マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

素敵なごあいさつ

2010-12-30 | ピアノ技術者の仕事


キャー カッワイイー  年甲斐もなくそう叫びたくなる。



やさしそうなトラがピアノの鍵穴から、
ピアノを弾くしっかりもののウサギを覗いている。
しっかりもののウサギは黒い鞄を持っている。
ははーん お道具箱やな、どうやら同業者らしい。



しっかりもののウサギは 2011年の1月から、
ピアノの部品や我々技術者が使う専門工具をユニークに説明してくれる。 
そして来年の12月、 しっかりもののウサギはピアノの鍵穴から 
お道具箱を持ったひょうきん顔の辰の技術者を覗いている……

江戸のピアノ技術者さんからこんな粋なカレンダーをいただきました。
暮れのご挨拶に大切なお客様に配るのでしょう。 
ピアノに対する思い入れが感じられる素敵な贈り物だと思いましたので、
ここに紹介してみました。

江戸で彼女にピアノ調律を依頼するともれなくこのカレンダーがもらえます。 
勝手に決めてしまった。ほんまかなぁ?   ーまー
 
一言:  よいお年をお迎えください。 



男のくりすますイヴ料理

2010-12-25 | 愉快な仲間たち

 比較的穏やかで静かな聖夜

サトチンが料理を作りたいというのである程度見守ることにした。
敬意を表して、「よくできました」というか
クリスマスの料理を作りたいと思ったことを褒めてあげたい。




さすが家具職人の丁稚、鋸の持ち方で包丁を握るので、
なにやら切りにくそうやった。






今回の参加者メンバー。



ご馳走様でした。    ーまー

ホワイトなクリスマス

2010-12-24 | そのほか

 まだ降り止まず…
僕たちが住むデュッセルドルフはそんなに雪は降らない地域。
今冬はよく降ってよく積もる。





 ホワイトクリスマスという情緒豊かな雰囲気を待ち望む
ヨーロッパの人たちには今日は格別な日になるんやろか。
25年ここに住んでいてクリスマスの日に
雪が積もったという記憶は僕にはないなぁ。



 日本の暮れの慌しさに似たクリスマス直前。
「クリスマスまでにピアノ調律お願いしたいのですが、間に合いますか?」
この時期に必ず聞くフレーズ。

「君は僕に狂ったピアノでクリスマスソングを歌えって言うんか?!」
あるドイツおじいさんのユニークな予約交渉が今年のヒットフレーズです。
イブ前日のお昼に今から来いといわれましてもねぇ。
「蕎麦を食わずに年越ししろというのか!」と完売した蕎麦屋に文句言うようなもんやね。

「明日はワインをいっぱい飲んでメロメロ状態で歌えば、
ピアノの狂いも気にならないと思いますよ、メリークリスマス!」
逆切れ爺さんに適切なアドバイスをしたマイスター


さて、工房前の雪かきをして、掃除して、ワイン冷やして…

  Frohe Weihnachten !      ーまー




手に伝わってくるもの

2010-12-18 | ピアノ技術者の仕事

 螺子の溝にドライバーがしっくりとはまると 鉄同士が触れる柔らかい音が聞える。
ドライバーを握る力をクッと強めると、木の部品が「締まりました」と合図する。
この瞬間が僕は好きだ。
特に古い良い楽器のそれは、手に伝わる感触と枯れた木の音がたまらない。
ピアノのアクション(打鍵機構)には400本くらいの螺子が付いているだろうか。
それでもこの緩くなった螺子を締めなおす「増し締め」はものの数分で終わってしまう。
もっと楽しみたいのに残念。
こんな単純で退屈そうな小さな作業でも、自分の手に伝わった心地よさは、
最終的に弾き手にも伝わるはずだと僕は信じている。
「心をこめて」などとドラマチックな内容ではないけれど、
弾き手が喜ぶ姿を目に浮かべながら、楽しみながら… そうありたい。

…そんな悠長なことを…
時間と戦うことが第一で作業の素早さばかり考える表面的なベテランには
到底わかってもらえない感覚だろう。
チンタラやってたんじゃ仕事にぁーならんけれど
でもね やっぱり スピードよりも大切なことやと思う。

 ーまー


クリスマス前はなぜ慌しくなるのか…

2010-12-11 | ピアノ技術者の仕事
 
 隣町の交響楽団が主催する演奏会の年間プログラムは事前に検索し、
その日はきっとピアノ調律の依頼が入ってくるだろうと
「見込み枠」を前もって確保してスムーズな対応を取れるようにしています。
それでもうまく事が運ばないことがたまに起こってしまうドイツのマネージメント。
なぜか憎めなく、愛嬌があるといってもいいかもしれません。

1週間前になっても調律依頼がないのでおかしいなぁと思ってた。
演奏会は中止になったのかねぇ? 
当日の午後になっても連絡がなく、やはり気になったので確認を取る。
「ケルンWDR交響楽団のGastspiel(客演)だからが彼らがピアノを準備するんじゃない?
私は何も指示を受けてないわよ。 だから今日はあなたの出番はないわ!」と軽ーいお返事。

おかしいなぁ、そんなはずないけどなぁ、でもお呼びでない。
じゃぁ、クリスマスまでに調律を希望するキャンセル待ちのお客さんを
その枠に入れてあげようとスケジュール調整している最中、
「やっぱり、うちのピアノを使うんだって、だから今からすぐに来れる?
ーまーさんの万端な注意深さにはほんとに心から感謝するわ!」  
…ほら、やっぱり忘れててんねぇ…

リハーサル開始1時間前に現場到着。何とか間に合いました。ふーっ
今回僕が確認をせず調律なしのピアノで演奏することになった場合、
誰が一番困ったのだろう。それを想像しながらリハーサルを聴く。



楽団のえらいおじさん曰く
「よく見落とさず報告し、機敏に対応してくれました。
ーまーさんはわが楽団の宝です!」
あはは、そんなお褒めの言葉はいらんから
今回の感謝の気持ちを「ちょっと高級な赤ワイン贈呈」で表現してみる
っていうのんどうです?
そうすればクリスマスには確実に3本の赤ワインがテーブルに並ぶことになる…
 
      ーまー

蛇足 ラフマニノフピアノ協奏曲1番はあまり聴く機会はないようです。
   彼の18才の時の作品。2楽章は特に泣けます。

5年前の夕陽

2010-12-01 | そのほか

 時間に追われるだけの日が続き、疲れきっていたあの頃
ゆっくりと沈み行く夕日を眺めてリフレッシュした、5年前の初冬
ちょっとつらかったけれど、乗り越えられたな。
そして5年後の今、あの頃より少しは強くなれたかな?


 生ぬるい大阪育ちやからマイナス7度にはついていけへん。
身も心も凍えている。
この季節はいつも時間に追われてるけど、それどころやない。

   寒い

「こんな日は ハフハフおでんに コップ酒」
あーぁ ちんけな言葉しかでてけぇへん

戻って来い 俺の感性!    -まー