マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

夏は やっぱりロックやで!

2009-07-26 | ピアノ技術者の仕事

 夕立の後、透明のグラスにかち割り氷をカランと落とし、麦焼酎をトクトクと注ぐ。
涼しそうに弾ける氷の音を楽しみながらグラスを口に近づける。
「クワーッ 生きてて良かった」 疲れたおじさんの楽しみの一つ

そのロックやなしに、ロックンロールのお話や。

 

オープンエアの会場に到着したときは 
上からぶら下げる照明が定位置についたところ、
この後30分でアンプやら楽器やらをトラックから運び出し組み立てる。
この仕事の速さはお見事でした。

 
  
ピアノを組み立ててもらい、調律を開始。
「1時間でお願いね!」
1時間で初対面のピアノをこの騒々しい現場で調律するのは酷な話なのですが
だいたいいつもこんな感じ。手を抜くのではなくて、音が聴こえないのであります。
頼りになるのは「感」そして「勘」 

ステージの主役、
最近のロック界については勉強不足で、存じ上げない人だったのですが、
あっと驚くスーパースターの一人だそうな。
(ここで名前を書くとまずいのでWikipediaリンクしときます) 
ファンのサトチンなどはかなり興奮気味で一緒に来たそうにしていましたが
あいにく手術中でしたもので。(日ごろの行いが原因だと世の人は言う)

調律が終わり 
イーグルスのバラードのさわりを弾いてみましたところ、
仕事の手を止めてこちらに声をかけてくるスタッフ。
「and?」続きを弾けという催促ですが さわりしか弾けませんので

「今日はこれくらいで勘弁してくれよ、後は よろしく!」
永吉さんになった気分で ステージを後にした
アジアな調律技術者 -まー でした。


ニク,クイテェ 

2009-07-23 | 愉快な仲間たち

 「腹ヘッタ」
サトチン、術後開口一番のお言葉でした

虫垂炎で入院即手術

おかみさんは日本、僕ははずせない仕事の進行中(後日記載)っだったので
かわいそうにもだれの付き添いもなかった。
電話連絡で励ましたり指示したりはしたものの
腹痛を堪えながら、主治医を経て大きな病院で再検査、入院手続き、そして手術。
一人でこなしたサトチン、「大人になったなぁ」と思った瞬間でした。

今日、術後2日目の朝に 乾パンとお茶が朝食に出たそうな

昼食時に見舞いに行く。
空腹でとにかく肉類が食べたいらしい。
夢に出てくるものは焼肉やお寿司だそうな

しかーし 実際に出てきたものは 乾パン3枚と具なしスープ
「これはレベル1の昼食です。明日はレベル2にアップするからね」
と看護師の説明

きっと レベル2はシュニッツェル(トンカツ)にフライドポテトが出てくるよ。
おまけにビールも出てきたらええのになぁー
ほっと一安心できた会話でした。

でも最近 いろんなこと続々と起こるなぁー     -まー

PS. 画像はサトチン病室からの展望です。
   ライン河とデュッセルドルフ都心を観ています


すっごーい こんなのはじめて!

2009-07-19 | ピアノ技術者の仕事
 
明治3年生まれの爺さんがやってきた。
138歳のピアノ、いくらなんでもリタイヤに近いのかなと思うかもしれませんが、
まだまだ現役バリバリで活躍していただけそうな、足腰丈夫な印象です。

爺さんの名前はTh. Grotrian nachf. ドイツのブラウンシュヴァイク生まれ。
今のGrotrian-Steinwegの先祖、Steinwayの血筋といってもいいかも知れません。
要するにエリートですな。


とりあえず 健診がてら大まかな掃除を始めましょう。
アクションもなにやら特許物ですが、この種類は何台か修理したことがありますので
たぶん大きな問題はなく修復できそうです。
背の高さが137センチ、今の大型アップライトよりもさらに大きい爺さん。
体重もかなりあるようです。 

 背中にはネズミよけのネットが貼ってあり、それをはずしますと埃だらけの
背中が現れてびっくり。 「すっごーい こんなのはじめて!」
支柱というピアノの骨組みは通常トウヒやブナ、そう、木構造なのですが
この爺さんは鉄骨構造だったんですな。重いはずや!



