マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

こんな甘ったるいもん食べれるかぃ!

2009-11-28 | 愉快な仲間たち

 甘いものは好きではない。
ボクには必要のないもんやし、特に美味しいと思って食べたことはない。
食後のデザートなんて甘いものを食べるくらいやったら
ワインを続けるほうが…

カナッペが工房に来るようになってから、休憩時間に甘いものが必ず出てくる。
初めは見向きもしなかったけど、ちょっと摘まめる程度になった。
まぁ、別に無理に食べんでもええねんけど…

 先日、同業者の方と一緒に食事をするため工房にお集まりいただいた。
食事会のデザートにと合計3種類の手作りケーキをいただいた。
わざわざ それも定期的に巴里まで出向きお菓子作りのコースに参加して
研鑽を積まれているとのこと…
甘いもんごときにそこまでする必要もないんちゃうの?
興味がないものやからつい批判的にもなる。
しかし、
作り上げたケーキ類を見て、その美しさにビックリ(画像が今ひとつダサくてごめん)
そして、
食べてみてその美味しさにビックリ 

  
 
 ケーキって買うもんやなしに 作るもんなんやと知りました。
甘さの中にもいろんな種類があって、いろんな味覚があることを知りました。
生地の作り方や焼き加減、色合いや艶、大きさやデザイン、材料へのこだわり 
ケーキ作りはかなり奥深いもんなんやと知りました。
甘いもんを見ると突如として表情が変わる甘党女子の気持ちが
ちょっとだけわかったような気がしました。

でも イチゴ系の部分は依然苦手です。  あれ ーまー


本当にええもんなんかなぁ

2009-11-24 | ピアノ技術者の仕事
丸裸にされ辱めを受けるピアノの姿
乾燥で響板に割れが入り、それを修理するにはこんな姿にされてしまいます。

ブリュートナー 1897年製 アリコート付き
高音域に共鳴させるための弦を特別に付け足し、
より豊かな響を出せるように考案された特許物。



でもなぁ、本当に効力があるんかなぁ…

ブリュートナーは
ソフトでまったりとした素朴な良き古いドイツを感じさせる
心地よい音色が特徴です。
わざわざ弦を追加させんでも充分いい音してると思うんですが、
製作者の方針ですからね。蛇足とは思わず従いましょうや。

今現在作られているアリコート弦付きモデルは設計改良され、
少し納得できる構造に変化していると思われます。


修理 もうすぐ完成です。   -まー

伝えることの大切さ、難しさ  

2009-11-15 | ピアノ技術者の仕事

このブログの中で重複する内容もあるのですけれど、
過日、デュッセルドルフのある邦人協会から会報への投稿依頼があり、
ちょっと真面目な文章を書きました。 
このブログにも残しておきたいと思い 以下、コピペしときます
画像もそのとき使ったものです。

ちょっと長いよ     -まー
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伝えることの大切さ、難しさ               

 ドイツ中世の終わり頃の徒弟制度は大変厳しい世界だったと聞きます。
弟子はみな親方の工房に住み込んで技術を習いました。なぜ住み込みかというと、その職業で生きていくための空気を吸うためです。同じ時間に起床し同じ物を食べ、同じことを考え同じことを感じ… 技術だけでなく職業に対する情熱や想いいれも日ごろの生活の中でごく自然に伝えていくことができました。
 時代は変わり学校制度が確立した以降、職人の技術習得も「学業」という形で習うことが一般的になります。レアリンゲ(弟子)は職業学校で理論を学び、マイスターの下で技術力をつけます。3年(職種によって期間は違う)の修業の後、試験を受けゲゼレ(職人)に、その後5年の経験を積み、ようやくマイスター試験を受ける資格が与えられます。晴れてマイスターになって始めて個人開業できる、という長い道のりです。
自分達の天職は自分達で守りそして育てる。これがドイツの誇る伝統的な「マイスター制度」です。



