正直言うてちょっと焦ったょ今回は…
古典楽器を使った5重奏の演奏会 オーボエ、ファゴット、クラリネット、ホルン、
そしてピアノフォルテ(Hammerklavier)でモーツァルト、ベートーベン、ダンツィーのソナタがプログラム。
もちろんピッチも低めの430ヘルツ(絶対音感、それでも必要ですか?)
前日の夜、ピアニスト直々に調律のリクエストが携帯電話に入って来た。
ちょうどリースリングワインを軽く飲み始めた時間に…
手強いピアノだから覚悟しててねというのが彼女の念押し。
《了解しました!》と軽く返事はしたんやけど現実は…
リハーサル前、かなりの道のりを移動して搬入されたピアノフォルテの調律を始める。なんか変な狂い方をしてた。
〔ピアノフォルテとは、上記作曲家たちが当時使っていたピアノで、現在のピアノよりももっと原始的な構造でできている。発展途上の楽器といえばわかりやすいかなぁ。
いろんな意味で華奢(きゃしゃ)なんです。調律が狂うのは当たり前の設計。
でも独特の味のある音がするし、実際当時の作曲家はそんな楽器で曲をイメージしていた訳やから、古典楽器での演奏会は彼ら昔の巨匠の感性に近づける音楽のタイムマシンなんよ。〕
リハーサルに立ち会った。はじめはいい感じで響いていたので楽しかったんやけど
そのうちピアニストが弾くごとに調律が狂って来るのがわかる。
《おいおい、なんちゅうこっちゃ!》
聞くに堪えられん位の狂い方になり本番前に少し多めに時間をもらうことになった。
《これが本番で起こったらかなりまずい演奏会になるなぁ。えらいこっちゃ》
狂い方が、搬入時とほぼ同じように戻ってる。変な狂い方。
時間制限があるのでとにかく再調律しか方法はないやん。
後は再発せんように心から祈るだけ。
本番中は手に汗握る気持ちでしたわ。
贔屓のボクサーが打たれ続けてノックアウト寸前の状態を応援する気分。
危なっかしい足取り、ダウン寸前で休憩になった。
15分ほど時間があるので舞台に上がりピアノフォルテの疲労回復につとめる。
一般にいう舞台風(温度差で発生する冷気が舞台後部から吹き降りてくる現象)が原因だとわかる。
せやから変な狂い方をしてたんやね!?
気持ちは焦ってたけど、ちゃんと写真撮ったりしてるわけで、まだ余裕あるんかなぁ。
でもな、疲れたわ。時間束縛8時間 ーまー
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