ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

東日本大震災 大きな声と小さな声

2011-04-28 12:39:07 | 日本文化・文学・歴史
東日本大震災が起きてから1ヶ月半たち被災地から距離のある三島周辺では、体に感じる余震もほとんど
無くなり計画停電も中止され以前と変わらぬ生活に戻った。

世間の関心は復興へ向かって動きだしている。
津波で壊滅的な被害を蒙った漁業関係者は、使えそうな船を探し、修理し、漁へ出ようと動き出したし、
海に沈んでいた漁具を引き上げたり、魚市場の整備も始めている。私はこれらの映像をテレビで見たが、
普通の人たちのたくましさに目を見張った。
20代に銀行に勤めていた私は、得意先である三陸某所の網元がスーツケース一杯に1万円札を詰めて預
金に来ていた姿を見ていたので、海が無尽蔵の宝を秘めていることを知っている。
変わらぬ海があり、変わらぬ海の幸がある限り海の男たちは海を棄てる事はないだろう。

津波の被害を受けた農業の分野でも期待したいニュースがある。
4月26日の日経新聞によると、農機メーカーのクボタが被災地で田植えの代行を無料で始めるという。
生育を促すために鉄粉をコーティングした種子を水田に直接まく新たな手法を活用し、5月の田植え作業
に間に合わせる。一方塩害を受けた農地の塩分除去の実験も行うとしている。工業の先端技術の評価は高
い日本だが、農業の分野でも革新的な技術開発が行われていて心強い。ぜひ成功して欲しい。

今回の震災被災地には日本中から支援の手が差し伸べられている。
  機能を失った市役所や町役場には、各地から行政のプロが
  医療にも医師のボランティアや薬剤師のボランティアが
  被災者には理容師や調理師がその腕を提供し
  一般のボランティアは黙々とガレキや泥の片づけに、また避難所の運営に手をかしている。

もちろん政府の組織である自衛隊、警察、消防と米軍の多大な支援が無ければ手の付けようもない混乱に
陥っていただろう。心から感謝したい。

最近、家を津波でやられ避難所生活をしている親族を見舞ってきた方によると、大震災からひと月半、劣悪
な環境で苦しい生活が続いているという。仮設住宅用の土地が足りないと聞いているが、1日も早くプラ
イバシーの保てる暮らしにしてほしい。

このようにまだまだ改善して欲しいことはたくさんあるけれど、震災から1ヶ月半しか経っていないのに
管政権の悪口雑言を声高に叫ぶ人の多さに呆れてしまう。
この批判の流れは東京在住で政治家や外交官などが一族にいる知人から、三島在住の友人に伝わり、震災
から1週間たたないうちに私の耳に入っている。
  震災後、管政権は会議に7時間もかけ初動が遅れた
  管首相の福島視察はパフォーマンスだ
  福島原発の事故の収拾はアメリカ政府に頭を下げれば万事解決してくれる
  管首相の指導力のなさ
などの内容であった。

自分の身内の安否確認さえ出来ていない人たちが大勢いる状況の時に、あからさまな管政権批判をする人々
に「震災からまだ1週間もたっていないのよ」と怒りが込み上げてきた。

これまで政治に関心を持った事もなく、ぼんやり世の中を眺めてきた主婦の目にも、昨今の「管下ろし」の
動きは異常ではないかと思う。
官邸にいる首相の一挙手一投足まで見てきたように揶揄する評論家や政治学者を出演させるテレビ番組、
公然と自党の総裁の退陣を要求する小沢・鳩山系民主党議員たち、管政権の延命には協力しないと言い放つ
自民党幹部たち、これらを大見出しで記事にする大新聞。

少なくとも政府は未曾有の大震災に立ち向かっているではないか。
この震災に自分の時間や自分のお金を使って支援している一般の人々に対して、支援そっちのけで権力争い
に明け暮れる政治家や一部官僚の目当ては莫大な復興予算を手中にしたいと躍起になっているように感じる。
そして、そんな彼らを私たち市民がしっかり見ている事にも気がつかないらしい。

4月11日・日経新聞に歌人の岡井隆氏は「大震災後に一歌人の思ったこと」を書いているが、その中に

  原発はむしろ被害者、ではないか小さな声で弁護してみた

という短歌を詠んでいる。
地殻変動という天変地異に伴う津波被害に襲われた福島原発も(管政権も)被害者なのではという感覚に私
も同感であった。大きな声にかき消されてしまいそうな小さな声も時には発信しなければと思う。

余震が大分少なくなり、ほっとした面はあるがマグニチュ-ド8クラスの余震の可能性や、東海・東南海・
南海を震源とし連動型超巨大地震の可能性も取りざたされている。防災の意識はあっても実行せずにいた
我が家だが、手始めに食器棚転倒防止用の木枠を夫に作ってもらったのでお目にかけます。

















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