
東大生らしい「優秀さ . . . 本文を読む
毎日新聞記者で、自らも障害者運動に関わる著者の、たぶん最初の本です。
「わかりやすい文章を書く」ということを、ざまざまな実例を駆使して、伝えようとしているのですが、
例示が、バラエティー過ぎて、話があちこちに飛んでしまい
結局言いたいことが、文章の技術なのか、書き手のその事柄への理解度なのか、
はたまた社会運動への参画の度合いなのか、さっぱりよくわかりません。
「わかりやすさの本質」 . . . 本文を読む
以前、『暗闇に耐える思想』という氏の講演集を読んだことがあります(これです)。この『暗闇の思想を』は、松下氏が直接かかわった豊前火力発電所反対運動の記録です。 今は原発(再稼働)反対運動が各地でたたかわれていますが、70年代初頭は「火力発電所反対運動」が各地で展開されていました。この石川県でも「内灘火電反対の運動」が有名ですよね。 今でもそうですが、国や電力会社は「電気が足らない . . . 本文を読む
金沢出身の建築家谷口吉郎が 戦前に東京工業大学の助教授だった時に、ドイツに派遣され1年近く暮らした時の「日記」ですが、日記というより「随筆」に近いですね。
なにせ、1年かけた船旅でベルリンに到着したその日が、「水晶の夜」当日だったというから、その時代感がリアルすぎます。ヒトラーは今でこそのその歴史的評価は確定していますが、その当時、ドイツの普通の人々が彼のことをどう思っていたのか よくわか . . . 本文を読む
今はもう 田宮虎彦の読者なんてまずいないと思う。だって ストーリが暗すぎますよねえ。まさに「昭和の作家」ですね。 でも、僕は田宮虎彦、好きですよ。高校の時に『絵本』を読んで涙しました。あの「麻布霞町の崖下にあった・・」の名調子の書き出し、暗唱したくらいです。この麻布霞町って ジャコメッティの国立新美術館がある界隈ですよねえ。 今回、久しぶりに 真っ茶色になった文庫を取り出し、『落 . . . 本文を読む
村上医師は 財政破たんした夕張市の旧夕張市立総合病院(現夕張医療センター)の再建に取り組んだことで、その名を知られています。
その村上先生が、自ら白血病となって患者の立場になって 病床から著した「ラストメッセージ」です。この本を著した後、2017年5月に永眠されました。
で、骨髄移植のため、北大病院に転院した時の話が「目からウロコ」でした。というのは、村上医師も含め、世間では 大学病 . . . 本文を読む
出張やひとり旅の際は、電車や飛行機の中で読む本を家から持ってゆきます。で、先日の東京ツアーでは、急いで家を出たため、本を持って出ませんでした。しかたなく東京の本屋で、「一番罪のなさそうな本」として買った次第。 電車のなかで一気に読み終えました。タイトルの『役に立たない読書』というのは、日本古典のことを指しています。読んだからと言って、仕事や日々の生活に別に何の役にも立たないが、人 . . . 本文を読む
田中正造は誰しも知っていますが、たいていは足尾銅山の今でいう「公害」を、帝国議会で舌鋒鋭く追及し、果ては代議士を辞して天皇に直訴したというようなストーリーでしょう。 もちろんそれも田中正造の、ある意味では“華やかな一面”ですが、この小説『辛酸』は、谷中村の闘争はもう決着がついて、ほとんどの住民は別の土地に移転し、ほんのひと握りの「残留民」が、家屋を強制破壊 . . . 本文を読む
先日読んだ『戦後歴程』が面白かったので 続けて読みました。品川氏の 主に戦前の歴史です。大上段に構えた署名(反戦への道)に至る過程を綴っています。なので、どうしても『戦後歴程』とかぶる部分があるのは仕方ないですね。
出版は こちらのほうが3年早いので、『反戦への道』で書き足りなかった部分、触れたくとも触れられなかった部分を、『戦後歴程』では率直に記述しています。そのあたりも 品川氏の誠実さ . . . 本文を読む