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父、河野重榮が亡くなりました。

2017-08-01 02:18:51 | 考える

父が亡くなりました。
1週間前の7月25日午前1時24分、88歳でした。

父は、大学で経営学を教えていました。
(獨協大学名誉教授)

妻を愛し、妻に支えられ、人生を全うしました。
子である私は現場を歩く経営コンサルタントとして、妹は異なる学問分野の大学の教員として教壇に立っています。

6月10日に、父の初任地の香川大学のゼミOBの会「タスク会」の本年度の例会が大阪でありました。足が弱っていたのですが、新幹線で、歩いて乗り継ぎ行ってきました。
会の恒例、父が今経営学について思うことを50分間、話しました。
「これまでになく、分かりやすかった」などと、好評を得ていました。
帰宅の翌日に入院し、帰らぬ人となりました。

常々、高齢になっても社会と繋がって生きていきたいと言い、大阪に行く少し前までコーヒーショップまで歩いて行ったり、3月には上野の東京文化会館までバレエ「白鳥の湖」を見に行ったりしていました。

また、一昨年の日本マネジメント学会で、恩師である山城章先生の学説を発表し、次は自分のことと、文章をまとめはじめていました。

父の生前のご厚情に感謝し、御礼申し上げます。


ならわぬLIVEseason1(今月開催)は、 「天時不如地利 地利不如人和」により・・・

2017-07-12 02:08:59 | 考える

孟子の言葉に、「天時不如地利 地利不如人和」があります。

書き下すと、

天の時は地の利に如かず 地の利は人の和に如かず

ということで、

略すると?

天時<地利<人心

意訳すると?

チャンス(トレンド)が重要だけれど、市場でのポジションがより重要になる。

市場でのポジションが重要だけれど、それに対応するチーム(戦略組織)がより重要になる。

ならわぬLIVEseason1は、

7月13日(木)第1回 商品開発わい!わく?研究会
・・・天時のつかまえかたを考えます

7月20日(木)マネジメントセミナー 「はだかの王様」にならないために
・・・活力ある人心の育て方を考えます

7月27日(木)マネジメントセミナー 「朝令暮改」と受け取られないために
・・・天時への対応、地利を生かす、そのための人心について考えます

詳細はこちらをご覧ください。

まだまだ、参加者募集中ですので、ご興味のある方の参加をお待ちしています!!!


女性起業の「みんなおいで!」フェスタinさいたまから、SCIの設立そして解散まで

2017-06-05 08:07:30 | 考える

昨年10月の第64回日本農村生活研究大会in埼玉のシンポジウム「健康志向と農業の6次産業化」が報告された、農村生活研究第60巻第2号が、先日届きました。

私が事例報告した内容については、河野経営研究所のWebページで紹介しています。
本文中を大きく占める表について、説明が少ないのに・・・と感じられる方がいらっしゃるかもしれません。

当日は、新座市の農業者尾崎千恵子さんから、「女性起業の『みんなおいで』フェスタinさいたま」を開催して学んだことが第二報告で、それを受けての第三報告だったため、「女性起業の『みんなおいで』フェスタinさいたま」以降の活動について、話をする必要があると考えました。



尾崎さんに少し時間をもらって、「女性起業の『みんなおいで』フェスタinさいたま」の実行委員会から、埼玉・コラボレーション・インスティテュート(略称 SCI)という任意団体の結成、さらには、合同会社として法人化、そして取り組んできたイベントについて話をしました。

「女性起業の『みんなおいで』フェスタinさいたま」は、2003年12月に、実行委員会方式で30名の農業・商業・工業・サービス業といった、多様な業種の女性が集まって運営したイベントです。
大宮ソニックシティの地階の展示場と、広場を借りて、行われました。

結果は、出店者数65人、ブース数76、2日間の来場者数7000人、講演会等参加者のべ200人、交流・懇親会参加者170人というイベントでした。

今でこそ、行政主導で女性のビジネスや創業者のためのイベントが活発に開催されていますが、その、さきがけともいえるものでした。

私自身が実行委員会に参加したのは、イベント全体の形が見えてきたころでした。

イベントを目指して進んできたのですが、その実績をどのような形にして残すのか、周りに示すのか、さらには、多様な人材がせっかく集まってできたネットワークを今後どのように生かすのかが、最終段階まで決まっておらず、それについて「結果を残すために報告書をまとめたほうが良い」、「組織化したほうがよい」と発言したことで、イベント後の活動の旗振り役が回ってきました。

