マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

あれー? たしかこの前…

2008-12-30 | 愉快な仲間たち

 引退宣言みたいなことしてへんかったっけ?

「大阪の工房におると仕事ばっかりでストレスになるから」
っちゅうんで、はるばる遊びに来てくれたんですけど

修理未完成の楽器を見ると、ついつい作業台の前に立ちたくなるのは
ほんまもんの職人の性なんやろなぁ。


「僕も引退したいなぁ」
戯けた思考回路しか働かない年の瀬。

とりあえず「大晦日は蕎麦」という目標を定めた
のんきなライバル息子  ーまー でした

和蘭の首都でちょっと一息

2008-12-24 | そのほか

くわえタバコで散歩する観光客と自転車でごった返す

何度か訪れている水の都やけど
前回はどこに泊まって、何を観たのか記憶にない。
アンネの家や、ゴッホ美術館は覚えてるんやけどね…

    

アムステルダムのトラムはジェットコースターのような走り方をする。
アムステルダムの自転車は車より多い。
アムステルダムの郵便ポストは赤い
アムステルダムではアジア人や黒人をたくさん見かける
アムステルダムはダイヤモンドが有名
アムステルダムにはステーキハウスが多い

   

以上、ご報告まで  

あっ メリークリスマスっと  ーまー

増刷できるんです

2008-12-21 | 童話

 2000年にバーバラが作ってくれたドイツ語童話
   「Klavierbauer」(ピアノ製作者)

結構高評で、増刷を頼んだことがあったのですが、
当時はスキャンして印刷して綴じて…などと労力とPCのインクとか結構大変で
量産はせず3冊しか作らなかったんです

でも時が少し流れると 製本もネットで頼めることになるんですな。
これで依頼があれば何冊でも作ってもらえるらしい。

バーバラ曰く、 
「工房の宣伝とかなんかに利用してくれればわたしゃ嬉しいよ。
別にこの童話で商売するつもりはないけんね!」(ケルン地方の方言)

てことで 今工房でピアノをお買い上げいただくと、
もれなくこの特製童話が付いてきます。
童話の数のほうが販売するピアノの台数よりはるかに多いというのが問題です。

童話を読んでみたい方、 
 こちらをクリックしてください 「Klaviebauer」

 -まー

続 いろんな面で焦ってしもたCD録音のお手伝い

2008-12-15 | ピアノ技術者の仕事

 モーツアルトのオペラ「イドメネオ クレタの王」
僕が調律していたハンマーフユーゲルは通奏低音の役割   
ピッチは430Hz  本当ならば古典調律がフィットするのですが、
このオペラは調が多く変わるので異例の12平均律でお願いしますとのこと、
少し趣がなさそうに思うけれど、ソロ楽器ではないのでね…

なんか専門的で申し訳ありませんが、
でもね古典調律云々といっている次元ではなくなる事件が発生したのですよ。



録音会場はWuppertal、古いモノレールがかっこよく川の上を走る谷間の町にある教会。
音響が素晴らしいらしく、演奏会や録音でよく使われているそうです。
 しかし、教会内の温度が高い。おまけにスポットライトをガンガン照らしているのでかなり乾燥してるなぁと感じてた。
チベたいビールが呑みたくなるような温かさ。
調律の保持が悪いのもこれが原因と見た。
室温を下げることと、調律を予定より多く入れるよう交渉しましたが受け入れてもらえなかったんです。 
スポットライトはビデオの撮影と指揮者の目の悪さを考えてのことだそうな。
この教会は床下暖房なので微妙な温度調節が難しいとのこと。
ちなみに外気温は0度でした。

 


案の定、ピアノの響板が割れた  ほれ見てみぃ!
原因は もちろん過乾燥。 室温25度、湿度33パーセントは異常。

とにかく残り3日の録音を終わらせるため、調律の回数を増やし、 
ピアノの下にはびっしょりと湿らせたバスタオルを敷き、延命処置を取った。 
それでもスポットと床下暖房を緩めることはしてくれなかったのが本当に残念。
(録音後、瀕死状態のピアノは製作者のところに戻り、修理をすればまたもとに戻るのですけれど、なんか後味の悪いお手伝いになったなぁ。)

 調律だけの依頼やったけれど、録音期間中のピアノメンテも強行的にやればよかったかなぁ。
録音に付きっ切りではなく他の仕事の合間を縫っての出来事なので何かしっくり来ない気分なのです。

ところで皆さん、ハンマーフリューゲルってどういうピアノか知ってますか?

ーまー

いろんな面で焦ってしもたCD録音のお手伝い

2008-12-11 | ピアノ技術者の仕事

「調律中は静かにしてもらえませんかね」
7日間の録音期間の半分くらいまで過ぎたというのに、
ハンマーフリューゲルの調律の状態が今ひとつ悪く、すっきりしない精神状態。
話し声や音をたてないようにお願いする声も自然と荒くなってくる。
自分で楽器の調律をする演奏者はさすがに僕の立場はすぐに把握して静かにしてくれるのですけれど…

 7日間といってもずっと会場内に缶詰状態になって調律のスタンバイをしているわけではなく、
録音の休憩時間を利用して音を整える作業に入るのです。
普段は別の場所で仕事をし、彼らの休憩時間を狙って会場に駆けつけるという算段。
今回の会場が遠くにあるというのもネガティブな条件の一つ。
片道45キロで渋滞にぶつかると一時間半かかり、遅刻しないかと先ずは気持ちが焦る。

 大御所指揮者は休憩を裂いてでも次に録音する箇所のチェックを怠らない。
かなりの集中力を屈して調律している僕の真横で彼は鉛筆を指揮棒代わりに振り回しシュミレーション。
おまけに甲高いお声で歌ったりしはる。
お気持ちはよくわかるのですが
「歌うんやったらどっか他でやってもらえません? 余計に僕の仕事が遅くなるだけでっせ!」
ちょっときつく言い過ぎたかな? 
探偵アニメの博士キャラの指揮者は無言になってくれたけど、かなり気を悪くしたような気配… 
でもまぁ こちらもお仕事ですからね。

 後で聞いた話、この指揮者はその昔までカウンターテナーで名高かった人。
古典音楽の指揮者としては、有名という文字の左に「超」という文字がつくくらい、
泣く子もビビる業界の第一人者らしい。
実際、後でお名前をお聞きしてビビりました(と言うかチビリそうになったやんか)。

失礼な表現やけど、古楽器のオーケストラもすごい上手い。音程や音のバランスのよさ、修正力、協調性… 
横で聴いていて仕事ぶりがスマートで心地よい。

おまけにハンマーフリューゲルは大変美しく製作されている。僕が今までに見た中で理想的に近い1台やと思う。



そんな中で仕事をさせてもらって とても名誉なことなんやけど、
調律がどうしても落ち着かない。ゆですぎた素麺の食感のような感じ。 
ひょっとして僕の調律の仕方が悪いんか?

もちろん後半に続きますがな

ーまー