風景や植物など、動かない対象は、光の加減など刻々に変化する条件の考慮を除けば、慌てることなく、一回に何枚でも写真に撮ることができる。ところが、動物たちとなるとそうはいかない。
書斎の窓の正面の樹々には、様々な小鳥たちが実を噤みにやって来るのだが、とにかく片時もじっとしていてくれないし、来たと気づいてカメラを取り出すようではもう遅い。かといってベランダでずっと待機して撮ってやろうというほどの熱意も時間もない。
先日プール近くの歩道で、仔栗鼠が目の前を横切って行くのに出会った。そろそろ昨年のように我が書斎の前にも姿を見せてくれることだろう。樹々の葉が繁茂している間はそれに隠れて栗鼠たちの姿が見えない。葉と葉の僅かな隙間から見えるめまぐるしく動く小さな影や、風とは違う枝の揺れ方で、栗鼠たちが枝から枝へと渡って行ったのだと気づくことはあるが、写真には撮り難い。枯れ葉が落ち、枝が露わになっていくこれからの季節の間に、なんとか写真に収めてみたい。とにかくすばしっこく、じっとしていることはないから、簡単ではないだろうけれど。
昨日、鳥たちに食べられて穴の空いた林檎がぶら下がっている枝をベランダに出て間近で見ていたら、その真下、垣根の下に蹲っている一匹の猫に気づいた。どうやら隣家の猫のようである。こっちに背中を向けている。舌を鳴らしてこちらを振り向かせ、何枚か撮ったが、それが鬱陶しいと思ったのだろう、垣根の下のいつもの通り路らしいところを通って、のそのそと帰って行ってしまった。
(写真はその上でクリックすると拡大されます)