2004年に活動を開始し、合同会社として法人化し、2012年に解散しましたが、民間発で何ができるか、模索し続けた期間でした。

事例発表で、何に取組んだのか改めてまとめましたが、いざ表にしてみると、随分いろいろなことを短期間に取り組んでいます。

「であい広場」「埼玉発ビジネスフェスタ」と題した、交流を目的とした展示・販売イベント。
メンバーが企画・提案し、県の予算で研修会を実施。
丸の内のマルシェの端緒であった「東京ファーマーズマーケット」への参加。
など、など。

また、表には書きませんでしたが、研修旅行として、四国や新潟の企業訪問をしたこともよい思い出です。

さて、昨年のシンポジウム。

SCIの主要メンバーの農業者が参加してくれました。そして、総合討論で発言してくださいました。

学会誌にも、人の名前がアルファベットの略号になってしまいましたが、フロアーからの発言ということで、記録が掲載されています。

学会発表して、SCIの足跡の一端を、残すことが出来てよかったと思っています。

レ・ミゼラブルを見て考えたこと

2017-06-04 11:42:21 | 考える

先日、ふとしたことから、帝国劇場のレ・ミゼラブルを見に行きました。
30年間も、上演されているものを初めて、観劇自体も久しぶりでした。

演者の方も素晴らしく、日本のミュージカルの水準の高さに驚きました。

約2か月の上演期間が補助席の前売りまであり、主役級はトリプルキャスト、オーケストラピットに開演前に人々が押し掛ける。
劇団四季の上演会場が増え続け、ミュージカル俳優が注目される。

マスメディアだけを見ていても、街をあるいていても、流れの変化を感じることはできていました。

ライブエンターテイメント業界の市場規模などについては、こちらのページに紹介されていますが、年々規模が大きくなっているようです。

5000億円超えのライブエンタ市場 急成長の舞台裏
日経エンタテインメント!2016/8/25
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO05034590Q6A720C1000000



このレ・ミゼラブルの重要なキャラクター「マダム・テナルディエ」を鈴木ほのかさんが演じていました。

鈴木ほのかさんの名前を覚えていたのは、NHKの「音楽・夢コレクション」という番組が好きで良く視ていたから。

同役のトリプルキャストの森公美子さんや、大好きな戸田恵子さんも出ていて、とても音楽性あふれる番組でした。

当時よりも、市場が拡大し、才能あふれる方たちも増えているのなら、マスメディアがなぜこの業界を活用しないのでしょうか?

エベレット・M・ロジャーズ(Everett M. Rogers)が示した、イノベーションが普及する過程を示した図があります。



主観的ですが、マスメディアは、図のレイトマジョリティ:後期多数採用者が認知したコンテンツ、つまり、人や受け入れられる番組構成を確認したうえで、視聴率を上げようとしているのだと、思います。

劇場にいるとき、これだけの、才能のある方々いるのに、それを楽しみに待っているファン層があるのに、マスメディアを通じてエンターテイメントを発信することが出来ていないのは、とても残念なことだと感じました。

ただ、それは演目をそのまま放映することではなく、先の番組のように個性を生かす番組があれば楽しいなと思います。

ここの所、年に数回音楽のライブに行きます。

そこに至った経緯はふとしたきっかけで、ライブ映像を見たことからで、マスメディアで受けるイメージと違う迫力に圧倒されたのがきっかけでした。

ライブの良さはそれとして、そこにある大きなエンターテイメントを生かすことで、新たなマジョリティ(多数採用者)をつかみ、大きな市場が生まれてくるのではないかと思います。

マスメディアが、右に倣えのコンテンツを脱皮してくれると、もっと、夕方~深夜の時間が楽しくなるのになと思います。

売り場の意味

2017-05-26 18:56:50 | 考える

昨日、異業種交流会で、ウイスキーやビールなどの商品とそれにまつわる売り方の話をしていていました。

写真は、二年前に余市に行った時のものです。

商品を作る人は、良い品物を作って、安定的に、さらにはより高い価格で売りたいと思っていても、なかなかうまくいかない。

あるときに評価が上がって、より高く売れることもある。

どこに売るか、どこで売るか。

昔は気楽に飲めていたものが、今はプレミアがすごい。

下戸の私は置いていかれそうになりながら、飲める方の話を聞いていました。

・・・

商品と売り方で、ここのところ、改めて気になっているのが、「委託販売」の売り場の意味。

農業の6次産業化の支援をしていると、最初の売り場は、農産物直売所や道の駅になることも多い。

たいていそれが、「委託販売」。

この「委託」って、商取引の何を委託しているのだろう???

