マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

ネズミ捕りのやっさん

2006-04-29 | 笑い
あんなぁ、気持ちよう寝てると思てるやろ?
ちゃうねんで、ボクの心はごっつうブルーなんや。
これでも昔は「ネズミ捕りのヤッサン」言われて、ここらではブリブリやっててんで。
自分で言うのも何やけど、女の子にももててたと思うゎ、うん。

この前な、若い頃思い出してネズミ捕まえたろう思て試してんけど、
最近のネズミは素早うなりよって、なかなか捕まえられへんねん。
まあ、ボクのフットワークが悪なったんもあんねんけどね、
フーフー言うてやっと捕まえて大将んとこ見せに行ったってん。
「食べもん売ってる店にネズミなんかもってくな!」言いはんねん。
褒められる思てたからガクッと来てな、その瞬間にくわえてたネズミ店の中に逃げてもてん。逃がしてしもたって言うたほうが正確やなぁ。
で、「お前はここに入って寝とけ!」てな。

箱になんて書いてあるか? 
Rentner レントナーってあんたらにはRの発音難しいやろけど、あんたらのお国の言葉で言う「年金生活者」っちゅうこっちゃ。

こうやって店先で寝てるとみんな立ち止まりはるやろ、そのついでに物買うてくれはる時もあるから、ちょっとは商売の手助けになりますのや。
年金もろても税金払わんならんような時代やからねぇ、ボクもこうやって働いてますねん。

いわゆるその・・・
 まぁ年金ねこ? ですかね
いやいや
 まねき猫 ちゅうかその・・・ ごにょごにょ ・・・


―まー  番頭      更新時 7位  


断弦

2006-04-27 | ピアノ技術者の仕事
ピアノの弦は鋼鉄(スチール)でできている。
一般の「ピアノ線」よりも精度がはるかに高い。
各セクションごとに0.025ミリずつ太さが変わっていく。

強い打鍵、調律などによる引っ張りの力の変化、経年変化によって弦が切れてしまうことがある。錆も大きな原因のひとつだ。
切れた弦は新しく張り替えることになるが、
中音と高音部の鋼鉄線は普段、手持ちがあるので断弦してもすぐに張り替えることができる。
-中音部は特に太い弦が張られているのでめったに切れることはない―

低音部にはいわゆる『巻き線』が張られている。鋼鉄線に銅製のワイヤーを巻き付けて作る。
機種によって太さ長さがすべて違うので、既製品は無く1本ずつ作られる。
この低音部の銅巻線が切れると少々厄介だ。
長さをはかり、太さをはかり、巻き線機という特殊な機械で作成しなければならない。
結果、修理に時間がかかり、コストも高い。
新しく張った弦はどうしても他の弦と音色が違ってしまうという欠点もある。




親方の親方あたりの昔のピアノ技術者は、このように切れた弦をどうにか結んで修理していたらしい。その場で修理できる(かなり器用な技術だと思う)。
物理的に弦振動のことを考えると、理想的な修理方法だとは思えないのだけれど、
つなぎ合わせた弦が悪い音だという印象がないのが不思議なところだ。
ただ、調律する時結び目がほどけるのではないかと不安で仕方がない。

このような修理がなされた楽器に出くわすと、技術の奥深さを感じさせてくれる。
   ―これは良い修理方法なのだろうか?―


ーまー        更新時 8位  

グランドピアノ密輸大作戦 <結>

2006-04-25 | Lago物語
何のことを書いているのか分からない場合、事前、カテゴリー「Lago物語」を参照
(Lago=湖 イタリア語)
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ドラマチックな出発とは打って変わって、スムーズなピアノ運送だったらしい。
ピアノを積んだトラックはスイスを難なく通過し、北イタリアの小さな村に到着。

