マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

これからが本当の始まり… カナッペへ

2010-10-28 | ピアノ技術者の仕事


たとえ時間がかかっても
あわてずに 丁寧に 落ち着いて作業を続けよう
自分の納得いく仕上がりを常に求めよう。

これが[技術者の正しい姿]だと思っています。
のんびりダラダラと時間だけを費やすのは困るのだけれど…



 カナッペは3年半、僕と一緒にピアノ技術の勉強をしてきました。
テーマはもちろん[技術者の正しい姿]
普段工房で手がけている修理、修復作業は一通り消化し、
僕が教えられることはもうほとんどないと思います。
後は自分自身でセンスを磨いていけば、
ますますきらりと輝けると確信しています。



今、カナッペは工房を離れ、新しいステップを踏みだすところです。
これからが本当の出発だと思います。
どうか -誰からも信頼される技術者- を目指してください。







僕はカナッペに追い越されないよう、どうにか踏ん張りながら
きっと追い越してくれるその時を楽しみに待つことにします。


 カナッペ 小さくまとまるなよ!    ーまー


我ら、ピアノ解体業!

2010-10-24 | ピアノ技術者の仕事

 一緒に修復すると言う手段もありますぜ
 去年の夏のブログのコメントを真に受けて、日本からはるばるやってきたArikaさん。
とにかくピアノ解体をやらせてくださいとのこと。
よりによって汚れる作業を選んで、
わざわざドイツまで来ると言う奇特なピアノ技術者。





 そういえば僕がまだまだ青い学生時代、作業が終わった後にごしごしと懸命に手を洗っても
爪の中や指紋に黒い汚れが入り込んで取れなくなっているのを眺めては、
一人前の技術者になったような気分になり悦に入っていた頃を思い出したりもしますが、
女性の場合、そうはいかんのとちゃうか?



 僕たちは国立音楽大学調律専修という特殊な学校の卒業生。
不思議なくらい先輩後輩の縦の連携がやけに繋がっています。
卒業しても同類を哀れむ本能がそれぞれに芽生えているからなのでしょうか? 
国立調律科組という、マフィア的な組織が自然に出来上がっている怖さを感じたりします。



でも、こうして年齢の違う技術者が1台のピアノに向かい合える絆の素晴らしさをつくづく感じたのでありました。(実際には僕はほとんど参加できなかったのですけれど…)



 140年前の埃にまみれながら
いわしバネ ダブルフレンジ 当時のSteininway系の独特なアクション。
破損箇所を細かく調べながらとにかく解体を続けます。



 今までに見たことのない構造もあり、興味が更に湧いてきます。
きっと日本ではこのような楽器に出会う機会は皆無に等しいやろうなぁ。
そうかぁ、Arikaさんはこんなヨーロッパの匂いを嗅ぎにきたんやな。
今回の彼女にとっての解体作業の意義が理解できた気がします。



とりあえず4日間の解体作業はおおむね終了しましたが、次のステップをいつ行うかは未定で、
しばらくはお預けとなります。 (慌てることはない)

 Arikaさん、 一緒に組み立て作業すると言う手段もありますぜ    -まー

親愛なる母君へ

2010-10-20 | そのほか

 この一年が 健康で幸せ一杯に暮らせますように…

誕生日を記念して、想いを込めて注文しました。
実際に食べてもらえないのが残念でたまりません。


構図も何もないストレートに甘ーい画像で恐縮です。


ーまー

ピアノを電車に積み込んで

2010-10-10 | ピアノ技術者の仕事

 刑務所の中 防空壕 トンネル 船上 プールサイド 
池の上 ビルの屋上 美術館…
30年ピアノ調律をしていると、たまにピアノに似合わない場所で
仕事をすることもあります。

今回は Sバーンの車両を改造したユニークな催し物のお手伝い。 DB
出発までに調律を済ませてくださいとのこと。当たり前のご要望。




機関車を含めて6両編成の古い列車、その1両にピアノが積み込まれている
列車の揺れに耐えられるよう楽器は特注鉄柱に固定されている。
安全面には抜け目はないが、そのおかげで天板が開けられず、
調律するのに難儀した。
(いつものことで何とかこなす ーまー様です)


 


 ドラムセットが置いてある車両、音楽するんやろね


 ノートパソコンがそれぞれの座席に置いてある車両 ネットするんやろね


 全面白く塗りつぶされた車両 落書きするんやろね
 
 
 

 座席を取りはずしハイカラーな車両 デスコでフィーバするんやろね


ある日曜日の朝のお仕事でした。
取り急ぎご報告まで  -まー

赤と白の画像

2010-10-06 | そのほか


 ある画家のアトリエにピアノ調律にいく
重い樫の木の扉を開け、アールヌボーの手摺の階段を上がると
秋の赤が目に飛び込んできた。
 一眼レフのカメラが欲しいと思う瞬間



今 まっくを買うと もれなく本物のマウスがついてきます。
電池は不要ですが、毎日餌を与える必要があります。
一日のほとんどを寝て暮らします
羨ましいと思う瞬間
 

ーまー

オットさん

2010-10-03 | ピアノ技術者の仕事

「 演奏するに当たって特に気をつけたほうがよいことはありますか?
力いっぱいフォルテッシモで弾くと音が割れて聴こえる気がするのですけれど…」

「室内楽用に反響板をピアノの後ろに立ててあり、
音が直接反射して戻ってくるから大きく響くように思いますが、
客席は広いので丁度よい感じで響いています。
気になさらずに思う存分演奏して下さい。」

  

これからもトップスターの一人として更に活躍し続けるであろう
若手ピアニストさん。彼女の謙虚でひたむきな姿勢がかっこいいと思いました。
ピアノやライトアップでの過敏な要望もなく、
スムーズに余裕を持ってコンサートの準備が整いました。
ボクの少しのアドバイスにも耳を傾けてくれて、
思いっきり彼女のファンになってしまいました。

10月に入り、演奏会のシーズンが到来しました。
新しい出会いが楽しみです。  -まー