女装子愛好クラブ

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女装小説『ウェスティンの聖夜』①

2020年12月07日 | 女装小説
承前というか、早明戦の記事を書いていると、「昔々、早明戦を入れた女装小説を書いたよな....」と思い出しました。
自分が書いた小説なのに、題名は何か、どこにしまったか、どこにアップしたか、忘れてしまいました。
まあ年は取りたくない。
いろいろと探しましたが、ありました。
『ウェスティンの聖夜』でした。
まあ、のんびりとアップしますから、お読みになってください。


『ウェスティンの聖夜』
ウェスティン東京は12月になると1階のロビーに豪華なクリスマスツリーを飾り、ホテルは華やいだ雰囲気に包まれる。見上げるような大きなツリーの下で、多くのOLや女子大生がおしゃれに着飾った姿で待ち合わせしている。これから始まるであろう楽しい時間を期待して皆ニコニコしている。悠希もクリスマスツリーから少し離れたところで待っていた。足元にはルイヴィトンのボストンバックがある。
 セミロングの髪にレディスのフェイクレザーのジャケットを羽織り、ピンクの起毛のタートルセーターとミディアムグレーのストレッチパンツをコーディネートしている。身長も163cmだし、スタイルもほっそりしているから、その姿はほとんど女性としか見えない。事実、周りのOLやホテルのベルボーイたちも全く悠希のことを気に留めてもいない。これは大学に入学以来、授業よりも女装のほうを学んできた成果だろう。携帯を見ると、約束の7時を5分過ぎている。すこし不安になりかけたころ、正面のドアが開いて、すこし小走りでやって来た凌の姿を見つけると、悠希はようやくほっとした。

 悠希は19才になったばかりの男の子だ。M学院大の英文科の1年生で、サークルは広告研究会に所属している。英文科という学科自体、女の子がほとんどなのだが、悠希はそれは苦にならない。むしろ大歓迎なのだ。というのも悠希は週末だけは女の子に変身して本当の自分の生活を楽しんでいるのだ。両親はいまは合衆国オハイオ州に住んでいるので、全く咎められることはない。父親が自動車工場の品質管理の責任者なので、夫婦揃っての米国赴任だ。そしてアメリカからの仕送りもその大部分が洋服や化粧品に使われているのだが、そんなことは全く両親は知らない。

 秋に大きな出来事があった。それは前から憧れていたサークルOBの凌とデートするようになったことだ。大手広告代理店に勤めている凌は世話好きで、ときどき大学のサークル室にも顔を出していた。悠希はなんとなく「いいなあ」と思っていたが、まあそんなことは告白できない。しかし偶然にも秋のサークル合宿に来た凌と相部屋になったことが悠希の運命をすこし変えたのだった。

 最終日の打ち上げコンパで悠希は酔いすぎた。いやそれを演じていた。ネグリジェぽく見えるようなロングTシャツの下に女性下着をつけている。シルクのホワイトショーツとキャミソールとセクシーな香りのコロンだ。
「ボク、酔っちゃいましたぁ..」といいながら灯りを消して、凌のベッドに潜りこんだのだ。高校時代はラグビーをやっていたという凌の胸板は厚かった。その胸に顔を埋め、必死の思いで抱きついた。

<もしかしたら跳ね飛ばされるかもしれない>と思っていた悠希だが、その危惧とは反対に凌はきつく悠希を抱きしめてきた。唇を重ねてきた。ショーツの上から悠希自身を撫ででくれた。悠希は大きな賭けに勝ったのだ....。
 東京に戻ると、土曜日毎に凌は悠希を連れて銀座や汐留、青山などの落ちついた場所に連れていってくれた。愛する対象がいるということが悠希を少しずつきれいにしていった。悠希の髪は徐々に長くなり、クローゼットにはレディスの洋服が増えていった。その速さには悠希自身も驚くほどだった。
 ラグビーが好きな凌だから秩父宮にもよく行った。秋が深まるとともに神宮外苑の銀杏並木も黄色く色づいていた。凌と腕を組んで落ち葉の歩道を歩く幸せを悠希はかみしめていた。
<クリスマスの夜には一緒にいたい...>
 悠希はデートの度に、こう言いたくて仕方がなかった。メールも出したかった。でも、こんなことを言ったら嫌われるかもしれない。
<聖夜にはすべてを凌に...>
 悠希の思いは募るばかりだった。
 12月5日の早明戦の帰り、すっかり葉が落ちた銀杏並木の下を歩いていると、凌がぼそっとつぶやいた
「12月24日にウェスティンが取れたんだ...」

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