象牙鍵盤がやはり心配の種。
普通、車はドイツとスイスの国境でパスコントロールと、1年間有効の高速道路使用料の徴収がある。
怪しい車はトランクルームの中を検査されることもある。
ある夏休みのこと、-まー親方は真っ黒に日焼けした顔にサングラス、アロハシャツっぽい軽装でイタリアとスイス国境にてしっかりとトランク検査を受けたことがある。
やばいものは持ってなかったので問題なかったのだけれど、東南アジア系チンピラの煙草密輸が流行ってたからなぁー
M-A家族は綺麗なお嬢さん二人連れで人相も悪くないのでスムーズに通過したらしい。
(内心ちょっとドキドキしたらしいけれど)
話のネタとして盛り上がりもなく、象牙鍵盤も無事旅行鞄の中で静かに旅を終えた。

追いかけるようにピアノ工房ご一行様は、旅準備を始めた。
忘れちゃいけないアイテムは
 おかみさんのヴァイオリン、親方はピアノ調律お道具箱
 サトチンはゴムボートと馬鹿でかい水鉄砲
 
到着翌日、公民館に出向く。
埃まみれのピアノと象牙鍵盤の入ったトランクが会館のど真ん中に鎮座している。
新しくできているはずの建物は未完成の工事現場のまま。
あと6日で使えるようになるのだろうか。ほんとにのんきなイタリア人。
不安ながらにM-A主催のオーケストラ講習会は始まる。1週間後には村の人たちを集めてコンサートを開くのだ。それに平行してーまー親方のピアノ組み立てと調整を進めるが、肝心の公民館の完成が・・・

ハンマーフェルトを削っていると工事現場のお兄さんたちがめずらし眼でぞろぞろ集まってきた。
「現場監督不在=サボりっぱなし、イエーィ!」のお兄ちゃんたちだ。
気にせず黙々と仕事を続ける。 
しばらくすると気の利く職人は「ツカッテミーナ」と掃除機を持ってきてくれる。 
数時間ぶっ続けで作業を進めていると、「ノンデミーナ、ウマカローネ」って冷たい水を運んでくれる。
そうこうしているうちに彼らは自主的に動き出した。
やはり彼らも手を動かす同じ職人、-まー親方の真剣な姿に刺激を受けたのだと思う。(完璧に自慢。えへん!)
とうとう予定内で公民館を完成させてしまったから驚いた。


初めての演奏会は満員御礼。
このイタリア講習会の模様は 「Lago物語」として続く。(と思う)

ーまー         投稿時 8位  


バトン

2006-04-23 | そのほか
 
   桜からのバトンを蓮華、つつじ、アヤメ、山吹など
   次々に花開き渡すさまは圧巻、楓の黄緑もスタンバイOKです。

花の饗宴という名でいただいたスプリングパワーを感じる素敵なメールからのパクリ。
(ごめん)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「バトン」 最近ブログやMixiでやたら流行っている。
我々の年齢になるとそんなに面白そうには思わないのだが、とうとうこちらまで回ってきた。 
ご指名を受け、それも〔かおりん〕さんからとなると参加しないわけにはいかぬ。
「お酒バトン」なにやらジャストミートしたお題やし・・・
 
Q1■酔うと基本的にどうなりますか?
   とりあえず陽気になるのでございます 基本的に無口なんですケロね 
Q2■酔っ払った時の最悪の失敗談は何ですか?
   自分の心の想いをどうしても相手に伝えることがでけへんで、悔しゅうて、情けのうて、
   夜一人で飲み始め・・・ 気がついたときは次の日の夕方・・・
Q3■その時どの位飲みましたか?
   バーボンの空瓶が1本ころがってましたわー (今はウイスキーは一切飲まへん)
Q4■最悪の二日酔いはどんな感じでしたか?
   お昼過ぎてもへらへら笑いながら仕事してました。頭痛かったケロね
Q5■酔っ払って迷惑かけた人にこの場で謝りましょう。
   堪忍な。あの一言がなかったら僕らはもっと仲良くできたのに・・・ 
   一言多いねんなぁ   
Q6■今、冷蔵庫に入ってるお酒の量は?
   モーゼル ハルブトロッケン 1本のみ! ボクあんまり呑めへんねんよ!
Q7■好きな銘柄は?
   ワインですか? ビールですか? 日本酒ですか? 焼酎ですか? 
Q8■最後に飲んだお店は?
   二日前に「ワインキャット」で楽しく 
Q9■よく飲む、思い入れのお酒は?
   その時々に思い入れこんで飲ませてもろてます
Q10■バトンのジョッキを渡す人3人!  
   3人だけかいなぁ ほんなら、ブックマーク参照で・・・
   ☆ もちろん Tomochan
   ☆ 昔一緒に呑んだ ハーモニー♪ さん
   ☆ 学生の頃の酩酊場面が脳裏に浮かぶ 440さん
  時間あったら書いてやってくラさいね  ヒックッ! 

