-伍-
っと、さあ拳銃を右手で握り締め、聖なる銃弾をぶち込んでやろうと左手の人差し指を半けつに伸ばした時、俺は思った。弾は、何発ある?1、2、3、4、5、6。6発?ぐぼっ!これじゃぁうまくいっても、6まんこしか殺せねぇぇっ!6まんこしか、で、できねぇ!糞バカ鬼畜どもめ!貴様らを全滅させるには、どうしたらいいんだぁああ!俺は無力だっ!俺が殺せるのは、うまくいっても6まんこだ。トンカチや出刃包丁や素手でも殺せるが、俺は知ったぁぁぁあっ!オマワリ1人を殺すのにさえ物凄い体力が必要だって事をぉぉぉ!ああああああ、ここに核爆弾があったらぁああっ!ちきしょうー!ぶぶぶぶぇぇっ! お・俺は屈辱に満ちた、25年間だったぁぁああっ!心の中で殺し合って顔は笑って!何かで負けたとなると、心はブルブルふるえだし陰惨になるのに、外見の方は、いかにも心が広いように“いやぁーまいったぁ、まいったよぉ~ん”などと言いながら、身体中殺意で満ち満ちてるのに、ニコニコ、ハッハッハッー!だっ!あああああ?一体なんで、今、こんな考えが俺の頭の中をよぎるんだぁぁああああ!虚栄だ!奢りだ!エゴと言う名のプライドだ!って罪悪感に苛まれてる場合じゃねぇぇぇぇっー!自己を捨て世の為に正義の為に尽くすんだぁぁぁっ!くわっくわっ!ぶっ殺すんだーーー!皆、ぶっ殺すんだぁっぁあっぁ!ああああ、たとえ、ここに核爆弾があって爆発させたとしても、せいぜい渋谷が壊滅するぐれぇじゃねぇかー!人間を全部殺さなきゃ駄目だぁぁぁぁぁっ!もし俺が金正日だったら!俺が北の将軍様だったら、アメリカに査察を満足いくまでやらせてやって、何なら“はい、大量破壊兵器持ってました、差し出します”と何十発か大陸弾道ミサイルを提出してリビアみたいにアメリカに屈したように見せかけても良い。その間に絶対にバレない様に地下に大秘密基地を作って、ガンガン核開発してテポドン3・4・5・6・7号と全世界中を射程に完璧に収めるまで性能を高め、長崎の10000倍の威力のあるプルトニウム型核弾頭を装備したテポドン発射台を十万台配置し、準備が完全に整ったら、一斉に十万発、世界中にブチかましてやるぅぅうぅぅうっ!一匹も糞人間野郎&腐れまんこが生き残れないようになっ!けけっけけけけけーーーーー! しかしながらだ!ちきしょぉぉぉおぉぉぉおっ!俺は金正日じゃねぇし、体力もあんまりねぇし、銃弾も6発しかねぇ!どうすりゃぁぁいいんだぁあああああ!どうしたら、全人類を滅ぼせるんだぁああああああああ!ぎゃぁぁぁぁぁーーー!あ、そだ、死ねばいいんだ。死ねば、この腐りきった世界は、俺から滅びるんだ。この糞世界を認識してんのは俺だから、俺が死ねば消えちまうっぜっ。何て簡単なんだ!けっ熱くなって損したぜ!自殺だ、自殺!自殺ったら岸壁だ!岸壁から飛び降りればいいんだ!岸壁じゃなきゃ嫌だ嫌だ!俺は岸壁から飛び降りて自殺したいんだ!何故だ?えええぃいいい!分からん!岸壁から飛び降りるのが俺の美学だからだぁああああっ!岸壁だった東尋坊だぁああああ!土曜サスペンス劇場でよく出てくるからだぁぁぁっぁぁっ!自殺は東尋坊の岸壁から飛び降りるって決まってるんだ!決まってるんだ!
