マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

聴こえてますか?

2012-11-25 | そのほか

 「年に一度は調律してくださいね。 
定期的に点検することがピアノを長持ちさせる秘訣です。」
いつも真っ当なアドヴァイスをするピアノ技術者。
そのくせ、自分自身の健康診断は4年間受けずにいた奴。 はい 僕です。
その前がやはり4年間の間隔が開いていたので 
ま、4年ごとに定期的に受けてるともいえるんやけどね(オリンピックやあるまいし)

 フリーランスであたふた仕事をしている者にとって
平日の半日をまるごとまとめて空白にするというのがなかなか大変でね……
とは、ごまかしの言い訳に過ぎない。
実は内視鏡(胃カメラ)を差し込まれるのが怖いのです。
オエっとえずきながら黒くて長い異物が自分の喉を容赦なく通り
胃の中をごにょごにょまさぐられるあの屈辱感が耐えられへんのですよ。
何にも悪いことしてへんのに拷問を受けてるようで、
無抵抗に横たわった僕の涙いっぱいの目には医師の顔が閻魔大王にしか写らないんです。

 今回は内視鏡ではなく、バリウム飲んでレントゲンと聞き、快く受けることにした。
(これで何か異常が発見されたら、結局は再検査で内視鏡攻めに遭うことになるんやろうけどね。) 

 バリウム初体験でした。お徳用木工ボンドみたいな容器から紙コップにドロっと
注がれた白い液体はずっしり重い。想像に反し、なんかさわやかな味がしてOK。 
胃を膨らませるために炭酸ソーダのような粉を少しの水で流し込む。
これまた好物のイチゴ味やった。
そのあとはまな板の上のうなぎ(鯉やったっけ)のようにうねうねと自己回転するように指示があり、
右やら左やらいろんなポーズをとって胃のポートレート写真を撮ってもらいました。

 血液採集やらX線やら一通り済み、聴力検査を受けました。
「さすが ーまーさんですね 20歳前半位の聴力をされてますねぇ、素晴らしい。」
「へへ、この手の音波を聞き分けるのが僕の仕事ですからね、当たり前ですわ!」
先生の褒め言葉に有頂天になりながら、
なんでおかみさんの小言や愚痴は聴こえにくいねんやろと不思議に思ったりしました。

「もう少しこまめに定期診断を受けるようにしてくださいね。」
そんなお医者さんの声ははっきりと聴こえました。

画像と記事の内容は全く関係ないものです。 -まー






音楽の仲間たち

2012-11-11 | ピアノ技術者の仕事

 ある演奏会があった。 
こうして画像をアップすると、ーまーさんがピアノの調律したんやなぁ、
などと思われるかも知れんけど、 違います。 僕じゃないです。
個人的には是非とも調律でお手伝いしたかったんですが、
業界の縄張りがありますんでね。
ここは同業者への敬意と言うかルールもお互い守りたいからね。

自分以外の技術者が手掛けたピアノでの演奏会を聴く機会は普段あまりないので
勉強になりましたよ。 明らかに自分の音ではないことがはっきりわかるものですね。
調律の出来具合の良し悪しではなく、へぇーこんな音の広げ方してるんやーって
興味深いことも発見させてもらいました。

 

 デュッセルドルフの日本クラブで結成しているアマチュアのオーケストラ。
現地で活躍するプロの音楽家と供に大きな舞台に立てるというのは
さぞ醍醐味ある体験やと思う。
僕は今回、写真係りに任命されてんけどかなり不安でした。 
プロのカメラマンさんが、見るからに上等な機材を持って応援に来てくださり、
安堵したのです。
おかげで無責任なスナップ撮影ができましたが、
ステージの光は難しいですね。うろうろとあまりみんなの邪魔になるのも悪いし。

 

 今回のソリストは高橋愉紀さん。
感動こそせよ、音楽を聴いて涙など流したことなどほとんどない僕ですが、
彼女の奏でる音表現はずっしりと僕の奥深い場所に入り込み、
いつの間にかカメラのファインダーがにじんでいました。
そう、僕の撮った写真がピンボケなのは高橋さんの仕業です。  -まー