  -まー           投稿時 7位   

グランドピアノ密輸大作戦 <転>

2006-04-22 | Lago物語
何のことを書いているのか分からない場合、事前、カテゴリー「Lago物語」を参照
(Lago=湖 イタリア語)

・・・・・・・・・・・・・

グランドピアノを運送する時は、脚3本とペダルボックスを取りはずし、ピアノを立てて運ぶ。

運び屋は約束の時間を3時間オーバーしてM-A宅に到着。
エンジントラブルで途中トラックを修理していたらしい。
どこがどう壊れていたのか分からないけれど、いろいろいじくってたら直ったらしい。
見かけもボロボロで、イタリア往復途中に大破しかねない代物。
別のトラックにしようということで、仕切りなおし。

2台目のトラックはしっかりと動きそうな感じだった。
残念なことにピアノは4センチほどトラックの天井よりも高く、積み込めなかた。
てことで、また仕切りなおしを余儀なくされた。

時間がない。今からフランス周りだともっと時間がかかる。
強硬手段で最短コースのスイスを横断しようか?
もし象牙鍵盤がスイス国境で見つかったらどうする?

―まー 親方のアイデア
 象牙鍵盤をピアノから取り外し、それをトランクに詰めM-Aの自家用車で運ぼう。
 まさか、スイス国境で家族旅行の鞄の中まで調べることはないでしょ。
 ピアノ本体と鍵盤がイタリアに到着したら、-まー親方が現地で組み立て、調節する。



これで時間を取り戻せる。 
やっとこさ3台目のトラックには「鍵盤なしピアノ」を、象牙鍵盤はM-Aのトランクに詰め込み、彼らは何とかイタリアに向けて出発することができた。

その夏、-まー親方はイタリア、オジェッビオの新しい公民館で
難儀して運んだピアノと再会することになった。


―まー      更新時 8位 →

もきゃー

2006-04-20 | 愉快な仲間たち

チアノダさんから 壁紙もろた
ラフマニノフのお言葉つきや!

もう1枚 時間割表を自分で書き込んだ壁紙ももろた
もう時間割表を使う年齢は過ぎたんでこれはサトチンに渡そう

おおきに チアノダさん 
キャラクター ブックも面白いで!

ーまー

← 更新時 8位


スプリング パワー

2006-04-17 | くっさー

出張帰りに寄り道をする
君に会うために

ゆっくり流れる緑の川辺
ここでも君は待っていた

力強く春を告げ、勇気付けてくれるのに
夏や秋ましてや冬に心を寄せたことはない
名前すら知らなかった・・・

せめてもの君への償いに
呪文のように唱えよう

 レンギョウ 連翹 Forsythie

黄色い炎に会うたびに


ーまー             
               更新時 9位→ 


札束

2006-04-15 | 笑い
 その男はズボンの後ろポケットからくしゃくしゃに二つ折れになった札束をおもむろに出し、
テーブルの上に紙幣を1枚ずつ並べながら低い声でつぶやいた。
「きっちり持ってきたで、はよブツ渡しんかい!」
「まあ、そんなに慌てなさんなて、先ずは書類から始めまひょ」
テーブル一杯に並べられたお札にチラッと目をやり、不安げな気持ちを相手に悟られないようポーカーフェイスを装う番頭。