自殺をしよう!世界を滅ぼそう! KIPPLE |
-四-
この腐れ豚どもで溢れかえった街を歩き続けるうちに、こんな社会は滅びりゃいいんだぁああああ!と言う思いが、どんどん増幅してくるのを感じる。うおぉぉぉぉっ!滅ぼしてやりてぇぇぇぇぇっ!全部、ぶっ壊して全員ぶっ殺してやりてぇぇぇぇぇっ!できるかぁぁあああっ!俺にできるかぁぁああああっ!できるんだ!できようともっ!容赦ねぇんだ!できるなら今すぐ金を貰って働いている糞どもを皮剥いで太陽にさらして、さらに蜜塗って蟻に食わせてチンコを剥いてマンコを千切って苦痛の絶頂にうちにぶっ殺してぇぇー!できるなぁらぁぁぁぁーーーぁぁっ! ぐあっ!片手で携帯を耳につけて「はい承知いたしました。よろしくお願いいたします」と馬鹿でかい声で俺に何の関係もない事を喋ってる背広着た糞馬鹿ゲス外道な、ひとめでわかる一生懸命働いて金を得ている家畜の悪徳腐れ脳の豚会社員が俺にぶち当たりそうになっても、まるで俺の姿が全く目に入らないように通りすぎていきやがった!実際、入ってねぇ!いきやがった!お前の糞目は、どこ向いてんだ!俺が貴様のような金キチガイの為に道をよけて何故、通してやらにゃぁいけねぇんだ!くそ!くそ!許せネェ!金に魂を売った腐れ家畜め!貴様は、こう思ってるに違いねぇんだ!“俺だけは正しい。俺の仕事は大事だから現実に周りにいる人間よりも携帯の向こう側の取引相手の方が重要だ”とな!ふざけるな!奢り高ぶるのもいい加減にしやがれ!貴様は仕事して金儲けと言う人類最低最悪の極悪犯罪に手を染めてるんだ!そんな最低のモラルさえ分からずに、ふんぞり返って回りの人間が重要ではねぇと思っているんだ!間違いねぇ!携帯の向こうの貴様と同類の鬼畜よりもな、現実に貴様の周りにいる人間の方が重要だって事を思い知らせてやるぜぇぇぇえええ!ブスっと刺し殺すのは貴様の回りにいる人間なんだぜぇ!貴様がそうして携帯の向こう側の糞人間とうつろな目で喋り続けている間に、俺は鋭利なメスで痛みを感じないように貴様の突き出た腹に穴を開けて腸を引きずり出してやる。それでも貴様は「どうも御世話になっております」などと携帯の向こうの鬼畜に愛想を売りながら気づかずに歩いていくんだ。貴様の腸は臓器を引き連れてズルズルとはみ出していってしまいにゃ俺が縛り付けておいたガードレールからピンと張った時につんのめって、貴様はやっと気づくんだ。貴様の腸は貴様の腹の穴から全部出ちまっていて延々と俺のいるガードレールのとこまで太いミミズのようにうねうねと糞長く汚なく続いているのにやっと気づいて青ざめるんだ。大腸も小腸も十二指腸も胃も胆のうも臓器全部ぞろぞろ出ちまってよぉぉぉおおおっ!臓器なんて全部繋がってるんだぜぇえええ!ばーか!俺は貴様の臓器をグシャッグシャッと踏み潰して道路を血塗れにして歓喜の声を上げるぜぇぇぇっぇっ!ぎゃっほぉぉーーうっ!いや貴様のようなキチガイは、その状況さえ理解できずに延々と携帯の向こう側と喋り続けて、死んでゆくのかもよぉ!ぎゃははははっは! うぉっと!俺の前でパンティーと尻の割れ目を丸出しにした破廉恥なジーンズをはいてケツ振ってる、ザーメンまみれの淫売豚女にもやってやるぅぅぅううううう!このメス豚め!メス豚め!ヘッドホンして延々と携帯で喋ってるザーメン豚女。脳味噌がザーメンで真っ白になってるのがミエミエだぜ。しかし男と同じようにはできねぇな!こいつら精液まみれのメス豚という生き物は底無しの絶望だ。メス豚は男にすがりやがる!ミッシェル・フーコーは「全ての女はキチガイである」と言ったが、そんな上等なもんじゃねぇぇえっ!全てのメス豚は最低最悪のキチガイで底無しの変態だ!男の場合、ごくまれに少しはマシなキチガイがいる事があるが、こいつらメス豚には絶対にいない!全部、糞糞糞!