マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

休肝日に見る夢

2013-10-26 | そのほか
 木曜日を肝ちゃんに休息を与える日と制定してからもう10ヶ月になる。
知人との会食と重なったりすると翌日が振替え休肝日となる。
いままで確実に守られている。

当初、木曜は朝起きた瞬間からめっちゃ機嫌が悪かった。 
夜になっても楽しみは絶対にないことがわかってる日やねんから
うきうきできるはずもないやん。

不機嫌でイライラする方がかえって身体に良くないし
周りの人にも悪影響を及ぼすからもうぼちぼち休まんでもええやん?
って思うこともあるんやけど、工房の掟はことごとく厳しいねん。



 解決策として、木曜はアルコールの入ってないビールをいただくことにした。
ようは偽物ビールでごまかすわけやね。
ちべたいし、泡もあるし、香りも何となくそれに近いけど、
なんか虚しい気持ちだけは拭いきれへん。
何より男らしいいさぎよさに欠けるところが恥ずかしい。

 次なる問題点、夕食が終わってからの手持ち無沙汰が残る。
これは せんべいとお茶でごまかすことにした。
老夫婦が縁側で背中を丸めて湯のみ茶碗を包むように持ち、
「山本山」会話をしている感じを思い出すが良いさ。
僕は醤油味が好き。ほうじ茶と一緒にいただいてお茶を濁すわけやね。
これは結構僕にとって気を紛らわす効果があるんやけど、
お茶でだぶだぶ、夜中に尿意で目が覚めることもあるのでそこがネック。

 

ワインを我慢し、尿意に耐えながらのそんな夜に見る夢は……

 友人の光信君が急に訪ねて来て一緒に飲もうということになったのはいいが、
ワインの在庫がなくて慌てる。 
「休肝日やから最近準備不足でなぁ」言い訳しながら冷蔵庫を開ける。
白ワインのボトルを3本見つけるが、
それぞれのボトルには底1センチほどしかあの香しい液体は残っていない。
ほんなら、まぜてしまえ! 冷えてるから大丈夫やで クヴェーみたいなもんやな
とか笑いながら、何度もグラスを口に近づけるけれど飲むことができない。
今確かに口に含んだはずやのにその感覚がない。
光信君もぼくと同じように飲めない様子。
なんでやねん?
リースリングとピノとグラウアーブルグンダーの混ざった複雑な香りも、
口の中に広がるちべたさや、喉越しの爽やかさが味わえない。
あー イライラするなー ほんまに。

鬱陶しく目が覚め、そしてトイレに向かう金曜の朝。
今日は木曜日やないんやとニヤリとする金曜の朝。

僕って奴は…… ーまー

重い腰

2013-10-20 | ピアノ技術者の仕事

 自動演奏装置付きのグランドピアノ
工房に運び込まれて、早2年半。←その時のブログ



 どこに不具合があって自動演奏できないのか大体解っていたのですが
つい後回しになってね。夏休みなど比較的仕事の少ない時期を狙って
じっくり勝負しようと思っていましたが、手付かずで放置状態でした。



 依頼者の方には演奏会場でお会いするたびに催促されていましたが、
「ピアノの不具合は完全にコントロールされています。」
「特殊な楽器なので時間がかかるものなのです。」
「今度のクリスマスまでには完成する予定です。」……
その都度ごにょごにょと言い訳しておりました。
仕事人としていかがなものか!



 ようやく装置を修理しましたよ。 
未だに構造のすべてを把握しているわけではないのですが、
欠損しているバネを自作したり、ふいごを張り替えたりして、
動くようになりました。
(直るかどうかやっぱりちょっと不安やったんですけどね)

 

 後はピアノ本体の修理をするだけです。
とにかく自動演奏装置がばかでかいので、鍵盤も異常に長く、
アクション部品も一般的な楽器よりも少し複雑でとにかく重い。
再び僕の意気は消沈方向に向かっていますが、

「今月中に完成させ、その暁には録画してお見せします。」

と公言すれば やるしかないでしょ。   ―まー