女装子愛好クラブ

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女装はバランスをとるためのひとつのはけ口~安井かずみ著『愛、体験してますか?』から

2023年03月07日 | ★女装の本・雑誌
安井かずみさんは昭和を代表する作詞家でした。
私の好きな曲も数々作曲しています。
その安井さんが著書のなかで、ある男性の女装行動について書いています。


日本は狭いせいもあって、他人の恋愛、結婚、生き方に口を出したり、批評したりする人間が必ず周囲に何人かいるものです。好意的に見てくれる場合はともかく、無責任なひやかしや悪口や陰口の類もよくあります。
けれども、しょせんはひととの関わりあいなしには生きられないのですから、気をつかう時と、つかわない時とつかい分けます。
私はだから、チャンネルを切り換えるとよくいうのですけれども、このへんは神経質にやろう、このへんは楽天的にやろうという切り換えをつけています。
つまり、自分にどうにかできることには細心の気を配るが、自分にはどうにもならないことには、のほほんとしているのが、楽天的処世術なわけで、その区分けをどうつけられるかということも、そのひとのセンスの問題になってくるのではないでしょうか。

あるひとは、チャンネルの切り換えをこんなふうにやっていました。ちょっとゆきすぎた例かもしれませんけれど。               
ある役所の課長で、妻子もある四十歳くらいの男性なのですが、深夜になると「ちょっと散歩に行ってくる」といっては家を出て、納戸のような所にはいり、やおら化粧をして隠しておいた派手な女物のドレスに着替えるのです。女装し終えると表にとび出し、自分の家の周囲をひとまわりして、ふたたび納戸で元の格好にもどると、そ知らぬ顔で家に帰ってくるという習慣をもっているひとがいました。

なんとも奇妙キテレツな習慣ですが、なぜ彼がこんな行動をとらなければならなかったかに問題があるわけです。
彼は非常に勤勉で、無遅刻、無欠勤。ずばぬけた才智もないけど、与えられた仕事をピシッとやることと、誠実な人間であることでは、絶対の信用と信頼をおかれていました。そんなオーソドックスで、危険思想もなく、謹厳実直を絵に描いたようなひとをして、あんな奇妙な行動に走らせたのは、実はこの全面的な信用だったわけです。

つまり「このひとなら安心、このひとなら決してバカなことをしない」という会社や同僚、奥さんの信用を全部しょいこんで、他人の思いこみどおりに生きてきた彼のなかには、責任過多の重さが鬱積。ついには、その自分自身がたまらなくいやになったのです。女装はバランスをとるためのひとつのはけ口、それがなかったら彼は、発狂してしまっていたのかもしれません。

 私は、それほどの奇想天外のチャンネルはもっていないけれど、やはり机に向かいっぱなしの書きものの日々が続けば、おしゃれして友だちとテキーラなど汲みかわし、街のディスコティックなどに出かけたりもしました。また、シンガポールに飛んでみたり、パリで画廊めぐりをしたりするのも、私のチャンネルだと思います。 
出所 『愛、経験してますか?』 安井かずみ著


>会社や同僚、奥さんの信用を全部しょいこんで、他人の思いこみどおりに生きてきた彼のなかには、責任過多の重さが鬱積。
わかります、うんわかります。
どこかではけ口というか、全く違った自分になることが必要なんですよね。







TBSラジオ・日曜サンデー 「安井かずみ・27人の証言」→★

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