マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

おのぼりさん

2014-03-09 | そのほか

 大阪では通天閣にのぼった。
45年ほど前(子供の頃)に一度親戚のおばちゃんに連れてってもろた以来やね。

明治45年にルナパークという万博のようなものが建てられて以来、大阪のシンボルになってます。
(初代通天閣は戦争中に潰されて鉄砲の弾なんかに変身させられ、僕が生まれる少し前に今のタワーが再建されたそうな。)
普通の大阪人は通天閣界隈(新世界)にはめったに寄り付かない。風紀があまりよろしくない場所が多いからかな? 
名物串カツの店が連立、ごちゃごちゃした繁華街の雰囲気はディープな大阪のイメージ。 
旅行トランクをコロコロ引きずりながら串カツを手にする若者観光客がゴロゴロいます。



通天閣の入場料は学生証を見せると500円。
僕は学生証を忘れたので700円払う。
「残念ですねぇ」と券買兄さんが緩くつっこみをいれてくれました。
日立のエレベーター二基、地上から100メートルからの展望ができる。
いちいち「大阪のウケ狙い」演出が展示物(ビリケン尽くし)や写真サービスの係員などのリップサービスに表れている。



大阪で生まれた日清チキンラーメンや江崎グリコがちゃっかり出店しているのが興味深い。
名物串カツと生中が昼食でした。デザートはたこ焼き Ich liebe ソース味……


 東京ではスカイツリーにのぼった。
展望日和(反語)の曇り空、小雨が舞い、タワー上部が雲に隠れている。



2000円のチケットを買うとき、モニターに写った展望デッキからの眺めを見せて、念を押される。
「今はこんな状況ですけれどよろしいでしょうか?」
エレベーター4基(通天閣の負け)
地上350メートル
通天閣の3倍以上の高さで値段は3倍しないからスカイツリーはお得です!



そして、肝心の展望は 案の定雲に隠れてほとんど見えませんでした。
白内障になったのかと錯覚するような感じ。
「レッツ 白内ショー」でした。
天気が悪いのですいていると思ったのですが、続々とエレベーターを待つ行列ができていきます。
それを効率よく案内する係の人たち。マニュアルどおりで全く面白くないのですが
日本の誇れるシステムかなと思いました。







浅草で昼食をと考えましたが、六本木ヒルズ経由、国立新美術館に向かいました。
昼食は帆立クリームコロッケ 黒生 デザートなし  ーまー

お内裏(代理)さまの独り言

2014-02-20 | そのほか
今年は箱のなかに入ったまま「寝たきり雛」って心に決めてたのに、
ギリギリ引きずり出されてしもた。


 出てきたからには時期限定でこのブログに登場しなあかんのは
数年前からのお決まりごとやそうな。
断りもなくかってに 恒例化されてますね。
今の言葉で言うと、お・や・く・そ・く ですか?
(お・も・て・な・し やったっけ)

されど、もうぼちぼちやめにしませんかね?
それがし、なんかもうしんどいねん。
毎年ずっと同じもんばっかりの着たきり衣装、
実はそれがし、着替え持ってへんねん。
色白でぷっくりしてるのも同じ、日焼けもしてない不健康そうな顔、
なんも代わり映えせえへんやん。恥ずかしい限りやわ。

出たくなかったほんまの理由はね、話題がもうないからやねん。
行き詰まってるって言う感じやね。
なんか気の利いたメッセージを発する感性もなくなってるし、
だいたい発想したり想像したりするパワーがなくなってきてる。
ならば昔はあったのですか?と聴かれると、返す言葉はないねんけどね。

 入り口の鍵を掛けて、鍵をそのまま鍵穴に差し込んだまま出かけること数回、
人の名前は咄嗟には思い出されへんし、
なんにもない平坦なとこでもつまずくことあるし、
近くの物が見えへんからご飯食べる前にメガネはずして確認すんねん。
ご飯粒ってつぶつぶやねんなぁって……
まぁ しゃあないことやねんけどね。

このように高齢化してきていることを理由に 
恒例化した登場は今年でうちきり、
隠居させてもらいたいと希望してるんですな。
されど それがしに そもそも定年なんかないんやけどな…… 

  