単なる場所貸し? それとも 決済業務?

「売り場」に商品を置いて、決済業務を代行するのが委託販売なら、「売り場」に対する責任もあるはず。

「売り場」なら、店舗内のゾーニング、陳列棚の配置とその管理、個別の商品を売っていくための工夫とその管理が必要。

もちろん、動線の管理や、様々な管理業務。。。

商品の減価(品痛み、万引き、汚れ)は、コスト上の問題だから責任を持たないのかもしれないけれど、商品の減価につながることは、お客様のせいだけではないはず。

女性農業者の集まりで

2017-04-17 19:42:07 | 考える

お手伝いしていた講座の受講生の第一回のOG会を、訳あって企画・運営することになりました。
女性農業者として担い手としての役割を担っているにもかかわらず、一見したところ職業不詳の10名ほどの、素敵な女性たちの集まりでした。

充実した会合で、会話がやむことはなく、3時間の会はあっという間に終わり、さらに名残惜しく、その場で話が続きました。

・・・

中ばごろ、女性農業者向けの研修のテーマとして、私が長年必要だと思っている農業機械の技術向上の話をしました。

経営工学で、生産要素として4Mがあります。
製造業の話ですが、農業にもあてはまります。

4Mとは、Man & Woman(生産主体)、Machine(生産手段)、Material(生産対象)、Method(生産方法)の4つで、農業機械は二つ目のMにあたります。
農業機械の事故は多く、平成27年の都道府県が把握している農作業死亡事故は全国で338件、そのうち農業機械事故は205件に上ります。

事故は、不完全行動によって安全作業が不可能となったということですが、さらにそれを考えると、「そもそもその機械を使った安全な作業方法を知っていたのだろうか?」、さらには、「その機械の正しく効率の良い使い方を知っていたのだろうか?」と。

さらに、家族経営を中心とした経営規模が小さい中で、「基本的な機械の動かし方、安全作業、危険予知活動など、一定の規模の製造業が行っている基本的な教育システムが機能しているのだろうか?」と考えてきました。

そこで、

農業の担い手として女性農業者が注目されている中、現場で必要な知識を公が補える余地は大きく、トラクターやフォークリフトといった共通の基盤となる機械の操作について、研修を実施する必要性が大きいのではないかと、問題を提起しました。

このことについて、次のような意見が出てきました。

・家族に相談しながら使うと、機械の使い方についていろいろ言われるので、きちんと教えてもらえる仕組みがあると助かる。
・けれども、積極的に習いに行ったりしたら、そんなに積極的に仕事を覚えたいならと、仕事を押し付けられて、負担が大きくなってしまう。けれども、行政の研修の一環で勉強できるなら、このことだけ勉強しに行くわけではないので、家族からのプレッシャーが少なくなる。もとより技術をきちんと覚えたいので、基本的なところだけでも教えてもらえると助かる。
・一家に何台もトラクターを買えるわけではないので、家族で使いまわしがしやすく、また、オペレーターが変わっても作業性が保てる機械が欲しい。

などなど・・・

会計についても話が弾みました。

・そもそも振り分けが解らない。
・農業会計は、一般の会計とは違うので、そこを知りたい。
・役割分担として経理の仕事をしているが、税務申告が難しい。
・経営規模が小さいので、PCソフトを信頼して決算してきたが、課税、非課税区分を誤り修正申告した。
・申告したらそれで終わり、数字を生かせていない。

などなど・・・

農業は、リードタイムが長い業種のため、税務申告のために作った経営数字を、経営のために生かすことが重要です。
財務会計(申告のための会計)のみでなく、管理会計(経営内容や業務内容を見る会計)の組み立てが必要です。
管理会計は個別性が強く、丁寧な支援が必要な分野です。

