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ジェット・ハンド・ドライヤーは、ペーパータオルよりも非衛生的?

2016年05月02日 | きのこ ゼミ 情報メール ニュース関連
ジェット・ハンド・ドライヤーは、ペーパータオルよりも非衛生的?

トイレなどに設置されているジェット・ハンド・ドライヤーを使うと、驚くほどの速さで手が乾くので、まるで未来の世界にいるような気持ちになるかもしれません。でも、あなたがジェット・ハンド・ドライヤーで手を乾かす行為が、もしかしたらその時周囲にいる人を病気にする原因になっているのかもしれないのです。

The Journal of Applied Microbiology誌2月号に、ジェット・ハンド・ドライヤーは、温風のハンド・ドライヤーやペーパータオルに比べ、非衛生的であるという研究結果が発表されました。手を洗ったあとにペーパータオル、温風のハンド・ドライヤー、またはジェット・ハンド・ドライヤーで手を乾かしたときに、ウィルスがそれぞれどのように散布されるかを調査したところ、ジェット・ハンド・ドライヤーは、ペーパータオルの1300倍もの量のプラーク(ウィルスの固まり)を撒き散らし、吹き飛ばされたウィルスの中には、ドライヤーから約3メートルもの距離にまで飛ばされたものがあったというのです。

この研究結果は、英インディペンデント紙や英ガーディアン紙といった、さまざまなメディアにも取り上げられました。同じテーマについての研究は過去にも数多く行われていますが、今回の最新の実験結果について、ジェット・ハンド・ドライヤー業界は、事実と異なると多数の理由を挙げて反論しています。

実験は、以下の手順で行われました。まず実験参加者は、MS2と呼ばれる無害なウィルスを溶かした液体に、手袋をつけた状態で手を浸します。それから素早く水を払い、ペーパータオル、温風のハンド・ドライヤー、ジェット・ハンド・ドライヤーのいずれかで手を乾かします。そして研究者たちは参加者が手を乾かした場所から、一定の距離ごとの空気中及び実験前にあらかじめ置いておいたペトリ皿の表面からサンプルを収集します。結果、ジェット・ハンド・ドライヤーがもっとも多くのウィルスを遠距離へと撒き散らしていることがわかったのです。

研究者たちは、この実験結果は特に意外なものではないと述べています。「このような結果が出た理由は、ドライヤーやペーパータオルが手を乾かすプロセスを考えれば、大方説明できる」というのです。しかし、病気の感染を避けなければならない、病院のような場所に対して、この実験結果は重要な問題を示唆したことになります。

とはいえ、ここで注意しておきたいことは、この実験は病気の原因となるような、ウィルスよりも大きなバクテリアがどのように散布されるかをテストしたものではないということです。

今回の実験を行った研究者たちは、2014年に行った実験においても、ジェット・ハンド・ドライヤーの衛生面をめぐって論議を巻き起こしています。この研究の発表後、Dyson社のスポークスパーソンは、実験参加者の手には通常よりも多くのウィルスが付着していたと指摘。さらにペーパータオルには、前の使用者の細菌がついているとも主張しました。ちなみにDyson社の人気商品のひとつ、Dyson Airbladeは、2008年に公共の健康・福祉に関する業務を行う団体the Royal Society for Public Healthにより、衛生面でのお墨付きを受けています。Dyson社のスポークスパーソンは、デマを拡散しているとして研究者たちを非難し、そもそもこの研究自体が、ペーパータオル業界から資金提供を受けて行われたものだと主張しています。

問題の真偽が速やかに明らかになりそうもないのは、本当に衛生的である商品にとっては、甚だ迷惑なことでしょう。とりあえず、私たちに今できることは、どうやって手を乾かすのであれ、まずは手をよく洗うこと。そして、プラスに物事を考えてみることではないでしょうか。というのも、多少の細菌ならば、あなたの免疫システムの機能を向上させてくれるのです。

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