マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

波は逆巻く 海の嵐

2008-03-29 | そのほか

 デュッセルドルフから真西に直進300キロ走ると海が見えてくる
ベルギーの陣地内、オストエンデ 
そこからさらにお船に乗ると 英吉利といふ國に到達するさうな

イースター祭は四連休 ちょっとだけ重い足を引きずりながら
海を見に行ってきましたよぅ

四連休   一泊だけとは  これいかに  (おかみさん)
一泊だけに トランク二つ  これいかに  (ーまー)


海の荒れ方はすごかった。 海上パトロールの船も危なっかしい足取り
でもまあ 僕らの旅に荒波はあんまり影響ありませんけどね
思う存分荒れておくれやす

それよりも 暴風の威勢が激しかったです
小型犬が足をとられて転がるくらいの突風 (誇張ではなくほんまに転がってたよ)
風の音で波が浜に寄せる音は全く聞こえませんでしたね

 
浜辺全体を息継ぎなしで直球勝負してくる暴風は 遠くの風景を蜃気楼のように演出してくれ、寒さを忘れさせてくれました。 足取りもさらに重くしてくれました。 


 夏は海水浴でごった返すのでしょうね 海辺の街、魚屋さんがやたら目につく。
僕らの目的の一つ 海鮮料理
漁師の海ではないけれどエビさんグループが豊富
エビさんは好物ですが、新鮮でないと顔や唇が腫れてくる贅沢なアレルギー体質。
でも、ここのはOKでしたね、いかに新鮮だったかがよくわかりました。

   
下唇だけちょこっと紅をひいたカモメがフラマン語訛りで 立ち食い桜エビをおねだりしてはりました。

  ーまー

「リズム」と「音」

2008-03-22 | ピアノ技術者の仕事

 テレビはほとんどつけない(もう何回か書いた)
ドイツの番組はあまり面白くない。(ドイツ語やしね)
しかーし 
料理番組は楽しい(結局、視てんねんやン)

プロの料理人の手さばきを観るのが好き。
テレビに出てくる料理人はトークなどのパフォーマンスを重視してるから、実際の味がどうなってるのかあんまり関係なさそうやけど、
料理をしたくなる気持ちにさせてくれる。

ショービジネスのことはさておき… 料理番組を観ていてふと考えたこと


 料理にしろ、ピアノ技術にしろ、物を作り上げるには無駄な時間を極力なくす段取りを組み立て、
できあがりまでの最短距離を工夫します。
勿論、時間短縮ばかりを考え、手を抜いて納得いかない物を作ってはいけないという
最低絶対条件はあります。
作品には自分の魂が入ってなあかんし、時間や費用などのコストのことも考えてテキパキと手際よく作業しなあかん。
これがプロフェッショナルな「匠」の業なんやね
解ってるけどなかなか続けていくのは難しいねぇ

   

 効率よく作業をするためのヒントは「リズム」と「音」にあると思うんです。
ゆっくりでええからリズムだけは崩さんようにしましょ。
慌てんと、確実に、テンポを変えんと、途中で休まんと……
そして手に持っている道具に仕事をさせて、
その音を耳と手で聴いてあげる。

金槌が釘を打ち付ける音 その釘が木に入っていく音
包丁がネギを切る音 まな板に当たる音
のみが木を削る音 ヤスリが鉄を擦る音

心地よい感触がリズムよく耳と手に聞こえてたら、
道具がええ仕事をしているということやね。 
この二つのことに集中してるといつの間にか「匠」な作業になってます。
なってる筈です。なってると思います。なってるかな?

