ピアノの話ばかりでごめんな
順調に進んでいる。バス弦も張り終わり、いよいよアクションの修理に取り掛かっているところ。
修理を開始してから5週間、カメラマンからのメール受信は19通。
かなりの入れ込みようやね。フェルトの色指定や、
鍵盤を漂白するかどうかなど技術的な質問のほかに
ちょっとめんどうなお話もあった。
偶然、ネットオークションで古いベヒシュタインのグランドピアノを見つけたそうな。
隣町の個人が売りに出したらしい。実際に現物を見に行って、手付金を払ったという。
彼は自分のチョイスに自信があったんだと思う。
確かにネットの画像ではそれほど悪い印象はうけなかったけれど。
本契約前に一緒に見に行ってOkかどうか見てほしいという、面倒なお願いをされた。
(やっぱりどこか不安が残るんやね)
ネットオークションで落札した楽器を調律してくれと言う依頼は今までに何度も受けてきた。
その中でまともなピアノに出会ったことは無い。調律不可能な楽器がほとんどだった。
売り手は価値のある良い楽器だとセールストークに余念が無いけれど、
じゃぁ 何で売りたいわけ? 理由を考えるとおのずとどんな楽器なのか想像が付く。
きっと今回もあかんやろなぁ、と言う野生の勘が働いている。
「案の定」 響板 駒 ピン板などの木材の割れ、厄介なフレームのひび割れも発見。
足やペダルボックスもオリジナルではないようだ。
修復はもちろん可能やけど、将来何十年も可愛がられる魅力ある楽器という
彼の思い描く仕上がりになるかどうかは疑問。
オークションで吊り上げられた値段にさらにその何倍もの修復費を出すという
リスクが出てくるわけやし。
とにかく、今回のことは忘れて今修復しているこの楽器に集中しようよ!
僕は間抜けだと思う? イケメンカメラマンが帰路の車中で聞いてきた。
「欲しくなる気持ちはわからないではないけど、やっぱ ちょっと無謀かもなぁ…」
この楽器の修復だけに時間を費やしているわけではなく、
他のお客さんの楽器のメンテもあるわけで、はたして納期に間に合うか…
少しテンポアップを図ってみるけれどこれがなかなかはかどらないんですな。
なでしこジャパンを応援しなあかんし -まー