あれこれと事前に現場のシュミレーションをした。
何しろ番頭の頭に ―もし、今はやりの偽札やったら?― が浮かびあがったから。
 ・受け渡しは第三者に立ち会ってもらおう。
 ・大丈夫と思うけど、万が一のために書類はしっかりさせておこう。
 ・現金の確認をするまで、ブツを相手に渡さないようにしよう。
 
「覚せい剤の支払いはアタッシュケース満杯のキャッシュ」ってほど豪華なものではないけれど、それでも車の頭金になるくらいの金額(普段手にする枚数からかけ離れたお札の量)なので安全な銀行振り込みか小切手受け取りを希望した番頭だが、
「急いでんねやろ? これが一番早いって。いつもニコニコ現金払いにさせてえなぁ!」
とあっさりと相手のペースに・・・

自動車ディーラーの販売員立会いの下、セレモニーは意外とあっけなく終わった。
ほっとした番頭がそのフランス人系事故車買い取り業者のお兄さんに話す。
「でも、いまどきキャッシュ並べるのはエレガントさに欠けるよ!そう思わん?」
業者のお兄さん曰く、「オートモービル業界は【現ナマ】が主流。これが一番早くてお互いに安心。ほら、あそこにいる東欧人も我々の仲間、ポケットに数万ユーロ持ってるよきっと」
自動車ディーラーの販売員も「んだ、んだ」と同意のうなずきをする。

事故車は査定より高く買い取られ、ドキドキの現ナマを買い替え車の頭金の一部として販売員に即手渡し、
一件落着。
結局、札束はドイツが誇るICE特急のごとく右から左へと番頭の前を通過しただけ。
  
「なんか損した気分」
3週間前の交通事故で被害者になってから何かに付けてこの言葉が・・・

え? どんな車買ったかって? これでんがな!

ーまー 番頭      ← 投稿時 9位 

グランドピアノ密輸大作戦 <承>

2006-04-14 | Lago物語
何のことを書いているのか分からない場合、事前、カテゴリー「Lago物語」を参照
(Lago=湖 イタリア語)

M-Aにすっかり洗脳されてしまったピアノ工房ご一行様は、ことごとくイタリアファンになってしまった。(俗に言うハマルってやつ)
食べ物が美味い。特に野菜は格別!ねじれて傷だらけのキュウリやなす、トマトなどがスーパーマーケットででゴロゴロと売られているけれど、きっちりと野菜の味がする。
マジョーレ湖の夜景を眺めながらピザをほおばり、ワインを飲む。
体感したものだけが分かる最高の空間。
 


ドイツに戻ったご一行様は、すかさずイタリア語会話のCD-ROMを買い、次の訪問に備える。
(途中挫折のため 毎年1から10までを何とか数えられるくらいまでにしか上達しないのだけれど)

さて、M-Aが運びたいピアノはイバッハというドイツメーカーの1900年前半製のグランドピアノ。
厄介なことは象牙鍵盤。ワシントン条約という憎きアメリカが考え出したお約束事に引っかかる。象牙は日本への輸出が多く(印鑑や家具装飾に使う)これ以上貿易しちゃだめって世界的に決めてしまったから大変。
ヨーロッパ国内の移動は基本的に問題ないのだけれど、中立国スイスを通る際にこの条例を守らなければならない。通過するだけなのに許可が必要。
その許可(用紙1枚にスタンプを押すだけ)を取るために3週間もかかる。
いろいろ考えた挙句、スイスを通らずにフランス経由でイタリアに運ぼうと計画した。
スイスを通過すると最短距離で約800km、フランス経由だとかなりの遠回りになる。
けれども書類1枚用意するよりは近道だと判断した。
M-Aは初回の音楽講習会に間に合わせるため、友人にピアノを運ぶトラックを用意させたのだった。
でも、約束の時間が過ぎても運び屋は現れない・・・

<転>につづく

ーまー
        ← 投稿時 ランキング8位 
 

教えて!

