女装子愛好クラブ

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美少年良太は厳しい女装修行を始めました~梶山季之著『流れ星の唄』から

2022年12月11日 | ★女装の本・雑誌
昭和44年8月、梶山季之先生は週刊実話に『流れ星の唄』を連載しました。
東京郊外の八百屋チェーンに集団就職でやってきた東北の純朴な15歳の少年2人(幸吉と良太)と少女(早苗)は、男子寮と女子寮で暮らしだします。
しかし、3人は東京の妖しい魅力に巻き込まれます。
早苗は同僚の俊子とレズビアンを教えられ虜になります。
幸吉は女スリと関わりを持ったばかり、彼女に奉仕するM男になります。
そして美少年の良太はもとからあった女装への憧れから、女性の下着やハイヒールを纏う快感にとらわれます。
同室の先輩から愛され女に目覚め、そして新宿の女装酒場「ヤプー」でどうしても働きたくなります。
勇気を出して「ヤプー」を訪ねたところ、先輩女装子の住田筆男に見込まれ、彼(彼女)の部屋で女性への修行を始めることになります。
以下、引用です。

「あたしのパンティを穿いて、このネグリジエを着てたら良いわ」
 筆子はいった。
「一日中、こんな恰好してるのスか?」
良太は訊いた。
「そうよ」
筆子は冷たく、「女になり切るにはね、それが一番なの」と教えている。
「女の弱点を、剥き出しにしておくわけ。すると、女になり切ろうとするでしょ。そこで自然と女らしさが漆み出てくるのよ……」
「はい、判りました」
良太は、そういいながらもゾクゾクしていた。

筆子は、良太に向かって、いろんなことを説教しはじめる。
先ず髪の毛を伸ばし、毎日、三回はブラッシングすること。
脱毛クリームを脚に塗り、丹念にマッサージすること。爪を伸ばしはじめること。化粧の練習をすること。女性ホルモンを飲み、乳房を湯の中でマッサージすること。
ひまがあったら、ハイヒールを履いて、歩く練習をすること。発声の練習をすること。女性言葉をマスターすること。食事とか、洗顔とか、排便とか、日常的な行動の中で、女になり切るように努めること。
月に三日は、自分で定めたアンネの日をつくり、生理帯をつけること。
絶えず、妊娠の心配をすること。(それが最も女らしさを形づくる)
どんなに辛くとも、パンティとストッキングは毎晩、洗うこと。
ハンドバッグ、靴、洋服、下着、化粧など、女性のファッションに関しては、たえず流行の尖端を行くこと。

物の値段を覚えること。
美容院には一日おきに通い、女性週刊誌だけを読むこと。香水は、動物性のものを用いること。(ハッカとか、ジャスミン、キャラなどの植物性香水を使わない)
化粧して、パンティとブラジャーをつけたら、三面鏡に向かって、いろんな胎帳のポーズを
とり、女らしさを強調するように、演技すること。
絶えずコンパクトを取り出して、人前で化粧を直すコツを覚えること。
口臭に気をつけること。安物の口紅をつけないこと。下着は贅沢なものを買うこと。(スーパー・マーケットなどで、安い品物を買うと、結果的にみて損をする)

働く店に入る前に、必ずオナニーしておくこと。(欲求不満が、男性であることの馬脚をあらわすことになる)
ハイヒールを常用すると、必ず靴ダコが出来る。ドイツ製のタコ削り器で、いつも削り取っておくこと。生ゴム製のサポーターを使い、いつもペニスは股間に挾んで、肛門の方へ廻しておくこと。(こうすると、多少のことで昂奮しない)
出来る限り早い期間に、乳房の豊胸手術だけ受けておくこと。(男の客は、どういうものか、乳房さえホンモノならば、相手が女性だと信じ切って、疑いもしない)
精力のつく食物は、つとめて摂らないこと。なるべく菜食にする。
髭が濃くなってしまう。そして夜明けなどに、化粧下地に青く浮き出てくるから用心すること。
女湯へ行っても、怪しまれないぐらいになること。
トイレに入ったら、必ずドアを閉めること。(不意にドアがあいて、思わぬ失敗をすることがある。洋式トイレの場合は、とくに用心すること)