  ーまー つらいところですわ 

ps. もうすぐ雛祭りです

こんな日はいったいどう過ごせばよいのでしょう

2014-01-24 | 愉快な仲間たち

 朝から悩んでてん。
どうしよかなぁ思て……

誕生日を祝う意義は何となく分かるけど、
実際にワクワクする気持ちは特に湧いてけえへんし、
逆に年とるのがいややったりという感覚もない。

自分にとって誕生日が 特別な日なんやってまったく思てへんねんから、
いつも通り木曜休肝日を守るべきなんちゃうか……

と思う反面、

それでも 記念すべき日に好きな酒を我慢するのもおかしな話やから
明日か明後日に振替え休肝にしたらええがな 

どっちでもええことをあれこれ悩むぼく。


 飲み友達が数年ぶりに東京から出張でやってきて、
その夜に工房に顔を出してくれた。 
そもそも1週間に1回、酒を飲まない日をもうけたって、
あんまり健康には関係ないんじゃない? 
それよりも「今日は飲めない」というストレスでイラつくし、
せっかく酒で鍛えた身体に休みを与えて、甘やかしてどうするんだ! 
って豪語する 商社マン。
彼はこの日が偶然僕の誕生日だとは知らんかったんやけど、
ま、せっかくわざわざ来てくれたんで、「ええタイミングで来はったねぇ」
とか言いながら 休肝日の話題をつまみに近くのビール屋さんに行ってきましてん。
おかげで 朝からの悩みは消えたんよ。 


 ワインを届けてくれたり、電話をくれたり、メールなどでメッセージをくれたりして、
周りの人たちが誕生日を覚えていてくれるのはやっぱりうれしいものですな。
ここにお礼申し上げときます。


こうやって毎年、一つづつ大人になっていくんやね   ―まー

PS. もうすぐ節分です。



怠惰な僕でかんにんな

2014-01-11 | ピアノ技術者の仕事

 大丈夫です。生きてます。
ブログを書かなかったのには理由などありません。
怠惰だっただけです。ただそれだけのことです。

年越し、新年は呑み仲間が遥々訪ねてきてくれたり、
同業者の後輩も地球の裏から弾丸新年のご挨拶に来てくれたりしました。
わいわいと騒ぐことはなく、大変落ち着いた集まりだったと記憶しています。

年末年始はコンサートの仕事があったものですから、
心底酩酊できないので少し不本意ではあったのですが、
今、健康飲料の空き瓶の山を眺めていると、兵どもの夢の後のようで
充実したスタートが切れたんやないかなと思っています。


お約束の自動演奏ピアノの動画をここにアップしたいと思います。


  Phonola Grotrian - Steinweg


去年の11月に撮影終わってたのに、
フェースブックにアップして任務完了したと思い込んでいましたよ。
かんにんしてな。   ーまー


PS. トップのピアノは2013年の暮れに急遽工房に現れた体全体に入墨をしたやばいピアノです(冗)。 
 極めてアートな楽器です。きっと報告します。きっと……

重い腰のお約束

2013-11-23 | ピアノ技術者の仕事

 ↑これが通常の演奏する時の状態。
100年前の自動演奏装置の付いたピアノ




何が面倒って、調律とかアクションを調整する時に
ごっそりと機械を取り外す手間がかかるんです。
ちょっとユニゾン直したいなと思っても二人掛かりの作業になってしまう。




 ↑これが自動演奏する時の姿。







まずは『変身とロール装着の動画』をお楽しみください。

友達が訪ねてきたよ

2013-11-18 | 愉快な仲間たち

 僕のブログはピアノと健康飲料の話題ばかりだというコメントをもらった。
ですからリクエストにお応えして……

世界遺産でもあるバンベルグというバイエル地方の都市は
ビールのメッカでもあります。
そこに僕の友人夫妻が数年前に2年間住んでたんですな。
同時期にそのビールのメッカでチェンバロを作っていた
わじさんという友人を介して友達にさせてもらってるんが発端なんやけど、
友人夫妻はその後東京に2年間戻り、今回はベルリンで3年駐在になったそうな。

 あまりにも突然で驚いたんやけど、ベルリンからその友人夫妻が訪ねて来てくれた。
タイミングは悪くなかったし、嬉しくて、夕食をともにすることになった。
で、手土産は思い出多いバンベルグの薫製ビール。
そう、今回は “ほんまもん“ のビールや!
でもなんでベルリンからバンベルグ名物を持って来てくれるのか不思議なんやけど、
苦しゅうない!