2006-04-13 | そのほか

 この木何の木、気になる木 

毎年、イースター祭の頃あちらこちらの庭先でいっせいに黄色い花を咲かせる。
春の陽射しを浴びると鮮やかな黄色が目に飛び込んでくるインパクトのある花。
ボクにとって「春を告げる花」なのだけれど、なんと言う名前なのだろう。
日本で見た記憶がなく、ドイツ語でも知らない。

ご存知の方、教えてね。

春の色は「黄色」ですね、ウサギやたまごも忘れてはならないアイテム。
いよいよ大好きな春です。いいよねー ポワーッと眠くて・・・

このあとぼちぼち白アスパラガスの旬がやってくる。今年は例年より遅く、
4月下旬が食べごろなのだそうな。

―まー

     ←更新時 8位   

それでも春

2006-04-10 | そのほか
もうすぐ季節はひと巡り。
懐かしい人たちと再会した喜びや、交通事故に遭い被害者は最後まで被害者だと怒り、
秋の夕日を眺めて、たそがれ気分になり、友人との集いを楽しみ・・・
ブログを始めて1年が過ぎようとしている。
こうして書き出してみると結構いろんな出来事があり、いろんなことを感じたような気がする。

交通事故の処理(廃車にして新しく買い換える仕事)が進まず、納得いかず、
心から春の到来を喜べないのだけれど・・・

久しぶりに散歩にでも行こうという気持ちになった。
ライン河に出てみた。 
羊の群れに出くわし、しばらくベンチに座り観察した。

子羊は母親のそばで戯れている。一番幸せな時やね。(ラムチョップを思い出す)
吉本のカンペイちゃんみたいに、大木に体をこすり付けている羊もいる。
(ボク、カイイノ!)
くしゃみを連発している花粉症の羊もいた。(お大事に、これからますます辛くなるよね) 

毎日のんびりと芝を食い続けるだけの羊たちにもきっといろんな性格があるんやろなぁ。
朝の目覚めの瞬間めちゃ機嫌が悪い羊
実らぬ恋に悩み友達に相談する乙女羊とか
満腹やのに、デザートは必ず食べな気がすまんベツバラ羊 
勉強せんと遊ぶことしか考えてないサトチン羊
チャンスがあったら向こうの川岸まで泳いでみたいと考えるチャレンジ羊 
近くのものが見にくくなったと言っては加齢を嘆く番頭羊・・・

羊を眺めていると眠くなってきた。 春の訪れやね。

―まー      
             ←投稿時 8位でした
          

チョイス

2006-04-07 | ピアノ技術者の仕事
この会場には2台のコンサートピアノがある。
ひとつは、会場が所有し、もうひとつはこの街の交響楽団が所有している。
両方ともS社のフルコンサートグランドピアノ。

多目的に使われる会場なので、会場所有のピアノは必然的に多目的に使われる。 
一方、交響楽団のピアノはピアノコンチェルトなどクラッシックの演奏会のみに使われる。

今回の演奏会はモーツアルトのピアノコンチェルト2本(c-mollと Es-Dur)、それにバルトークのタンツスイートが入るプログラム。それぞれにピアノが必要なのだが、開演中に何度もピアノをあちこち移動させるわけにも行かないので、今回はこの両方を使うことになった。

さて、ソリストはいったいどちらのピアノを使うのだろうかと裏方はあれこれ思案した。
会場所有のピアノは1984年製、多目的に荒っぽく使われているので、状態はけっして良くない。高音弦は何度も張り替えてあるし、アクション調整や音のばらつきなど気になるところは多い。ただ、音は良く鳴る。
交響楽団のピアノは1999年製、まだ新しく、ペダルも軽いし、音のバランスもよい。
まだ新しいのでちょっと鳴りは物足りないけれど、無難。

たぶん、新しい楽器を使うだろうと思っていたが、ソリストは古いほうを使うという。
少々驚いたのだが、やはりソロの楽器として少しでも鳴る楽器を選んだのだそうな。
何よりも象牙鍵盤なので彼には弾きやすいらしい。
実際、演奏を聴いてみてなるほどなと納得した選択だった。さすが!