一見、個人的なこと、個別対応の課題、と感じられる意見、それが現場の意見で、それを踏まえなければ、よい施策は積み上げられないのではないか・・・そんなことを考えながら、皆さんの話を聞いていました。「行政の方に、同席してほしかった」と思いました。

「春夏秋冬 地を養えば」

2017-04-15 23:11:11 | 考える

尊敬する経営者の方々にお会いすると、一言、二言お話しできるだけで、かけがえのない見識を得ることができ、とてもうれしくなります。
これまでの経験や、お考えになっておられること、社史などを書かれた本を頂戴すると、さらに深いお人柄などを知ることができ、敬愛の情がさらに深くなります。

株式会社愛工舎製作所の牛窪啓詞会長より、2冊目の本を頂戴しました。どちらも社内報向けに書かれたエッセイをまとめられたものです。
1冊目の『窓を開ければ』は、日本語と英語で構成されていて、そのことでまず驚いて・・・博識に驚いて、読ませて頂いていました。

このたび頂いた『春夏秋冬 地を養えば』は、その197ページに「石川洋氏の言葉に『地を養えば花は自ら開く』という言葉がある。混迷する時代にどう生きるか、問題は世相や環境にあるのではない。自分の内からの点検性にある。根、地を養わねば花は開かないと言っている。そして『人という字は支えあうことを意味しているといわれる。しかし左と右は同じ長さではない。愛とはどんな人とでも支えあうことである』と著している。」との記述があり、その思いを示したのだと感じました。
ドラッカーからニーチェまで幅広い読書や様々な人脈によって得た知識、国内から海外まで現場、現物、現実の積み上げによる経験に裏打ちされた確固たる信条には、敬服せざるを得ません。

牛窪会長とのご縁は、埼玉県企業局の経営懇話会委員として同席させて頂いたことからです。2010年には、弊社が経済産業省事業「全国商工会連合会 農商工連携等人材育成事業」『農商工連携プロジェクトマネジメントケーススタディ』を実施いたしましたときに、米粉の活用方法についての試食を交えたプレゼンテーションをして頂き講座に厚みを増すことができました。
さらに、構造改革特区で埼玉県庁に在職した折に、お菓子作りの延長線上ではなく、商業ベースに乗るパンや洋菓子の加工方法を学ぶことにより、農業の6次産業化の事業性の向上を目指した「加工技能高度化研修」にご協力頂きました。これについては、『春夏秋冬 地を養えば』で触れて頂きとてもありがたいことです。

熱い思いに溢れた文脈が多いのですが、牛窪会長そのものだと思った一文は、232ページの次の文章です。
「我々中小企業のニッチな世界でも、その精神は偉大なる人から爪のあかほどでも学び、自らをふるいたたせる気力が大事だ。ニッチトップを目指し、既存のビジネスモデルを見直し市場の開拓、新規商品、製品を育て、チャレンジ精神のある人材を育てられればいつでも私は退く覚悟がある。今年もさまざまなことに学び勇気づけられた年である。いつまでも人と人脈を大切にし、自分の成長の糧にしたいものだ。」

ならわぬLIVE 3シーズン目 その2

2017-03-29 16:40:14 | 考える

ならわぬLIVEと称して、今期、3シーズン開催することができました。

ご参加くださいました皆様、ありがとうございました。

・考えていることをできるだけ素直に伝えるようにすること

・毎回、視点を変えて、資料を作ること

・参加される方の必要とされるものにすること

を心がけました。

3年8か月、会社を休んでいましたので、模索しながらの取組でしたが、参加してくださった方々に感謝しております。

各シーズン各1回は参加してくださる方々、シーズンの最初から最後まで参加くださった方々もいて、この仕事のありがたさを感じています。

4月より弊社は20期を迎えます。

より良いサービスを提供できるよう、研鑽を重ねてゆきたいと思います。

公共と民間の二つの立場を経験して

2017-03-18 17:02:36 | 考える

昨日、平成28年度6次産業化の分野に係る民間等と普及組織との情報交換会で、民間企業からの発表をしました。

昨年の今頃は、県職員であり6次産業化の農業革新支援担当普及指導員でしたから、1年であちらがわからこちらがわにということになります。

発表時間は15分なので、要点しか話せませんでしたが、情報交換会などで、たくさんの方と話をすることができました。

場違いかなとも思っていたのですが・・・

県職員になる前に、農林水産省のつくば研修館で講師をさせて頂いた時にお会いした方や、仕事でお会いした方にお声掛け頂きました。

また、

「ひと」「もの」「かね」の経営資源の強化を支援するという視点、「やってあげる」ことではないこと、など、発表内容に共感頂き声をかけてくださった方もいらっしゃいました。