早速、次の日にいただく。
ブナの丸太を燃やし、その炎の上で麦芽を乾燥させて作るんやそうな。
独特な香ばしい燻された香りがたまりません。
30年前に一人旅をした時に初めて飲んだ時のこと、
彼らと一緒に楽しく飲んだ時のこと、
「飲ん兵衛わじさん」のこと、
思い出とともにグビグビいただきました。 
まだもう1本冷蔵庫に入ってる。ふふふ




薫製ビールと一緒に食べたもの。
フームズエビとズッキーニのオリーブオイル炒め
残り物のご飯で作ったケチャップ炒飯、
アメリカンオムレツ半分乗せ。(節制ポイント!)
いろんな葉っぱのサラダ。

最近の夕飯は僕が作る回数が比較的多いので、こんな感じ。




で、とりあえずピアノの仕事もしていますよと付け加えておきます。
やっぱり健康飲料とピアノの話題でした。 ーまー

休肝日に見る夢

2013-10-26 | そのほか
 木曜日を肝ちゃんに休息を与える日と制定してからもう10ヶ月になる。
知人との会食と重なったりすると翌日が振替え休肝日となる。
いままで確実に守られている。

当初、木曜は朝起きた瞬間からめっちゃ機嫌が悪かった。 
夜になっても楽しみは絶対にないことがわかってる日やねんから
うきうきできるはずもないやん。

不機嫌でイライラする方がかえって身体に良くないし
周りの人にも悪影響を及ぼすからもうぼちぼち休まんでもええやん?
って思うこともあるんやけど、工房の掟はことごとく厳しいねん。



 解決策として、木曜はアルコールの入ってないビールをいただくことにした。
ようは偽物ビールでごまかすわけやね。
ちべたいし、泡もあるし、香りも何となくそれに近いけど、
なんか虚しい気持ちだけは拭いきれへん。
何より男らしいいさぎよさに欠けるところが恥ずかしい。

 次なる問題点、夕食が終わってからの手持ち無沙汰が残る。
これは せんべいとお茶でごまかすことにした。
老夫婦が縁側で背中を丸めて湯のみ茶碗を包むように持ち、
「山本山」会話をしている感じを思い出すが良いさ。
僕は醤油味が好き。ほうじ茶と一緒にいただいてお茶を濁すわけやね。
これは結構僕にとって気を紛らわす効果があるんやけど、
お茶でだぶだぶ、夜中に尿意で目が覚めることもあるのでそこがネック。

 

ワインを我慢し、尿意に耐えながらのそんな夜に見る夢は……

 友人の光信君が急に訪ねて来て一緒に飲もうということになったのはいいが、
ワインの在庫がなくて慌てる。 
「休肝日やから最近準備不足でなぁ」言い訳しながら冷蔵庫を開ける。
白ワインのボトルを3本見つけるが、
それぞれのボトルには底1センチほどしかあの香しい液体は残っていない。
ほんなら、まぜてしまえ! 冷えてるから大丈夫やで クヴェーみたいなもんやな
とか笑いながら、何度もグラスを口に近づけるけれど飲むことができない。
今確かに口に含んだはずやのにその感覚がない。
光信君もぼくと同じように飲めない様子。
なんでやねん?
リースリングとピノとグラウアーブルグンダーの混ざった複雑な香りも、
口の中に広がるちべたさや、喉越しの爽やかさが味わえない。
あー イライラするなー ほんまに。

鬱陶しく目が覚め、そしてトイレに向かう金曜の朝。
今日は木曜日やないんやとニヤリとする金曜の朝。

僕って奴は…… ーまー

重い腰

2013-10-20 | ピアノ技術者の仕事

 自動演奏装置付きのグランドピアノ
工房に運び込まれて、早2年半。←その時のブログ



 どこに不具合があって自動演奏できないのか大体解っていたのですが
つい後回しになってね。夏休みなど比較的仕事の少ない時期を狙って
じっくり勝負しようと思っていましたが、手付かずで放置状態でした。



 依頼者の方には演奏会場でお会いするたびに催促されていましたが、
「ピアノの不具合は完全にコントロールされています。」
「特殊な楽器なので時間がかかるものなのです。」
「今度のクリスマスまでには完成する予定です。」……
その都度ごにょごにょと言い訳しておりました。
仕事人としていかがなものか!



 ようやく装置を修理しましたよ。 
未だに構造のすべてを把握しているわけではないのですが、
欠損しているバネを自作したり、ふいごを張り替えたりして、
動くようになりました。
(直るかどうかやっぱりちょっと不安やったんですけどね)

 

 後はピアノ本体の修理をするだけです。
とにかく自動演奏装置がばかでかいので、鍵盤も異常に長く、
アクション部品も一般的な楽器よりも少し複雑でとにかく重い。
再び僕の意気は消沈方向に向かっていますが、

「今月中に完成させ、その暁には録画してお見せします。」

と公言すれば やるしかないでしょ。   ―まー

長月におもうこと

2013-09-05 | ピアノ技術者の仕事

 9月に入って、僕たちの地域は新学期を迎え新しいシーズンが始まりました。
月に一度のブログ更新です。どうも最近忘れがち。
特に忙しくしていたのではありません。


この夏休みを振り返ると、まあ、何と真面目な生活をしていたことか、
古い楽器を修理して暮らしていました。






鍵盤の裏側が焦げています。なぜ? 解りません


ピアノ技術者お決まりの画像。 
あ、タイトルの画像、森伊蔵は掃除用アルコール、葛根湯はコンパウンドが入っています。
飲んだらあかんで!


