坂井さんは旅客機のパイロットです。
乗客としては何気なく利用する飛行機ですが、どんなに短いフライトでもパイロットは細心の注意と細やかな神経を使って操縦するのですね。
以下の分など「悲観的に準備して、楽観的に実行せよ」のよい事例だと思います。
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事故を防ぐために一番いい方法はヽ何かあった場合に自分に都合がいい解釈をするのではなく、自分に一番都合が悪い解釈をして、それでも大丈夫なように、行動することです。
人間はいろいろなときに自分に都合のよい解釈をしがちです。間違いや失敗のうちかなりの物が、後から聞いてみるとは実は誰かが「少し変だ」とか「何かおかしい」と感じています。でもそのほとんどのケースでたぶん後でやるんだろうとかヽそう言えはこの間こんな事例もあったとか、そのことを合理化する理由を探し出してきて自分I人で勝手に納得した結果失敗につながっています。
日本車の真珠湾攻撃のときにノハワイに設置されていたレーダーが遠くから日本車の機影をとらえました。担当の兵士は士官に注意喚起したのですがヽ士官は以前一晩中ラジオ放送があったときは本土から爆撃機が飛んできたことを思い出して「心配ないこれは本土からの爆撃破だ」と片付けてその情報がそこから上に伝えることはありませんでした。
少しでも違和感があるときにはヽ心の中で合理的な説明を探すのではなく、違和感を口にして、さらに確認する姿勢が失敗を大幅に減らします・またヽリーダーはヽメンバーの内の誰かI人でも疑問をさし挟んだら、必ずもう一度確認する姿勢をとることが重要です。
リーダーは日ごろから、このような場合に物を言いやすい雰囲気を作らなければなりません。部下が何か言うと怒られたり、文句を言われそうだからおかしいと思ったけれども口に出さなかったというのはリーダーに責任があります。
一方、部下は安全に関する限り、嫌われようが怒られようが、きちんとりーダーに感じたことを言うべきです。何も言わないで、事故が起きた場合、予見していたことを言わなかったということで罪に問われます。
自分でも、部下でも誰か1人の心に何かがひっかかった場合、自分に一番都合が悪い解釈をすることで、事故が防止できます。最悪を想定して対策をとり、実際には大したことはなくても、被害はありません。都合のよい解釈をして、実際には最悪の事態が起きたときには大事故につながります。
(同書から引用)