1台はモーツアルト用、もう1台をバルトーク用に調律する。どこをどう違えて調律するって訳ではないのだが、イメージが違うんよ。(うまく説明できん!)

          
蛇足
今回のピアニストはフランス語を主に話す。お互い片言の英語でのコミニュケーションはぎこちなかった。
指揮者はさすがにフランス語で会話してはりました。

これを機にフランス語でも初めよか?
「モンぺトジュバン?」
「アホッ チャイマンネン パッ デンネン」てか?

ーまー    ←投稿時 8位

グランドピアノ密輸大作戦 <起>

2006-04-05 | Lago物語
マーク アンドレアス シュリンゲンジーペン という長い名前の友人がいる。
マーク アンドレアス シュリンゲンジーペン は指揮者だ。
マーク アンドレアス シュリンゲンジーペンと書くのは面倒なのでM-Aと以後省略するけれど、マーク アンドレアス シュリンゲンジーペンと必ず読んでね!

M-A一家に誘われてイタリア北部、マジョーレ湖に面した小さな村、オジェッビオに初めて訪れたのはもう8年くらい前だろうか。 
オジェッビオは険しい山の中腹に位置し、スーパー、パン屋、肉屋、薬局、バー、散髪屋、雑貨屋、ピザ屋が各1件あるだけの小さな村。 
そこにM-Aの別荘がある。 別荘といっても超豪華なイメージからはかけ離れているけれど、イタリアの片田舎の古い家を買い取り、自分たちで改装した住み心地の良い空間。 
窓からはマジョーレ湖が一望できる最高の場所。1日中眺めていても見飽きることはない。
自然がいっぱい。トカゲがそこらじゅうちょろちょろと走り回っている。小さなさそりもいる。夜には蛍も蒼い光を放っている。
ピアノ工房御一行様はM-Aの隣の家を借りた。庭付きだ。庭にはピザを焼くかまどがあった。部屋の中では特大ゲジゲジが歓迎してくれた。 

  
 
村から湖までは徒歩10分くらい。ほとんど転げ落ちるような急勾配の坂道をくねくねと降りていく。(徒歩で下りると帰りは登山することになる)
マジョーレ湖の水は冷たい。真夏でも泳ぐのにかなり勇気がいる。ドイツ人は神経がないので平気でジャボジャボ入っていく。

M-Aは冷水泳のあと湖畔で彼の夢を静かに語り始めた。夢というよりは僕たちへのお願いのような感じだった。
――翌年、このイタリアの片田舎に公民館が建つ予定。そこを利用して夏に音楽講習会を開こうというのが彼の夢。
素人の音楽家を集め、即席のオーケストラを作り、オーケストラの醍醐味や楽しさを味わってもらおうという企画。
アマチュアの即席楽団なので各パートにプロを入れる必要がある。
おかみさんがヴァイオリン部門を任された。
ピアノをドイツから運び込む予定。
運んだ後の楽器調整をーまー親方に頼みたいとのこと。――

ドイツからイタリアまでのピアノ輸送。ここにちょっとした問題が発生するのだった。

<承>に続く

ーまー 親方    ← 投稿時 1310ポイント 7位

共通点

2006-04-03 | 愉快な仲間たち
共通点

MKさんがはるばるやってきはった。僕と同じピアノ技術者や。
僕らは2つの同じ母校を持つ。
国立調律科と、ドイツマイスターシューレ(マイスター養成学校)
同じピアノ技術の仕事をそれぞれドイツと日本でやっている。

去年にも一度日本で会った。(画像、四谷怪談 参照↑)
せやからそれほどめちゃめちゃ懐かしい感覚ではないけれど、
遠方からの訪問、嬉しいもんです。
とりあえず、お互い生きてて良かったねと再会を喜び、
子供の成長ぶりを話すことで時の流れの速さを嘆く。