「自分へのご褒美」という言葉をよく耳にします。
特に褒美でもなんでもないんやけど、9年ぶりにプラハ観光にも行ってきました。
朝から晩までとにかくよく歩いた三日間でした。




結構時間に流されずゆったりとした夏休みでしたから、
これから迫ってくる仕事の勢いにのまれないよう
しっかりとワインを飲んでパワーを付けたいと思っている次第です。  ーまー

夏の過ごし方 2013年

2013-08-03 | ピアノ技術者の仕事
 
 外回りのピアノ調律の仕事がめっきり少なくなる夏。
今年の夏はグランドピアノのアクションの修理依頼が重なってる。
休むな、励め!という事らしい。

 

 物まねが上手かったんやろか? 
象印賞をもらったアクション。ヤマハのC7(象牙鍵盤ってことやで)

 

 オーナーは寝ても覚めてもピアノの練習が大好きなピアニスト。
30年以上弾き続けて、象牙鍵盤の角が透けて見えるくらい薄くなって
削れてしまってる。演奏するにも限界らしい。
指先は削れへんのかなぁ。

 新しい象牙に張り替えることも不可能ではないのだけれど、
今はもう何処の演奏会場でもアクリル製の鍵盤を使用した楽器しかないので
あえて弾き心地のよい象牙にこだわるのもね、
それに人工象牙(新素材)も試してみたけれど、なんだかねぇ、
一気にアクリルに換えちゃおうという事になった。

 

 今まで30年頑張って練習した記念に、剥がした象牙は保管しておきたいとの事、 
割らないように慎重に剥がしたよ。一枚も失敗せえへんかったぞぃ!

 

 ついでに色んな所を磨き倒して夏を過ごしてるんやで。
一日の仕事が終わって、ちべたいワインに会うのも楽しみの一つやけどね。  ーまー

なにをかいわんや

2013-07-06 | そのほか

 鉄ノコで指に深い切り傷を負ったり、
インプラント治療のため奥歯を抜歯したり、
血なまぐさい残酷な戦いが続いていました。
実際には両方ともそれほど深刻な出来事でもないのですけれど。





 古い楽器を再生しています。
何度も修理を重ねてきたピアノなので、
今回の調整段階でイレギュラーな問題が多く発生していました。
でもなんとかほぼ完成に近づいています。



 ここのところ週一回、後輩の技術者が研修に来ています。
次の段取りがわかって作業を進めてくれるので大助かりです。
研修というよりは普通に仕事してもらってるという感じです。
僕はかなり楽をしています。

後2週間もすると夏休みが始まります。シーズンの終わりに演奏会が重なります。
少しだけ時間に追われる日が続きます。 でも余裕です。



近況報告まで。 ーまー

善玉と悪玉

2013-06-13 | そのほか

 3ヶ月後に再検査する項目があって、半年経ってしもた。

その間にスポーツジムに通いだして4ヶ月。 週に3回もしくは2回は汗をながしていたので、何となく身体は軽くなってる。
体重は1キロしか減っていないことになるけれど、ズボンのベルトに一つ穴をあけた。
腹回りは3センチ少なくなったようや。
「木曜日は機嫌の悪い休肝日」という一番過酷な長い一日を設け、
自分をいぢめている。

結果、肝チャンの数値は今までにない低数値を記録。
今日は木曜日やけれど、祝杯を上げたくなった。
尿酸値も下がったし自分的にはええ感じやと思う。



お医者さんが言うには コレステロールの数値がギリギリセーフとギリギリアウトをさまよっているので、要注意とのこと。
善玉も悪玉もごっちゃになって込み合っているらしい。
この時代に生活していて、まして年齢を考慮すると、食事療養だけで劇的に数値を下げることは難しいらしい。 
江戸時代のような質素な食生活をすれば下がるかも、でも不可能でしょとのこと。 
修行僧やあるまいしそこまでやってられへんよな。

てことで、程々に嗜んでいくことにします。 いじょう ―まー


PS 画像はなんか適当に載せただけで、イメージも何も考えてません。

四半世紀のお付き合い

2013-05-17 | ピアノ技術者の仕事

 リンゴの花びらが風に散る頃、(ひばりちゃーん)
年に二度の定期調律、春の部に赴く。
かれこれ25年続いている、半年ごとのピアノ調律。
50回以上この邸宅に通っていることになる。
長いお付き合いもここまでくると歴史だ。

