旧(アイマスな)駄目人間の溜り場

(アイマスにはまってる)駄目人間の駄目な毎日。の跡地。

夏のロケット

2009-04-07 17:37:21 | 
何度か読んでいる川端裕人さんの本。多分SF。
話によると、どうやらこれがデビュー作なのだとか。

高校時代の天文部に入っていた同級生5人が30代になっても、その夢を捨てられず、
ひょんなことから縁があり再会。
夢の火星到達に向けて個人でロケット発射を目指す騒動譚。

なんだかんだで極めて分かりやすい目的をもった、子供の頃の夢を忘れられない
いい年をしたおっさん達が、必死に夢を達成するために、という素敵ストーリー。
いいですね、こういう素敵な馬鹿どもの話は。
ロケットが、火星が、宇宙が、というわかりやすい動機で話が進められていって、
途中に出てくる科学的な部分もかなり分かりやすく描かれているし。
なんというか、現代版(アニメ版)プラネテスのような爽やかさ。

同じ作者さんの違う作品、「The S.O.U.P」や「竜と我らの時代」では、
途中で妙に政治色や宗教色が強く、最後の方なラノベ的だったり、
トンでも物っぽく感じる事があったのですが、今回はそんなことなく。
むしろ、普段は国家プロジェクトで動いているロケット事業を個人の力でやろう、
というコンセプトなのでむしろそれらから逃げようとしている感があって、
分かりやすくて良い感じ。

そういえば、つい最近大阪の民間企業が衛星打ち上げたなぁ、というのを思い出しつつ、
なおさら楽しく読めました。
これが出たのがおよそ10年前なので、先見性というかはすごい、というか、
ようやく世間がそれが可能であるという事を理解したのだろうか、とか。

そんなこんなでえらくおもしろかったです。
個人的に川端さんの本の中では一押し、次点は「竜と~」の方で。
どちらにも言えるんですが、人が好きな事に夢中になっているさまを描くのが、
とにかく非常にうまい。
ロケットの宇宙や火星に関して語ったり夢中になる所とか、
竜と~、だと、化石とか恐竜とかそういうロマンの部分とか。
とにかくそこの描写が素晴らしくて、少しでもその分野に興味を持っていると、
ぐいぐいと引き込まれる。
いや、良かったです。

あとは解説で知ったのですが、作者の川端さん、元々はノンフィクションの出らしく、
個人的にだいぶ昔から興味があって名前だけ知っていた、
「クジラを捕って、考えた」を書かれていたのだとか。
ううむ、これは知らなんだ。なおさら興味が出てきたので、見つけたら読んでみよう。
あとは、ニコチネアとかも面白げ。探してみよう。