1871年、時代背景を考えるとエッフェル塔(1889年)などを観てもわかるとおり、
鉄骨建築が多く使われた。その波に乗ってこの爺さんも鉄骨支柱にしてもらったのかも知れませんな。 
このことはもう少し調査してみますわ。

138年の誇りを感じながら埃を除去、
ボルトの頭が四角形でかっこいいと思ったり、
こうゆうのは手袋なしの素手で掃除するのが適切でかっこいいンやなどと
職人の端くれであることを堪能しながら、少し鉄骨にメイクアップを施してあげ
その後の作業は 一旦おあずけとなりました。


爺さんの修復は順を追ってお見せすることになりそうです。
この爺さん、どこへ旅立ちどんな歌を歌うのか、今から楽しみです。
ーまー

もうこれ以上は入りません

2009-07-09 | ピアノ技術者の仕事

 「ドイツで一番小さなピアノ工房」を自負する ーまー工房
修理でコンサートグランドピアノが担ぎこまれてきた。
全長274センチはさすがに大きく圧倒される。
水害のためスタジオから自作ピアノを工房に移し、
買い取りしたものや修理依頼の預かりものなどでピアノが溢れ出した。
アップライト7台、190センチのグランド1台、そして今回このグランドピアノ



いくら痩せているカナッペとーまーとはいえ、我々が作業するスペースはありません。
マッコウクジラのようなピアノは塗装のため先日運び出されましたので
再び戻ってくるまでの期間に何とか別のピアノの修理を終わらせ
スペース確保をしなければ先に進めません。
ええ格好して、景気が良いということをアピールしているのでは決してありません。
実際には逆です。「さっぱりわやでんねん」

 で、どれだけマッコウクジラが大きいかという検証…

小型アップライトピアノ(背の高さ110センチ 重さ180キロ)
           VS
フルコンサートグランドピアノ (全長274センチ 重さ480キロ)

   

皆さんが日ごろ見ている鍵盤(白鍵、黒鍵)の部分は両方ほぼ同じ寸法
でも隠れている部分(木が見えている部分)はこんなに違います。
それでも鍵盤はどちらも約10mm動く(打鍵するときの深さ)設定です。
「力点 支点 作用点」 グランドピアノとアップライトではその比率は違うのですけれど
どちらのほうが反応良く動くか理解できると思います。
また、これだけ長さが違うと鍵盤の「しなり」具合がまったく違うでしょ?

で、演奏者へのアドバイス…
テニスのラケットや野球のバット、ゴルフのクラブなど「しなり」を有効に使うと
ええ感じに球が飛びますやん?!
これらと同じでピアノの鍵盤やハンマーシャンクの「しなり」を感じながら演奏すると
音色も大きく違ってくるんです。 
小型のアップライトピアノでいろんな音色が出しにくい(表現しにくい)のは
「しなり」がほとんどないということも一つの原因なのです。 

さあ、みんな 大きなグランドピアノに買い換えましょう!
 
    -まー 

フンダリ ケッタリ 2009ねん版

2009-07-04 | そのほか
 
 忘れもしない、去年2008年8月3日。
今年は7月3日、去年以上の集中豪雨は夕方1時間半で
瞬く間に水浸しにしてくれた。

ピアノ工房の地下は音楽のスタジオになっている
おかみさん、カナッペ、ステファニーの3人はそこでレッスンをしていた。
3人が床に異常を感じた時にはすでに水は壁から湧き出るように流れ出し
最終的4センチの浸水。買ったばかりのソファーは机の上、
ピアノは木のブロックの上に載せて水害から救出。
4名で水の汲み出し作業に努める。

何とか水は見えなくなるまでにはなっていますが、 
カーペットはいまだジュクジュク状態です

ご心配をおかけする内容ですが、命に別状はなく、
ワインも飲んでますので安心してください。

ここにドイツのオンライン新聞をリンクします。 
画像をめくっていくとどんな状態の豪雨だったかが想像できます。

RP オンラインニュース


取り急ぎ  特派員 ーまー でした。