 ピアノのオーナーの現役時代は大学病院の外科医だった。
今年85歳になられた。
趣味のピアノ演奏は最近弾く気力がなくなりつつあるとか。
それでも定期調律はかかさない。

 毎回、調律作業が終わり少し世間話をしながら次回の調律日を決める。
コーヒーとクッキーの傍らに季節の小さな花を必ず添えてくれる。
欠かすことなく毎回受ける優しいおもてなし。

秋の調律日を手帳に書き込みながら、
次に会う日までお互いに幸せで健康でいることを願い合う。

枯れ葉の舞う頃にまたお会いしましょう

                      ーまー




とばっちり

2013-05-09 | ピアノ技術者の仕事

10歳のお嬢ちゃんがピアノを習っている。
ピアノの先生のところでは上手に弾ける天才少女なのに、
自宅ではどうもうまく弾けない。
 だって鍵盤が超重いんだもん!

君はやる気がない、センスがないなどと親はため息まじりの厭味をつぶやく。
そんなネガティブな雑音に耐えながらも練習を続けていた。
 だってピアノ好きなんだもん。



 鍵盤が重い原因は音を止めるダンパーという部品の不具合。
バネの力でフェルトを弦に押し付けて音を止めています。
鍵盤を押すとフェルトが弦から離れる仕組みです。
そのダンパーレバーを動かす支点となる部分の動きがスムーズじゃない場合
鍵盤を強く押さないと音が鳴ってくれないのです。

今回の場合、工場でピアノが作られた段階でその支点はすでに固かったのだと推測します。
それプラス、部品の材質が悪いので、弾けば弾くほど支点が劣化して重くなって行きます。
音の止まりが悪くなるのでバネをさらに強くするという判断ミスした技術者の手が加わり、
逆効果でもっとタッチが重くなって弾きにくくなった箇所も見つかりました。
最終的にお嬢ちゃんがとばっちりを喰らう、というかわいそうなシナリオですね。



固いところだけを修理しても後から別の箇所が固くなるかもしれませんので
すべて分解して交換します。



このピアノメーカーは決して粗悪品を作っているのではありません。
普及型メーカーのエースの一つです。効率良くたくさん作ってたくさんの人に使ってもらおうと一生懸命です。
ただ、良いタッチ良い音色のピアノ作りを目指す思い入れや信念を持って
作成してきた歴史がないのです。


ま、とりあえずこれで 
「自宅でも天才ピアニスト」が誕生するので落着ですかね。  ―まー








青い空間

2013-04-03 | そのほか

 両親が遊びに来てくれた。
毎度のことながら、小競り合いの耐えない老夫婦ではあるが、
こうして二人で会いに来てくれるのは嬉しいことだ。
何よりも、ドイツまで飛んでくる気力と体力がある、
その元気に感謝したい。 ほんとありがたいことだ。

 

 はるばるドイツにまで来てるんやから、ずっと家で酒ばっかり飲んでるのも
なんなんで、出かけることにした。
 ナーエ川で作られるリースリングが自慢のワイナリーに泊まることにした。
やっぱり飲むんかい! 相変わらずの家系。



ライン下りもした。
ドイツ観光の登竜門、船上から古城を眺めるのは当然経験済みなんで、
車で下ることにした。 
30年ぶりの寒さらしく、外に出るのに勇気がいる。写真を撮ってはすぐに車に駆け込む、
そのうち車の中から撮影したりもした。結果よい写真はあまりない。
ローレライの頂上から絶景、マイナス3度

 

 ハイライトはマインツ。
ライン下りの出発点、シャガールのステンドグラスがある。
ここの教会は訪ねておかなくては。 15年前の観光ガイドブックがそう勧める。
ヨーロッパ観光は各都市の教会めぐりが必ずセットになっているので、
そのうち教会見学攻めでうんざりしてくるんやけどね。

 

 小高い丘の上に建つ教会。 重い樫の木の扉を開け、一歩中に入ると
青色一杯の世界が一気に広がる。



モダンな配列のオルガンパイプも幻想的に同じ色合いに染まる。 



ほんのひと時やけど、両親とこんな静かで安らかな空間に一緒にいれることを幸せに思った。
ユダヤ系のシャガールがキリスト教のステンドグラスを手掛ける不思議さを感じながら、

でも さすが 世界的な芸術家は 粋なこと しゃがーる なぁ……

いつもの洗練されたシャレをつぶやいてみた。   -まー