大学への自転車での行き帰り、大学宮殿(Palais universitaire)の背後の中庭を横切る。その中庭を取り囲むように、十九世紀最後の約三十年間アルザス・ロレーヌ地方がドイツ領だった時代に建設された大学の重厚な建物が立ち並ぶ。
昨日、午前中の会議を終えて、昼過ぎに自宅に戻る途中、少しずつ秋の気配を色濃くし始めたその中庭を通り過ぎようとしていたとき、曇りがちの空から薄日が差し込む。自転車を止め、赤く色づき始めた楓の葉を見上げ、緑葉から紅葉への移り行きを捉えようと、リュックからカメラを取り出す。露出とシャッタースピードの組み合わせをあれこれ変えながら、ピント合わせはマニュアルで、何枚か撮った中から今日の一枚を選んだ。
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