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経営学の先駆者としてのチャールズ・バベッジ

2017-04-30 16:51:06 | 調べる

父が、突然古い書籍のコピーを取り出し、翻訳したいと言い出したのですが、高齢の為(88才)か思ったように進まない様子だったので、Webの翻訳機能を使って、翻訳する手伝いをしました。

ここのところ、新聞を読んでいて、IoTや、AIが気になっていたようで、コンピューターの父と言われるチャールズ・バベッジが、テーラー以前に、経営の課題を書籍にしたというのを思い出したようです。

<ウィキペディア>

写真はの下のコピーを束ねたものは、The Golden Book of ManagementThe Making of Scientific Managementの2冊の経営学の歴史を紐解いた本の複写で、初任地の大学で研究費で購入したので持ち物にできず、やむなくコピーを取ったというものです。

どちらも、経営学史上の重要な人物を年代順に取り上げたもので、冒頭にチャールズ・バベッジが記載されています。

写真の一番上に載っている本は、On the Economy of Machinery and Manufacturers 主たる翻訳では「機械と製造業の経済」という1832年に出版された本の1960年代の復刻版です。

この本は出版当時もベストセラーで、その後も何度も復刻されていますが、残念ながら日本語訳は見当たりませんでした。

けれども、概略を知ると、この人はどんな人なのか、強い興味が湧いてきました。

調べてみると、日本語訳された評伝があり、早速購入して読んで見ました。



チャールズ・バベッジ―コンピュータ時代の開拓者 (オックスフォード科学の肖像) ブルース・コリアー著、オーウェン・ギンガリッチ編集代表、須田康子約 大月書店 ①

1800年代に、階差機関という、世界初の自動計算機の開発に取り組み、さらには、解析機関というコンピュータにもつながる設計、ジャガード織り機のパンチカードの活用も考えるといった、先見性の高い、優れた頭脳に驚くばかりです。

階差機関の開発に合ったって、チャールズ・バベッジは、自国の技術のみならず、ヨーロッパ大陸の技術を自ら階差機関を開発するために技術者とともに、調査をしました。

ヨーロッパ大陸を回る中で、小さな工房の熟練技能者から、工場として製造しているところまで、現場を見て回り、先の、「機械と製造業の経済」にまとめました。

「この『機械と製造業の経済』(On the Economy of Machinery and Manufacturers)のなかで、バベッジは工業生産を、原料の入手と輸送から機械と作業員の適切な配備、完成品の流通と原価計算にいたるまであらゆる観点から分析している。バベッジは、さまざまな原理と事例を用いて工業生産の各段階に光を当てた。また、労使関係にも注目している。目的は、経済と効率について提言することだった。産業革命からわずか50年ほどしか経ていないのに、バベッジは産業の未来について、重要で有用な青写真を示したのである。残念ながら、既得権益を手にしている人々には、労働者や一般購買者の利益になるようなやりかたを導入する気などなかった。また、バベッジは現代の能率向上のエキスパートたちの十八番のような提言もしている」(①p84~85)

この時代に・・・

コンピュータも経営学も、直線でつながっているというわけではないようなのですが・・・

「機械と製造業の経済」の内容が気になるばかりです。

それにしても、チャールズ・バベッジは、トマ・ピケティの21世紀の資本にある「不労所得者」でしたが、以前ブログに書いた小説の主人公のようではなく、その持てるものを十二分に活用した傑出した人物だったと、感じました。

〇〇年ぶりと、はじめて。

2017-04-27 23:04:22 | こんなこと

考えるところがあって、車を運転しない生活を20年していました。

最初に運転したのが営業車、子供が小さいころは自家用車が便利でした。

10年ほどの運転歴がありました。

そして、また、考えるところがあって、車を運転することにしました。

自家用車がなく、助手席に座ってもらえる人もいないので、日曜日に〇〇年ぶりに自動車教習所に行き、2時間講習を受けました。

昨日、レンタカーをはじめて借りて運転しました。

公務員の時に、公用車の助手席で車の性能の向上を感じていましたが、運転してみて、さらに20年の年月の長さを感じました。

そして今日・・・



かかりつけ医で検診をして、精密検査をするようにと結果が出ていました。

ただ、信頼している先生が、「基準だからね」とあっさりした対応だったので、多分問題はないだろうと気楽に内視鏡検査を受けることにしました。

(ちなみに、問題があるときは迅速な対応で、つい先日も家族が助けられました。信頼できる先生が近くにいるのは本当にありがたいことです。)

子供たちの出産のときにお世話になった病院が便利だったので、そちらで検査をすることにしました。

なんと、検査をするところが、元産婦人科病棟でした。

おまけに待機する部屋が、入院したことのある部屋。

授乳室が、受付。

新生児室が、説明をする部屋。

誰に言っても、この懐かしさは分からないだろうなと思いながら、かえってうきうきしてしまいました。

看護師さんにこの話をしたら、そういう人ははじめてだとのこと。

検査の結果は、想定内の問題なしということもあって、さらに気分よく病院を後にしました。

女性農業者の集まりで

2017-04-17 19:42:07 | 考える

お手伝いしていた講座の受講生の第一回のOG会を、訳あって企画・運営することになりました。
女性農業者として担い手としての役割を担っているにもかかわらず、一見したところ職業不詳の10名ほどの、素敵な女性たちの集まりでした。

