マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

五十を数えた日

2011-01-26 | ピアノ技術者の仕事

 棚から牡丹餅の一年は瞬く間に過ぎ去った。
この一年、有意義に過ごせただろうか?
昨日の晩に何を食べたかも覚えていないのに、
そんなこと振り返れるわけがない。
こういうときのためにブログがある。 読み返してみた。
ま、そこそこいろんなことしてたようやから今日のところは許してやろう。

 


 50回目の誕生日という記念すべき日(本人は特にそうは思わんが)でも
容赦なく仕事がある。
今回はピアノ四重奏ということもあっておかみさんを招待し
ブラームスなどを聴くことにした。
 
 ここのところ頻繁に調律しているのでピアノの状態は良好。 
室内楽を演奏するには大きすぎるホール。
ピアノと弦楽器の音量や音色のバランスを取ることの難しさを
演奏者とあれこれ意見交換をした以外は特別な出来事もなく、
本番ぎりぎりまでピアノに向かう必要もなかったので、
開演時間までをロビーでゆっくりと過ごすことにした。
ワインなんかちょびっと舐めたりして…(いや、はい、飲みました。)




 今年もたくさんの人から温かい誕生日の祝いの言葉をいただいた。
こうして機嫌よくいられることは僕一人でできることではなく、
みんなから支えられてのことなんやとつくづく有難く思った。
 
 
 
 ーまーさんの誕生日にワインがないのは考えられないということで 
複数の人たちからお供え物をいただきました。 毎年よく似た風景です。

お供え物は 誕生日だけではなく 常時受け付けております。   ーまー



二番煎じは響かない

2011-01-23 | そのほか

 プヨプヨやんか僕の顔!
下からのアングルで撮るなよ。広角やし… カメラマンのバカ!

 先日のエリート雑誌の取材を読んで僕のことを知った地方新聞の取材があった。
僕にとって面白くない記事になった。

エリート雑誌の文面と同じ内容の二番煎じなんだけど、
事実と違う物語に変えられているのが非常に腹立たしい。
もっと悲しかったのは
仕事に対してすごく大切にしている僕の謙虚なポリシーを、
軽薄な自慢話をしているかのような話し言葉でまとめ文末を締めていること。
僕の伝えたいことと正反対のことを書かれたことが悔しい。
 
 僕のドイツ語でのハンディキャップもあるのだけれど、
若くてかわいい記者に納得いく記事を書いてもらえるよう
上手に誘導できなかったことが今回の反省点です。

もうひとつテレビの取材(これも二番煎じ)の依頼があるのですが、
受けるつもりはありません。 どうせプヨプヨに写しよるし…    ーまー


古典楽器ルーレット

2011-01-20 | ピアノ技術者の仕事

 バッハ(ヨハン・ゼバスティアン)は音楽の父。 
たくさんの楽曲を作り そしてたくさんの子供も作った。(20人)

古典楽器を使って音楽の父と息子たちの楽曲を演奏してみましょう
というのが今回のコンサート。
オルガン(Positiv)右奥、チェンバロ(Cembalo)中央、スピネット(Spinett)左奥、
クラヴィコード(Clavichord)右端、ターフェルクラヴィア(Tafelklavier)左端
楽曲が変わるごとに演奏する楽器も変えます。
演奏者は各楽器をぐるぐる渡り歩きながら演奏会を進めます。

 

各楽器の違いわかりますか? 説明が面倒なので、知りたい方は上記リンクをクリックしてWikiってくださいネ。手抜きですネ。おまけに独日ごちゃ混ぜやし。



特筆したいのはターフェルクラヴィア(暗くてうまく写せぬ!)  
1786年に作られた イギリスのオリジナル楽器 Beck。
きれいに修復されてました。 
バッハの息子たちが生きていたころに作られた楽器が今なお演奏可能なことに驚くばかりです。 

 テーマ画像、祭壇の後ろにグランドピアノ君がカバーかぶって隠れていますよね。
アンコールの時、すべての楽器を順番に弾いて、1曲のバリエーションを聴かせてくれ、
その最後のバリエーションとしてこのグランドピアノをJazzっぽく弾いてくれたのですが、
古典楽器との音色の違いがタイムスリップしたかのようで妙に楽しく感じられ、
220年の楽器進化の歴史が音になって見えたのが興味深かったです。