発表の機会を頂き、ありがとうございました。

ならわぬLIVE 3シーズン目 その1

2017-03-01 22:50:56 | 考える

4月に民間に復帰して、「ならわぬLIVE」をはじめました。


「ならわぬ」は、「倣わぬ」と、

中小企業診断士の資格は持っていますが、大学や大学院で学んだものではなく、現場と、独学と、「門前の娘」で積み上げたものなので。


3月は、「ならわぬLIVE 農商工連携・6次産業化」と、「ならわぬLIVE 3月フェス」の二つに分けて開催します。

「ならわぬLIVE 農商工連携・6次産業化」は、「倣わぬ」を旨としていますので、

これまでのsessionの農業関連の内容

2016年5月6日開催
「もと特区普及指導員ならわぬ農業を語る」
農業者の持つ経営資源、経済の仕組みを生かす農業政策は?

2016年10月2日開催 
食ビジネスに知ってほしい農業のこと
あなたのビジネスにとっての「農業の課題」は・・・

とは、異なる切り口で組み立てています。

ご興味のある方は是非ご参加ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

農商工連携・6次産業化分野でのコンサルティング15年間のノウハウを提供します。


日時 3月9日(木) 19:00~21:00

場所 大宮ソニックシティ603会議室

内容 農業経営の多角化の課題

   「ひと」「もの」「かね」を強化するために

講師 有限会社河野経営研究所 代表取締役 河野律子

参加費 3000円


参加ご希望の方は、下記明記のうえ、メールにてお申し込みください。

氏名、連絡先、自宅あるいは勤務先の住所、TEL、FAX、e-mail、所属・勤務先

申込み先e-mail : narawanu.live(a)konocon.com

※(a)を@に書き換えてご送付ください。


ご参加お待ちしています!

農業革新者を悼む

2016-12-26 01:23:01 | 考える

奥富康雄さんが亡くなりました。
「早すぎる」ということばでは表しきれない、とても惜しい方でした。

「さといもコロッケ」「ごぼうのぴくるす」
少し変わっているけど、どこにでもありそうな商品。
けれども、この二つの商品には、これまでにない発想と思慮により生まれました。

産地の価値を地域に還元し、一度消えた産地を復活させる。
それを、農商工連携・6次産業化という手法を使って。
農業者自らがそれを主導するという、革新的な取組だったと思います。

私が知っているのは、この農業革新者としての、奥富康雄さんです。


1 さといもコロッケの取組

はじめて奥富さんに会ったのは2010年7月でした。

弊社が平成22年度農商工連携等人材育成事業(地域版)全国商工会連合会(経済産業省事業)の採択を受け、カリキュラムを精査するなかで、埼玉県川越農林振興センターにご紹介頂きました。

当時、奥富さんが代表をしていた「さやま里芋増産倶楽部」は、「さといもの親芋を活用したコロッケ」により、より若い世代に里芋の美味しさを知ってほしい、そして狭山市が高品質なさといもの産地だということを地域の方に知ってほしいという考え方から、前年より農商工連携に取組んでいました。

採択された研修プログラムは、「農商工連携のサプライチェーンのキーポイントである、①生産者、②流通、③加工、それぞれにおける課題を整理する」という組立でした。
企画の意図としては農業者と加工業者が直接つながることによるリスクを認識し、さらに、それを踏まえたWin-Winの関係をどう築くかということでした。

「さやま里芋増産倶楽部」は、前年にコロッケの商品化ができたものの、加工業者との直接の関係はできたものの、直接つながったことにより、いくつもの課題を抱えることになりました。
①加工業者の依頼に応じて農業者自らが加工業者の稼働日に合わせて数量を揃え直接納品すること。
②加工業者の供給先が限定されており、それが狭山市にはないこと。
など。
当初の目的を達成するために、新たな加工業者、新たなサプライチェーンを構築しようとしているところでした。