会うたびに思うねんけど、彼と僕の違いはなんと言っても親方の貫禄の差。
髭なんかはやしやがって、ますます落ち着いた感じ。
完璧に差をつけられてるよ。
アホなことばかりを関西語でまくし立て、
―今日も楽しく酔っちっち~― なんて雰囲気は彼には全くない。
何もかもがジェントルマンなんですよ。

でもね、共通点があるんよ。それは「おかみさん」
おかみさんが同一人物なんとちゃうよ、
似てるんです。
 
それぞれのおかみさんは、そこそこ美人です。いやほんま、嘘ちゃうよ。
(あんまり褒めるとあかんので、チャーミングやってとこぐらいにしとこか?)

せやけどな、怖いねん!!
世界で一番怖いもん何や? 
『おかみさん!』 二人で同時に即答や。 

「行ってきます」言えへんかったら怒られるし。
一日の行動予定を事前報告せなあかんし(それも最低2回は・・・) 
油揚げ1枚のことで火を噴くときもあるし・・・

ーまー親方とMK親方、貫禄の差はあれど、同じ道を歩いてきてるだけあって、 
要所の重大な選択ポイントが似てるんですわ。とほほ・・・

 -まー 親方 (リアクションが怖い)

         ←投稿時、1260ポイントで7位

よだれ カンタービレ

2006-04-01 | 愉快な仲間たち
先週の交通事故現場跡を眺められる市電に乗って隣街に住むTomochanちに行った。
おかみさんと雨上がりのお出かけですわ。

遅刻気味に行ったのでパーチ準備は完了してた。―ごめんな、手伝わんと―
テーブルの上を眺めると手巻き寿司パーチーだと一目で分かる。
豪華絢爛やん!

よだれ倶楽部のドイツオフ会の火蓋が切られた。
ドイツのAkkochanとは初対面。彼女はブログそのままの何事にも丁寧なお方。

愛妻(Tomochanの)エリーちゃんの、寿司飯の美味しいこと。
それに野菜にはちゃんと下味が付けてあるんで素材の旨みが引き立ってるねん。
ほんま感激もんですわ。
Akkochanが買ってきてくれた新鮮ネタ、特に「はまち」なんてこちらではあんまり食べられへんものやのに、
どこで仕入れてきはったんやろ。みんな偉いわぁ。

もちろん飲みもんはワイン。
シュワシュワしたんやら、白いのんや赤いのんが 次々出てくんねん。そのつどグラスの形も変えはるんやけど、ちゃんと道理にかなってて、違ったグラスで飲むと味が全然ちゃうんですわ。 
しばしグラスの話で盛り上がりましたけど、ごっつい上等のワインやったんやと思いますわ。
Tomochanの解説がなかったら有り難味のない飲み方してたやろなぁ。 
僕らは―遠慮―という言葉を知らんから、次々に飲みまくってたけど、
きっと「ええ加減にせえよ!」思てはったんちゃうかなぁ。

シンデレラが帰らんならん時間に、Tomochanの友人のデニスちゅうアメリカ人がこれまた上等のワイン2本下げてやってきはった。
英語、ドイツ語、日本語、関西語の主要4ヶ国語が混ざり合う会話バトルが愉快やね。
まだ彼の持ってきた残りの1本が開いてへんのに帰らんならんから、
後ろ髪が抜けるくらい引っ張られた。痛かった。
 
デニス兄ちゃんは変な外人。帰り際「都はるみ」をジェスチャー入りで唄ってくれはった。

   ッサンッヨ~ナ~ラ  サンヨ オナラ~ 寿司ニナ~ァッタヒ~ト~
     (~ではちゃんと「こぶし」をまわすデニス君)

けったいな空間「Tomochanち」の心温まるオフ会でした。
おおきに!Tomochan みんなにあんじょう言うといてや!


写真撮るのん忘れてしもた

ーまー         ←投稿時、1390ポイントで8位