 僕のお仕事はオルガン以外の4台の古典楽器調律。 
2時間半という時間制約がちょっとつらいところだったのですが、楽しかったよ。
それよりもつらかったのは教会の中の深々とした寒さ。
演奏会が終わったころには膝がじーんと凍ったようになって
しばらくおじいさん歩きをしてましただよ。
それと、クラヴィコードやターフェルクラヴィアは弦が細くて間隔が狭く、
おまけに教会の中は暗いから、調律する弦を探り出すのに難儀したことを付け加えておこう。
僕の老眼がさらに成長していることも原因のひとつであるのだけれど、この際、
それは棚に上げておくことにしょう。
 
ーまー

弱腰の原因

2011-01-16 | ピアノ技術者の仕事

 
 ピアニストの名前を聞いて先ず かつての航空機メーカを思い出した。
その次思い浮かんだのがハリウッドの映画スター。
ネットで検索するとそのピアニストは俳優顔負けの男前。
ワイルドな髭面を見てびびったわけやないけれど
どういうわけか仕事への気持ちはネガティブにしか働かなくなり、
できることなら今回はパスしたいなぁ、なんて逃げ腰な姿勢。
彼の重厚なタッチで演奏中にピアノの調律がぼろぼろに崩れていく
いやーな悪い想像をしたりして気分は更に落ち込んでいく。
ここ一週間、憂鬱な毎日を過ごしていた。いったい何が僕を不安にさせてたんやろ。

リハーサル当日、そんなしょぼい気持ちを切り替えるため、
会場へ続く長い廊下を意識的にゆっくりと大きく歩いてみたりした。
少し落ち着いて調律の作業をしているとピアニストから直接電話がかかってきた。 
オイ、僕の英会話には限界があるぞ。 
ホテルの朝食で卵の焼き方の希望を聞かれたとき、
「やわらかめのスクランブルでベーコンを付けてね、でももし別料金なら僕は卵いらねえ!」
くらいがやっとな僕の英語。 
ピアノのことで、なにやら複雑な要望があった場合ちゃんと理解できるやろか?
言いたいことが伝わらずしどろもどろになって、完璧に子供扱いされたりして……
緊張しながら電話対応を始めると、再び不安な気持ちが戻ってきていることに気付く。
どこかの国の外交政治のような弱腰な自分を情けなく思った。

が、

 なんや、ハリウッド俳優ピアニスト、ドイツ語喋りはった。 
話し終わった後、コロッと元気を取り戻したお調子者。 

そうか、 苦手な英語が怖かったんや 僕!

 二日間のラフマニノフ3番、ピアノ調律が演奏中にぼろぼろになることもなく、
ピアニストが僕にくれたガッツポーズがありがたく思えた。

今後のため、英会話の勉強しようと心に決めた。 
 でも、きっとせえへんやろなぁ、 Because I am ーまー

かがみよカガミ、鏡さん

2011-01-03 | ピアノ技術者の仕事

  
   スクープ! 酩酊ーまー君 朝帰り!
         
正月早々、こんな暴露記事と違ってよかった~

Der SPIEGEL(鏡) というドイツの主流な週刊誌がある。 
めったに行かない歯医者の待合室でぺらぺら捲るくらいしか見たことはないのだけれど、
その雑誌のオンライン版から去年の秋に取材を受けた。 
Integration(人種融合)をテーマにしている。
さまざまな境遇でドイツに住むさまざまな国の人たちの
ポートレイトを紹介する特集なのだそうな。
僕の場合そんなにドラマチックなことじゃないので、
記事にするにも一苦労したと思うのですが、 結構笑えます。
ひとつ難を言わせてもらうと、ビデオ(スライドショー)のBGMのピアノ…
テーマにあってない曲で、おまけに低音と高音のピッチぜんぜん違うし!!!
僕の調律と違うからね!

ドイツ語を読んでみたい人のためにあえて日本語の訳は付けません。
読めない人は翻訳システムを使うなり、画像だけ見て笑うなり
勝手にして下さい。
(ビデオ、画像共にクリックするともっと笑えます。)

かがみよカガミ、鏡さん 世界で一番滑稽なおじさんはだあれ?
そーっと写してくださいな、そーっと笑ってくださいな
 ← クリック

お手柔らかに    ーまー