酔って帰っても、必ず着ていた物を、きちんと始末して寝ること。
靴は毎日、埃を払うこと。ハンドバッグの中味は、最小限にとどめること。
薬屋へ、必ず生理綿を買いに顔を出すこと。
自分で決めたアンネの日には、無口になったり、不機嫌でイライラしてみせること。
働いている店の子には、自分はレズビアンで、男に興味がないと信じ込ませること。(決して、男の客と遊んではならない。千丈の堤も蟻の一穴から崩壊するのである)

……以上、いろいろと教えて貰ったが、いずれも一理も二理もある忠告だった。
相沢良太は、こうしてベテラン住田筆男の許で、女になり切るための修業の第一歩を踏み出すのである……。



>月に三日は、自分で定めたアンネの日をつくり、生理帯をつけること。
>絶えず、妊娠の心配をすること。(それが最も女らしさを形づくる)
ベテラン住田筆男の指示は、すごいですね。
外観や服装だけではなく、身体のなかも女性の生理をトレースすること。
そこから外からも内からも『女』が作られていくのですね。
このネタを取るため、梶山季之先生も新宿の女装酒場に通い詰めたのでしょうね。





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4 コメント

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私も読みました (山下容子)
2022-12-15 00:49:33
梶山先生がゴールデン街の『梢』に通っておられたのは存じています。もちろん他のお店にも行かれたのでしょうね。生理綿や生理帯という言葉がちょっと懐かしいけど、若い時に必要以上に興味を惹かれることがなかったので私は見たことがありません。

私の時代にはタンポンがあって(私はフルタイムではなかったので外出時に)時々していました。今は『上がってしまったトシ』ですが(同じくトシで)おトイレが切迫することがあるので、外を長く歩く日はパッドを付けています(これはタックのためにも都合がいいですね)。今のものはコンパクトで、ショーツの外にほとんど響かないので、付けていることを忘れてしまいます。

書いていて気になったので調べたら、今もタンポンはあるのですね。ふだん目につかないので無くなったのかなと思っていました。ここでこんなお話を書くのも迷うところですが、ネイティブさんも(実用的に)書くところでは書いてるので、思いきって書くことにしました。ごめんなさい。でも、これも別室を作ったから書ける場所ができたワケで、きっかけを与えてくださったコーイチローさんには感謝しているところです。

最後にひとつだけ。梶山先生のお話には女装前のオナニーがよく出てきますが、私は(自分の性を思い知らされるので)好きではなく、したことはありません。それと、筆子さんのアドバイスにわざとらしさがあり過ぎるという違和感もありました。いい子ぶるつもりは全くありませんが、梶山先生は女装さんではないので(これは読んでいてはっきりわかります)考えておられる女装女性像と私の気分との間に少しズレがあったのかと思いました。

いつもありがとうございます。このコメントも先日の『苦い旋律』などと同じように、時をおいて別室でアップするつもりです。もし差し支えがあればお知らせくださるようお願いいたします。
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追伸 (山下容子)
2022-12-15 00:57:10
今日の『人の心を下向きにする』お話の内容は私の気持ちと同じです。すみません、記事に直接コメントしたくない気分だったので、こちらに追伸しました。ごめんなさい。
返信する
三伸 (山下容子)
2022-12-15 01:05:20
退室しようとして新しい記事に気づいたので、これも追伸(三伸)にさせていただきます。私、ユーミンフリークです。歌詞に共感するところが多いからでしょうね。『ジャコビニ彗星の日』(@悲しいほどお天気)には共感シーンはありませんが、よく聴きました。ゴミまき散らし、ごめんなさい。
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コメント、ありがとうございます (コーイチロー)
2022-12-24 14:46:23
容子さん、コメントありがとうございます。
梶山季之先生も『梢』に通っておられたのですね。
好奇心の強い先生ですから、行かないわけはないですね。
タンポンというと、梶山季之先生の『罠のある季節』が女性の生理用品開発をテーマとした産業スパイ小説ですね。

今日はクリスマスイブ。
良いクリスマスをお過ごしください。
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