試してみよ  ーまー 

同窓 師弟 兄弟子 

2008-03-16 | 愉快な仲間たち
 
 アインシュタインが特に一般的に有名ですが オーム、ガウス、レントゲン、ヘルムホルツ、プランク、ヘルツ……
ドイツは今までに多くの天才学者を生み出しました。

  
Braunschweigにある Physikalisch Technische Bundesanstalt(PTB) 物理工学連邦研究所に
太博士を訪ねました。
研究所は広大な自然公園のような敷地に各施設の建物が点在しています。
戦時中、飛行機の実験のために作られた滑走路が残っていたり、物体の自由落下を計測する背の高い塔も見えます。
太博士が実験されている研究棟は見るからに精度の良さそうな測定機器や計算機が置かれており、訳もわからずスイッチやキーボードを触りたくなる衝動に駆られました。


 
 ーまー親方がピアノ技術の基礎を勉強させてもらった国立音楽大学の調律科(以後略して国調)の後輩に当たるのが太博士。後輩なんて言う呼び方はかなり失礼かも知れませんね。
博士は旧東ドイツのピアノ工場でピアノ制作者の資格も取得しておられるので「調律もできる物理学者」なんてユニークな感じですが、「太博士、是非あなた様の頭脳を貸しておくれやす!」と、このドイツが誇る研究所から依頼を受け、4ヶ月間滞在されているそうです。
 オーケストラの練習中、金管楽器や打楽器の大音響(騒音)はその前に座る木管や弦楽器族の難聴を引き起こす恐れがあります。それを緩和させるための防音壁を物理工学的に研究実験し、理想的な装置を考え出すことが現在の博士のお仕事だそうです。



 今回、国調 で後進の指導に当たられておられるO2さんがドイツに来られ、博士を訪問すると言うことだったのでカナッペ(彼らお二人の直の元生徒になる)を引き連れて同行させていただいたというシチュエーションです。ちょっとわかりにくい書き方でごめんね。

この道中、O2さんといろんなことを話す機会を得ることができました。
同じ国調出身、そして東京の同じピアノ工房で修行した経験のある二人の話は尽きませんでした。
また、僕のような末端ピアノ技術者の思いや、後進指導への期待や要望などを直接お伝えできたことは有意義なことだったと思います。 ーまー

夢の中でも

2008-03-04 | ピアノ技術者の仕事

 仕事柄、クラシック音楽を聴くことが多い。
ピアノに関係する曲が特に多いけれど、マニアではないので詳しく調べ抜いて知識として蓄えているわけではない。ましてや作品番号など覚える気も毛頭ない。
一度耳から体の中にその音楽を通らせて曲のイメージを感じておけば、演奏会のピアノ調律作業で味付けの手助けになるから、半分は義務感で聴いているところもあると思う。
おかみさんの影響で前衛音楽に興味を持たざるを得ない。取っつきにくい音楽ではあるけれど何度も演奏会に足を運ぶとその面白さが見えてくる。
前衛音楽でのピアノ調律はかなりシビアーなことを要求される。いまだに多くの調律師はこの種の音楽に全く理解を示さず、適当な調律の仕上げで終わってしまうことがあるが、この手抜きは命取りになる。僕のように義務感でも良いから沢山聴いて欲しいと思う。

大きな声では言えないけれど、正直なお話。
僕はピアノの音より、ヴァイオリンの音が好き。
ヴァイオリンの音よりアコーディオンの音が好き。
アコーディオンの音よりもギターの音がもっと好き。
ギターといっても、俗に言うフォークギターの音。

(会ったことないけど)尊敬する丸山ももたろう氏のCDを手に入れた。
「夢の中でも」
最近の流行言葉で言う〔癒し系〕に属するのかも知れないけれど
若いギタリストには決して出せない大人の音色がぐっとくる。
何度も繰り返し聴いていると彼のきめ細やかな感性やギターの音へのこだわりが伝わってくる。
噛めば噛むほど味が出る〔するめイカ〕の音色だ。
5曲目にDESPERADOという曲がある。
高校生の頃レコードがすり減るくらい聴いていたイーグルスのバラード。ギターソロでは表現しにくくどうしても迫力に欠けるけれど、たちまち若い頃の気持ちに戻ってしまう懐かしいメロディー。
イーグルスオリジナルは、ちょっとユニゾンが狂っているピアノのソロで始まり、オーケストラバックが入り、サビの部分からドラムが力強く格好良く被ってくる。
高校生のガキの頃は歌詞の意味がよく理解できなかったけれど、 男のこだわりを歌っている奥深い内容。今ならよくわかるのが不思議。

ま、若い頃からええ音楽聴いててん、今でもそうやで! 
と、自分よがりな今日この頃。

ーまー