夢
を
見た
遠い日
の
幼い
自身
あれは
父かな
兄かな
肩車されて
海辺だか
川辺だか
水面を
覗き込むように
ふたり
トーテムポール
の
ように
歩いてた
何か
を
水中
に
見つけた
父だか
兄だか
は
ふいに
ワタシを
降ろして
飛び込んだ
その姿
が
潔くて
恰好よくて
躊躇するコトなく
ワタシも
飛び込んだ
潔き水
少しだけ
抵抗を感じるほどの
流れ
冷たいけれど
クリアな視界
父だか
兄だか
には
追いつけなかった
けれど
水の中は
愉しいくらい
孤独
だった
ちっとも
疲れないまま
辿り着いた先
には
虹色に輝く
ナポレオンフィッシュ
が
居た
愛くるしい
瞳を
くるくるさせて
目が合うと
その身を
優雅に
反転させて
触れるコトなく
光の中へ
消えていった
目が醒める
と
冷え切った部屋
薄暗く
窓から
射し込む
夜明け
が
まるで
水の中の夢
の
続きみたい
だったけれど
たしかに
此処には
空気があって
体温があって
始まる一日が在る
時々
夢は
問うてくるのだろう
あなたらしく
泳げている?
と
時々
夢は
教えてくださるのだろう
いつか
辿り着きますよ
と