今までカメラというものを持ったことがなかった。
この夏、一緒にパリ近郊を訪ねた人が沢山の写真を撮り、後でそれらを送ってくれたのを見ていて、その中にとても良い写真があったので、自分でも、まったくの素人ながら、撮ってみたくなった。
そのためには、何はともあれ、まずカメラを買わなくてはならない。しかし、あまりにも多種多様で、どの機種を選んでいいのかわからない。説明を読んでも、意味がわからない言葉がそこらじゅうに出てくる。値段も、たとえ入門機種に限ったとしても、数万円から十数万円と幅がある。ネットでいろいろなサイトを見、プロにアドヴァイスも受け、NikonかCanon、というところまではたどり着いた。が、それでもまだ迷う。せっかく始めるのだったら、少しは上達したいとも思う。一眼レフかミラーレスか。できるだけハイ・スペックがいいのか。それとも最初は手軽に操作できるものがいいのか。もう悩みに悩んだんである。
で、買ったのは、Canon EOS M3。昨日、店から届いたとの連絡があり、愛車(自転車)で取りに行った。喜び勇んで家に帰り、まずはバッテリーの充電である。その間に説明書を読もうと、最初のページを開いて、「SDカードが必要ですが、それはキットに含まれていません」と書かれてあって(こんなこと皆さん知っているんですよね)、ガックリくる。SDカードを買うためだけに、また自転車で疾駆して街中に戻る(それでも片道十五分かかるんですよ、街の北の外れに住んでいますから)。
息を切らせて自宅に戻ると、おお、充電が完了している。バッテリーとSDカードを装填。電源ON。緊張の一瞬である(大げさである)。たちどころに液晶画面が立ち上がる。年月日時間をタッチパネルで入力する。さあ、これで撮影可能だ。
何枚か室内と窓越しの風景を撮ってみて、PCの画面で見てみる。ぜ~んぜん期待したように撮れていない。まだ使い始めたばかりなんだから当然だよと自分に言い聞かせる。
買い物に行くついでに近所の風景を撮ろうと、シャッター付きのガレージにしまった愛車(自転車)をまた出して、ペダルを勢いよく踏み込む。お気に入りの散歩道の脇を流れる川で白鳥たちが水浴をしている。夕日に照らされた樹々の緑が水面に揺曳する中を優雅に泳いでいる。これを撮らずしてどうすると、急ブレーキをかけ、転けそうになりながらも、白鳥たち気づかれないように、そおっと近づく。先方は私のことなど最初から完全に無視しているようである。
かくして撮ったのが下の写真です。記念すべき最初の一枚です。ちょっと印象派風ですが、言うまでもなくそれを狙ったのではなく、結果としてそうなっていただけです。
(写真はその上でクリックすると拡大されます)