 私はピアノ制作技術の仕事をしています。デュッセルドルフに小さな工房を構えてコンサート会場や一般家庭のピアノの調律、修理、そして古いピアノの修復を手がけています。
18年前にマイスター試験を受け「Klavier- und Cembalobaumeister」という称号を得ました。マイスターになろうと心に決めた当時は実際に開業する気持ちなどは少しもなく、ピアノの故郷と言われるこの地で自分の力を試しこの大好きな職業の真髄を極めてみたいと思う純粋な気持ちがあっただけでした。マイスター養成学校ではピアノ制作技術だけでなく、経理、経営、法律、歴史、教育学なども学びました。ドイツ社会の仕組みや文化を知る上でも大変貴重な体験でした。 
 
 さて、数年前に労働市場改革の一つとして「マイスター制度」に大きな変化が起こりました。厳格なこの制度ではマイスターになって開業するまでに長い時間と費用そして強い意志が必要となり、個人開業にまでいたる職人を増やすことは容易ではありません。手工業94業種のうち65業種はマイスターのタイトルなしで開業できるようにするなど規制を大幅に緩めました。手工業への参入を増やすことで失業率を減らし、雇用を促進させるのが大きな狙いなのでしょう。今後、EUとの兼ね合いも考慮しなければなりません。時代の変化に順応する故の自然な移り変わりなのかも知れません。今現在、徒弟制度の大まかな流れは未だに存在していますが、技術のレベルや職人の質の低下を招き、消費者へのサービスや品質低下に繋がるのではないかと危惧されているのも事実です。     
 


 ピアノ技術者に話を戻しましょう。人間の音の嗜好や楽器に対する価値観もずいぶん変化してきています。けれどもピアノ技術は「音」という目に見えない物を相手に、耳と指先を頼りに感覚だけで勝負する特殊な職業ですから「感性」や「手先の感覚」が 生業として全うする為に最も必要不可欠だということはこれから先も変わることはありません。たとえ時の流れとともに職業システムがどのように変化していこうとも、それらを発揮できる環境を守り続け、今まで受け継がれてきた正しい姿を後進に伝えていくことが大切なことだと思います。
Beruf(天職)を守り育てることは難しいことです。

おフランス製 II

2009-11-09 | ピアノ技術者の仕事
 
 フランス製プレイエル社のピアノが修理のため工房に来た。
偶然にも同年代(1920年後半)でほぼ同じ大きさのドイツ製ブリュートナー
とともに仲良く並ぶことになる。
プレイエルのデザインはお洒落で、音色もかわいく煌びやかな響がする。
さすがフランス物といった感じ。
かたや、デザインはいたってシンプルなブリュートナーだけれど
アクションの正確な動きとバランスの良いタッチは
ドイツの堅実さがうかがわれる。
それぞれのお国柄を象徴するかのようなキャラクターが素敵で
現代の主流になりつつある量産主体の多国籍ブランドでは到底醸し出せない
楽器の真髄を見せ付けられたような気がする。
「フランスとドイツの饗宴ですね」カナッペの言葉がピッタリフィット。

  


 修理の仕上がりを確認するために老夫婦が工房に立ち寄られた。
5年半のドイツ滞在を終え、来週にはこのピアノとともにフランスのリヨンへ帰国される。

(水害に遭ったようだ)

2年前にアクションを修理し、とりあえず演奏可能な状態には戻してあった。
この帰国を機に響板修理をして、ようやく納得いく修復にたどり着いた。



「見違えるような素敵な音に変わりましたね。母国に戻って新たな気持ちでピアノを弾きますゎ 
ーまーさんとの出会いもドイツでの良い思い出になりました。
このピアノを弾くときっとあなたのことも思い出すゎ…」
別れ際の言葉もなんか粋なフランス風やなぁと感じたのでした。

蛇足 
彼女達がドイツ語喋ってくれてありがたかった。
フランス語はワインのラベルすらまともに読めないレベルのボク… メルシー ボク

ーまー


男の火遊び

2009-11-04 | 愉快な仲間たち

 俺達の火遊びなんてカワイイものさ!


いつものようにご馳走になり
愉快な新しい出会いもあり 充実したブレーメンでした

でも
あくまでも「お仕事」が目的です。



決して楽しい思いだけをしていたわけではありません。

いじょう!  ーまー