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女装小説『ウェスティンの聖夜』②

2020年12月08日 | 女装小説
 ベルボーイに案内された部屋は20階のエグゼクティブ・ダブルだった。内装はヨーロピアンクラシックで、日本 のホテルとは一味違うテイストを醸し出している。バスルームは大きなバスタブと独立したシャワーブースがあり、そしてタオル地のフカフカのバスローブが2つかけられている。お化粧好きな悠希には三面鏡付の化粧台がうれしい。
そして何よりも素晴らしいのは夜景だ。ガーデンプレイスを光で包むバカラのシャンデリア、六本 木ヒルズ、遠くにあるレインボ ーブリッジ、TOKYOというディナーテーブルの灯されたキャンドルのような東京タワー....。凌と悠希は飽かずに光の絨毯のような東京の夜景に見入っていた。
「うれしい.....」
 悠希はそっと凌の肩にもたれかかった。凌はやさしく悠希を抱きしめると唇を近づけてきた。悠希は目 を瞑って凌の唇を受け止めた。このライト・キスが凌と悠希の聖夜の幕開けだった。
 ホテルの最上階にあるレストラン「ビクターズ」でコンチネンタル料理のディナーとイタリアワインを楽しんで部屋に戻ってきた時には10時を過ぎていた。美味しい赤ワインは2人の理性をほんのちょっぴり奪っていたが、凌はそれなりに大人である。悠希が支度を整えるのに時間がいることはわかっているようだった。
「僕はもうすこしここでスコッチを飲んでいるから、お先にシャワーをどうぞ」
「ありがとう...。じゃ、すこし待っててね」
 凌は冷蔵庫からスコッチを取り出すと、窓際に向かってソファに座った。悠希はお礼をいいながら、クローゼットでバスローブに着替えると、悠希は広いバスルームに向かった。
 ウェスティンホテルのバスルームも豪華で、そして広い。壁一面にはめ込まれた鏡の前で悠希はバスローブを脱いだ。そこには19才の少年ではなく、19才の少女のシルエットが写っていた。

<ちっちゃくてもいいから、バストが欲しい>
 10月のある日、こう切実に願っていた悠希はインターネットでD社のサプリメントのことを知った。このサプリメントは植物性女性ホルモンを主成分にしていて、豊胸に効果があるということだった。医師の処方が必要な女性ホルモンの錠剤はネットで手に入るらしいが、何か怖い感じがした。しかし、これは健康食品として普通に売られているものだから、すこしは安心だと思ったのだ。説明書きには「1日3粒を飲む」という指示があったが、自分は男の子だし、できるだけ早くバストが欲しいこともあり、悠希は2倍 の6粒を飲み続けた。
 その夜から、悠希は自宅で入浴するたびに胸をマッサージしていたが、効果は1ヶ月後にやってきた。胸に脂肪がつきだし、乳首は以前より大きくなり、その位置も身体の中心線に近づいてきているようだった。そして入浴時や寒い時などには乳首が堅くなった。そして2ヶ月経つと、身体も心も女性に近づいていくのがはっきりと感じられた。湯上りに姿見で見ると身体全体が丸みを帯びて女性的になっている。バストも思春期の少女くらいに膨らんでいる。Aカップのブラでがちょうどよくなった。腕や脚の体毛も細く柔らかくなっている。

<やったぁ♪>
 こうして少女の身体に変身した悠希は、可愛いブラやショーツを思う存分買うことができた。そして、今夜ヴィトンのバックに入れてきたのはホワイトの3/4カップブラとレースをぜいたくに使ったビキニショーツのセットだ。ショーツのサイドはリボ ンになっている。白を選んだのは、悠希のピュアな気持ちからだ。ナイロン・ポリウレタンのピタッとした素材は悠希の女性化した肌にとけていく快感を与えてくれる。

 白の勝負下着を丁寧にたたみ、悠希はシャワーキャップをかぶり、シャワーブースに入った。ウェスティンは高級ソープを備え付けている。その甘い香りが悠希を包む。こうしてシャワーを浴びていることに悠希はいいようもない幸福感を感じていた。それはこれから始まる愛の交歓の予感からに他ならなかった。