弊社の研修の意図した農商工連携におけるサプライチェーンに関する問題を、現在進行形で解決しようとしているところでした。

研修の意図を説明し、ご快諾頂き、10月9日の実習の日を迎えました。

実習は、畑での掘り取りから、調整作業、さといも親芋活用の説明という組立でしたが、あいにくの雨天でしたから、圃場見学と、事前に掘り取って頂いていた株を調整作業することと、前半部分を切り替えました。



雨天の中の圃場見学でしたが、積極的な質問が重ねられました。







大きなさといもの株から、実際にほぐして、小芋、孫芋、そして親芋に触ってみることは、受講された方には初めての体験で、また、奥富さんの説明とも相まって、充実した時間になりました。



さやま里芋増産倶楽部の取組は、大きな農業法人の経営者をはじめとする当日参加された方々から、大きなエールを贈られました。

その後、親芋をコロッケにする試みは、出荷にはJAの協力、新たな加工業者の生産から販路に至る協力、地域の卸売業者の協力、狭山市内の精肉店などの協力を得て、狭山市内で買えるもの、学校給食で供給できるもの、そして、さらに幅広い皆さんに楽しんでもらえるものになりました。



さといもコロッケは、エキナカで増えているそば店「そばいち」の看板メニュー「狭山のさといもコロッケそば」で食べることができます。

※そばいち

この取組は、平成24年度地産地消優良活動表彰において関東農政局長賞を受賞しました。

※新商品「さといもコロッケ」の開発を通じた地域活性化

※さといもコロッケの開発を通じた青年農業者育成活動


また、この活動を支援した埼玉県農林部川越農林振興センターは、平成23年度普及活動全国コンクールにおいて農林水産大臣賞を受賞しました。

※(社)全国農業改良普及支援協会プレスリリース

※埼玉県Webページ

いまでも、出色なこの農商工連携の取組は多くのメディアを賑わせています。


2 ごぼうのぴくるすの取組

かつて(40年ほど前)狭山市を含む入間郡域は「入間ごぼう」の産地として有名でした。品質の良さから全国的なブランドになりましが、連作障害等で作付面積が減少したことから、「幻の入間ごぼう」と言われていました。

「入間ごぼう」復活プロジェクトの提案があったのは、私が2012年8月から3年8か月ほど任期付職員として埼玉県農林部で仕事をさせて頂いた、初年度の半分が過ぎた頃でした。

※任期付職員の経緯

生産適地であり、さといも→ごぼう→さといもの輪作を試したところ、成績がよく、鮮度の高さで差別化が可能な商品なので、産地化すれば収益力の高い生産物になり地域の農業に貢献するものになるとのことでした。



具体的には、

①品種は「サラダごぼう」という、サラダなどの用途に合う品種。
②販売形態は、一定のサイズで。
③収穫機を使い収穫を機械化したい(のちに収穫機を導入)。
④産地として復興するために生産者を増やしたい。
⑤そのときに、規格外や調整の切り落とし部分にも価格が付くようにしたい。
⑥④と⑤のために、加工品を考えたい。

これで「入間ごぼう」の産地を復活させたいとのことでした。

食のトレンドを勘案し、ごぼうでピクルスができないかと検討をはじめました。
輸入ピクルスの統計を見るとB to Cの商品が増えていること、流行をつかんで品揃えする店舗でごぼうをはじめとする国産素材でのピクルスの販売が目立つようになってきたこと、加工度を上げずに幅広く流通する商品であり素材感を残すことが可能であることなどが、ピクルスとした理由です。



農業の6次産業化の支援ということで、川越農林振興センターの普及指導員の方などとともに、既存商品の調査、商品試作に取り組み始めました。

「もとのごぼうの風味を生かす」というのが、商品開発にあたってのもっとも重要な優先順位でした。



さらに、試作品がどのような素材と組み合わせれば、ごぼうの美味しさが引き立つのかという開発プロジェクトでの試食を重ねました。
また、地域の方に試食をしてもらったところ、男性にはあまり好まれない反応があったりと、一進一退を繰り返しました。

一年ほどで商品の方向性が決まり、加工業者の方がプロジェクトに加わりました。

試作品は、形状を変え、調味を変えの何度も検討を重ねました。
素材との組み合わせによる検討をいくつもの視点で検討しました。
「もとのごぼうの風味を生かす」ということから軸足を外さずに、商品の検討が続きました。