充実した会合で、会話がやむことはなく、3時間の会はあっという間に終わり、さらに名残惜しく、その場で話が続きました。

・・・

中ばごろ、女性農業者向けの研修のテーマとして、私が長年必要だと思っている農業機械の技術向上の話をしました。

経営工学で、生産要素として4Mがあります。
製造業の話ですが、農業にもあてはまります。

4Mとは、Man & Woman(生産主体)、Machine(生産手段)、Material(生産対象)、Method(生産方法)の4つで、農業機械は二つ目のMにあたります。
農業機械の事故は多く、平成27年の都道府県が把握している農作業死亡事故は全国で338件、そのうち農業機械事故は205件に上ります。

事故は、不完全行動によって安全作業が不可能となったということですが、さらにそれを考えると、「そもそもその機械を使った安全な作業方法を知っていたのだろうか?」、さらには、「その機械の正しく効率の良い使い方を知っていたのだろうか?」と。

さらに、家族経営を中心とした経営規模が小さい中で、「基本的な機械の動かし方、安全作業、危険予知活動など、一定の規模の製造業が行っている基本的な教育システムが機能しているのだろうか?」と考えてきました。

そこで、

農業の担い手として女性農業者が注目されている中、現場で必要な知識を公が補える余地は大きく、トラクターやフォークリフトといった共通の基盤となる機械の操作について、研修を実施する必要性が大きいのではないかと、問題を提起しました。

このことについて、次のような意見が出てきました。

・家族に相談しながら使うと、機械の使い方についていろいろ言われるので、きちんと教えてもらえる仕組みがあると助かる。
・けれども、積極的に習いに行ったりしたら、そんなに積極的に仕事を覚えたいならと、仕事を押し付けられて、負担が大きくなってしまう。けれども、行政の研修の一環で勉強できるなら、このことだけ勉強しに行くわけではないので、家族からのプレッシャーが少なくなる。もとより技術をきちんと覚えたいので、基本的なところだけでも教えてもらえると助かる。
・一家に何台もトラクターを買えるわけではないので、家族で使いまわしがしやすく、また、オペレーターが変わっても作業性が保てる機械が欲しい。

などなど・・・

会計についても話が弾みました。

・そもそも振り分けが解らない。
・農業会計は、一般の会計とは違うので、そこを知りたい。
・役割分担として経理の仕事をしているが、税務申告が難しい。
・経営規模が小さいので、PCソフトを信頼して決算してきたが、課税、非課税区分を誤り修正申告した。
・申告したらそれで終わり、数字を生かせていない。

などなど・・・

農業は、リードタイムが長い業種のため、税務申告のために作った経営数字を、経営のために生かすことが重要です。
財務会計(申告のための会計)のみでなく、管理会計(経営内容や業務内容を見る会計)の組み立てが必要です。
管理会計は個別性が強く、丁寧な支援が必要な分野です。

一見、個人的なこと、個別対応の課題、と感じられる意見、それが現場の意見で、それを踏まえなければ、よい施策は積み上げられないのではないか・・・そんなことを考えながら、皆さんの話を聞いていました。「行政の方に、同席してほしかった」と思いました。

「春夏秋冬 地を養えば」

2017-04-15 23:11:11 | 考える

尊敬する経営者の方々にお会いすると、一言、二言お話しできるだけで、かけがえのない見識を得ることができ、とてもうれしくなります。
これまでの経験や、お考えになっておられること、社史などを書かれた本を頂戴すると、さらに深いお人柄などを知ることができ、敬愛の情がさらに深くなります。

株式会社愛工舎製作所の牛窪啓詞会長より、2冊目の本を頂戴しました。どちらも社内報向けに書かれたエッセイをまとめられたものです。
1冊目の『窓を開ければ』は、日本語と英語で構成されていて、そのことでまず驚いて・・・博識に驚いて、読ませて頂いていました。

このたび頂いた『春夏秋冬 地を養えば』は、その197ページに「石川洋氏の言葉に『地を養えば花は自ら開く』という言葉がある。混迷する時代にどう生きるか、問題は世相や環境にあるのではない。自分の内からの点検性にある。根、地を養わねば花は開かないと言っている。そして『人という字は支えあうことを意味しているといわれる。しかし左と右は同じ長さではない。愛とはどんな人とでも支えあうことである』と著している。」との記述があり、その思いを示したのだと感じました。
ドラッカーからニーチェまで幅広い読書や様々な人脈によって得た知識、国内から海外まで現場、現物、現実の積み上げによる経験に裏打ちされた確固たる信条には、敬服せざるを得ません。

牛窪会長とのご縁は、埼玉県企業局の経営懇話会委員として同席させて頂いたことからです。2010年には、弊社が経済産業省事業「全国商工会連合会 農商工連携等人材育成事業」『農商工連携プロジェクトマネジメントケーススタディ』を実施いたしましたときに、米粉の活用方法についての試食を交えたプレゼンテーションをして頂き講座に厚みを増すことができました。
さらに、構造改革特区で埼玉県庁に在職した折に、お菓子作りの延長線上ではなく、商業ベースに乗るパンや洋菓子の加工方法を学ぶことにより、農業の6次産業化の事業性の向上を目指した「加工技能高度化研修」にご協力頂きました。これについては、『春夏秋冬 地を養えば』で触れて頂きとてもありがたいことです。

熱い思いに溢れた文脈が多いのですが、牛窪会長そのものだと思った一文は、232ページの次の文章です。
「我々中小企業のニッチな世界でも、その精神は偉大なる人から爪のあかほどでも学び、自らをふるいたたせる気力が大事だ。ニッチトップを目指し、既存のビジネスモデルを見直し市場の開拓、新規商品、製品を育て、チャレンジ精神のある人材を育てられればいつでも私は退く覚悟がある。今年もさまざまなことに学び勇気づけられた年である。いつまでも人と人脈を大切にし、自分の成長の糧にしたいものだ。」