                       *

「お先でした...」
「じゃ、僕もシャワーを浴びるかな」
 入れ替わりに凌がクローゼットでスーツを脱いだ。スタンドの明るい光の中で見る凌の肉体は逞しかった。180cmの長身は健康的に日焼けしていた。そして胸板は厚く上腕筋や大胸筋には筋肉が盛り上がっている。さすがに高校時代はラグビーをやっていただけのことはあるとおもった。
「ボ、ボクはお化粧を直してるから、凌先輩、ごゆっくりどうぞ...」
「レディに『ボク』は似合わないなぁ...ふふ..」
「あれ?、まちがえちゃっいました」
 ぺロッと舌を出した悠希に微笑ながら、凌はバスルームへと入っていった。バスローブ姿の悠希は三面鏡に向かって化粧を始めた。
<こういうのを寝化粧というのかな?>
 悠希はファンデーションを塗りなおし、口紅を引き、アイラインも調えた。女装の勉強ばかりしていた成果か、お化粧も上手にそしてスピーディに終えることができた。
 セミロングの髪を丁寧にブラッシングしていると、凌がバスルームから出てくる気配があった。悠希はバスローブを脱ぐと、急いでダブルベッドの毛布の中に潜り込んだ。ベッドはキングサイズで、2m×2mくらいの広さがある。

 凌は室内の明かりをすべて消すと、窓のカーテンを開け放った。
「こうしておけば、サンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるかもしれないよね」「うふふ、凌先輩てロマンチック....」
 窓からは東京タワーのオレンジの灯りがダブルベッドの上に差し込んでいる。その明かりの中で凌はバスローブをとり、黒のぴっちりしたブリーフだけの姿で、悠希のとなりに入ってきたのだった。2人は白いベッドのなかで、額をくっつけて向き合っていた。
「クリスマスイブにウエスティンホテルで凌先輩と一緒にベッドのなかにいるなんて..」
「......」
「まるで夢みたい...」
「夢じゃないんだな、これが....」
「うそ...」
「うそじゃないって...」
すこしおどけて、凌は悠希の胸をくすぐった。
「アンッ..」
「ほうら、感じるだろ...。夢じゃないって...」
 この悠希の軽い喘ぎ声が合図となった。

 凌はゆっくりと悠希の背中に腕をまわして抱きしめてきた。そして唇を合わせてきた。悠希もそれを待ちかねていたのだ。2人の唇が合い、そして凌の舌が入り込んできた。悠希はそれだけで高ぶってしまっい、凌の舌にからみついた。こんなゆったりした気持ちでディープキスをするのは初めてだったから、その気持ちよさに悠希は陶然となった。ゾクゾクして、うれしくて、涙が止まらなかった。そのあふれ出た涙を凌が人差し指でぬぐってくれた。その優しい行為がうれしくて、うれしくて、さらに涙があふれた。そんな2人の感情が昂ぶり、2人の舌はもっと激しくからみあった。
 ディープキスは十分すぎる前戯となった。凌は身体を起こして、毛布をベッドからはぎとった。ダブルベッドのシーツの上には白のブラジャーとレーシイなショーツだけになった悠希がいる。その悠希をいとおしむように、凌はブラジャーの上から悠希のバストを揉みはじめた。
「あれ...、悠希の胸、女の子みたいだ...」
「恥ずかしい...」
 ブラの上から凌に愛撫されただけでも悠希の乳首はビクンビクンと感じ始めている。乳首だけでなく、サイドバストやストラップのところをサァーとさすられるだけで
「アーーーン...」という悠希の歓喜の声があがった。
「うふふ、感じるんだね。不思議だよね。男の子のときは全然なんともないのに、女の子になってブラをすると、サイドやアンダーが感じるんだから...」
「アウンッ...」
 悠希はもう普通に返事ができなくなっていたが、それでも凌と目が合うと二人で微笑みあった。その視線の交歓は愛を語り合うものの特権だった。凌は悠希の髪の毛に触れると、うなじを引き寄せた。凌のひげがゾリッと悠希の頬にこすれる。その感覚は<ああっ、男の人に抱かれている>ということを実感を悠希に与えた。耳たぶに凌の熱い息がかかると全身にゾクっとする快感が走る。

 そして、凌は悠希の背中に指を回して、ブラのホックを外した。
 白のレースのブラジャーを取り去ると、少女のような可愛く膨らんだバストが現れた。
「悠希、すごく可愛いよ」
「は、恥ずかしい....」
「柔らかいよ...」
「悠希はね、凌先輩に愛してね、もらいたかったから....。女の子になりたかったの...」
「.......」
「だからね、神様にお願いしたら、このお胸がプレゼントされたの....」
「そう、なんだ....。神様のクリスマスプレゼントなんだね...」
「ウン....」
 コクンとうなづく悠希のしぐさに、凌は愛おしさを感じぜずにはいられなかった。生まれたばかりのひよこを持つように左のバストを優しく包んでみたが、するとドクンドクンという緊張と興奮の悠希の鼓動がはっきりと伝わってきた。

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