そして、2014年10月に「ごぼうのぴくるす」と「ごぼうのもろみ漬け」が発売されました。

※プレスリリース

当初は、サプライチェーンを組み立てるのに、加工業者の方に負担をかけることになりましたが、地域のJAの協力により、卸問屋が入り、供給の流れが整理されました。
鮮度の高さで差別化が可能な農産物であったことが、これを可能にしました。

その後、「JAいるま野狭山野菜部会サラダごぼう部会」ができ、耕作面積も生産者も増加しました。

※埼玉県知事の「とことん訪問」記録

農業者自らが、地域の農業生産の将来像を明確に抱き、仕組みを作る。その仕組みの一つとして、農商工連携型の6次産業化に取り組む。
あくまでも、6次産業化は手段で、重要なのは地域の農業という軸足のしっかりした取組でした。
自らの地域に軸足をおいた「儲かる農業」のビジネスモデルを作り続けた農業革新者でした。

活躍の舞台は限りなく広がっていたのに。
残念で、無念で、さびしくて、胸が痛くなります。

平成28年度農業版ウーマノミクス事業「埼玉農業女子ビジネスプラン発表会&交流会」

2016-12-20 11:31:54 | 考える

「農業女子キャリアアップ講座」をファシリテーターとしてお手伝いさせていただいています。

(株)パソナ農援隊が、主催の事業です。(埼玉県より受託)

下記内容で、ビジネスプラン発表会&交流会が開催されますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。

埼玉農業の多様性と力強さを感じて頂けると思います。


埼玉農業女子ビジネスプラン発表会&交流会のご案内


・埼玉県では、自ら経営発展を目指す女性農業者を対象に、商品開発・マーケティング・経営戦略等について学ぶ「農業女子キャリアアップ講座(全10回)」を実施して参りました。

・本講座の実績発表を目的とした、ビジネスプラン発表会及び交流会を標記内容で実施いたします。

・一般企業の皆様で経営発展を考える女性農業者との事業連携を図りたい方、商品開発案や新たな取り組みに興味がある方は、是非ご参加ください。 皆様のご来場、心よりお待ちしております。

日程 平成29年1月11日(水)13:00~16:00

会場 大宮ソニックシティホール 4F 国際会議室

参加料 無料

申し込み締め切り平成28年12月28日

申込先 FAXまたはメールで(株)パソナ農援隊まで
    FAX:03-6734-1269
    メール:agri@pasona-nouentai.jp

   【下記必ずご記入ください】
    参加者氏名(ふりがな)
    同行者氏名(ふりがな)
    組織・企業名
    事業内容
    電話番号
    E-mail

さいたまで作った最後のお米

2016-11-23 02:20:58 | 考える

2008年の秋に、Oさんから連絡がありました。
福島県の相双農林事務所の普及指導員の方でした。
「相双地方農村女性起業塾を開催したい。その講師をお願いしたい。」ということでした。
「起業」といっても、新たに事業を始める人という訳ではなく、「農山漁村の起業活動」という6次産業化以前の施策からきたもので、参加者の多くが地域のリーダーの女性たちでした。

そのなかに、Kさんがいました。
トルコキキョウと米の生産農家で、ご夫婦で地域のリーダーとして活躍されていました。
双葉町の「よってみっせ」という農産物直売所と、「ふたば夢工房」という加工施設の運営や事務を担っていました。
「よってみっせ」は、国道6号沿いのJAの敷地に建てられたプレハブでしたが、集客力の高い店舗だったということです。(私が立寄った時は残念ながら休日でした。)
「ふたば夢工房」は、小規模ながら、生産性や付加価値の高い加工ができる設備が整っている加工施設でした。加工や直売で地域農業を活性化するために普及指導員として活動を続けてきたOさん、地域のリーダーであるKさんをはじめとし、加工技術を持つ女性たちが検討を重ねて実現された施設でした。



3年度に渡る研修の最後に、ふたば夢工房が持ってきた商品が写真の双葉おやきカスタードクリーム味です。
双葉町名産のだるまの形をかたどった、焼型でつくられたもので、もともとの小豆あんに加えて、子ども用の商品を開発されたということでした。
参加者のネットワークもでき、さらに次の取組を意欲的に進めようと、最終回が終わりました。
2011年2月17日のことでした。

2011年3月11日、テレビの前で津波が町を呑み込む様子をただ見ていることしかできませんでした。
相双地方農村女性起業塾には、32人の方がいましたが、何人かの方が波にのまれてしまったとのことです。
また、幅広い地域が津波による被害を受け、原発による避難と、避難生活を余儀なくされる方がたくさんいらっしゃいました。

双葉町が埼玉県に避難してくるという話を聞いて、目を凝らしてニュースを見ていると、Kさんが画面に現れました。翌朝、さいたまスーパーアリーナで握手した時の手の感触を今も忘れることができません。

数か月後、Kさんご夫妻とお会いしたとき、加須で土地を借りて米を栽培すること、土地が借りられる話がでたときすぐにでも手をあげたかったけど誰も手をあげないということが解ってからなので難しいこともあるけど苗を譲ってもらえるようになったこと、毎朝散歩のときに農地を見て回って近隣の方と仲良くなってきたこと、農業の手伝い仕事を見つけて働いている人がいること・・・積極的な姿勢にただ敬服するばかりでした。

その年の秋に電話をかけたら、埼玉で作った米を食べてもらいたいけど、もう一口も残っていない。直売のお客様がヨーカドーの社員さんで、そこで販売したら完売してしまったとのことでした。

2012年8月から本年3月まで埼玉県農林部に勤務しましたが、当時加須農林振興センターで地域に密着した仕事をされている普及指導員の方が、Kさんのお連れ合いの方と親交があり、「すごい人だ」「頭が下がる」と。

そして、先日電話がありました。「埼玉で作った最後のお米を食べてください。」
双葉町にはもどれないけど、中通に。
偶然にもOさんと同じ市とのこと。

頂いたミルキークイーンとコシヒカリを美味しく頂きました。
ありがとうございます。


平成28年度日本農業経営学会研究大会 分科会に参加して

2016-09-17 21:55:47 | 考える

今日、京都大学の学会の第1分科会に参加しました。

「TPP時代の稲作経営革新と技術普及」

とても有意義な内容でした。



ぶった農産の佛田利弘氏は、大学院でMOTを学ばれた方ですが、冷静で分析的な視点が鋭く、研究者として座長を務められていました。

(有)フクハラファームは、しっかりした後継者を抱えておられ、200haになるであろうという稲作複合経営の、将来像を示していたと感じました。

さまざまの視点での話がありましたが、売上金額ベースでの切り口で語られていたのが、印象的でした。



この分科会への参加を軸に出張を組んだのですが、

一昨日、昨日と、埼玉県庁在職当時にお世話になった、石川県と福井県の大規模主穀経営の経営者の方々にお会いしました。

3日間とても充実した時間でした。

頂いた情報については、もう少し、考え込んでみたいと思います。



「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

という言葉がうかんでくる「再会」と「出会い」でした。

コーヒーはブラックで

2016-08-03 03:01:48 | 考える

コーヒーを飲むのは好きだったのですが、根っからの甘党で、ミルクとお砂糖をいれて、シナモンをふりかけたのが大好きでした。

ふとしたことから、何も入れずに飲むようになりました。

すると、味の違いが分かるようになって、コーヒーのことがもっと知りたくなりました。

コーヒーのことが並んでいる本棚の前に立ってみても、ぱらぱら見てみても、あんまりしっくりくる本が見つかりませんでした。

1か月ほど前、八重洲ブックセンターに本を買いに行きました。

レジに買う本を持っていったら、カウンターに「コーヒーの科学」というブルーバックスが置いてありました。

つい手に取って・・・

一緒に写りこんでいる本は、八重洲ブックセンターで買ったものですが、その時に買った本ではないのですが・・・

「コーヒーの科学」、読んでみたら面白かったです。

「知っている」だけの情報が闊歩していますが、「知っている」ことで、どう考えるかが「知る」大切。

その意味でも、興味深い内容でした。

ただ。

八重洲ブックセンターの品ぞろえや陳列は、カバーのかかっている本を探せたり、この本を買えたりと、大好きなのですが・・・

ネットで本を買うのが多くなってしまって・・・