メス豚どもは国家に自ら隷属しガンジガラメの結婚という制度に組み込まれるのを当然のように思っている変態ばかりだ!しかも結婚すると男を自ら「うちの主人が・・」などと平気な面でシャーシャーと言いやがる!恥をしれぇぇぇえ!結婚して専業売春婦になり、さらに御主人様と男を呼ぶ!信じられねぇっ!自ら奴隷になりたがり男に飼われたがる!この異常極まる変態生物の核は、まんこだ!まんこはあらゆる悪徳を無限に排出しあらゆる正義、善意や純粋さを吸いとって破滅させてゆく!まんこは、いつも発情していて男から物、金を巻き上げ、消費し、この世を悪の金金じゃぶじゃぶ世界に堕落させ続け全ての人間を鬼畜外道へと変えてゆくんだぁああああっ!憎むべきは、まんこ!まんこは究極の悪であり全ての悪の根源である!ゆえに俺は、メス豚を殺る時は、まんこから殺らねばならなぁぁぁぁぁぁぁっぃっ!考えてみれば全ての人間は、まんこから出てきやがったんだ!人類を絶滅させるには、まんこを先に絶滅させるのが、効率的だ!俺はぁぁああああっ!頭が、いいぃぃぃぃいぃぃっ!一匹の、まんこも残しちゃいけねぇー!残したら、また、まんこから何が出てくるかわかりゃしねぇぇぇっ!全ての、まんこを滅ぼしてやるぅぅぅぅぅぅぅぅ!うぉおぉおおおおおおおおっ!
KIPPLE |
-参-
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-弐-
KIPPLE |
-壱-
夏は起きあがって、少々外出もできるのでございます。暑く蒸し暑く、すべての風景や音や気配さえも、強烈に輝く太陽の光によってハレーションを起こしたように輪郭が真っ白に溶け込んでいるならなおの事でございます。 ワタシも曖昧になるからです。ワタシと全てがトロトロと蒸し暑さと輝きの中で輪郭をなくして溶け混じり合うので楽なのでございます。 そうしてワタシは、その日、とろとろになって炎天下をゆっくり歩いておりますと、ゆらゆらとデタラメにゆれる視界の隅で、なにやら黒いものが、黄色くとろけた道路の隅を横切ったようでした。 ワタシは、たぶん、猫じゃないかなと思いました。猫が溶けちゃったぁ。そう思いました。 「脳病院は、そこの垣根のプレートの四丁目と書かれた角を曲がったところの大きな柊坂道のとこですよ。」 「柊坂道?」 ----世界の境界? 「道の両端には、ぎっしりと柊がはえていてね。それがあんまり、ぎっしりと生えているものだから柊の上の方が寄り添って、トンネルみたいな道になっちゃってね」 何やら猫じゃないかと思ったのは間違いで、溶けて混じって不明確な黒い影になった老婆のようでございました。原形をかろうじて残しながら小さな影になった親切な老婆が、そう言いますので、ワタシはトンネルに入りました。振り向いてみると、小さな影の老婆は、ゆらゆらと溶けて消えてゆきました。 トンネルを抜けると、高層マンションに出ました。やはり周囲は真っ白にハレーションを起こしておりまして輪郭は溶けて曖昧でございました。物凄く、暑うございます。何もかもが陽炎の中でゆらゆらと揺れております。しかしながらワタシは、高層マンションの一室に躊躇無く入りまして、すっきりといたしました。 何故なら、その部屋は冷房装置によって、強烈に冷やされていて何もかもハッキリとしていたからでございます。風景も音も気配も、くっきりと際立ってワタシに迫ってくるのでございます。楽では、ございません。苦でございます。何もかもゴチャゴチャに溶け込んで輪郭を無くした方が正しい世界なのでございますから曖昧の方がよいのです。 しかたがないのでワタシは冬眠人間でございますので、大きな窓にピッタリと貼り付けた様に置いてある柊の古い机の前に、近くに置いてある味気のない折り畳み椅子を置いて、座りました。そして、大きな窓から真っ白に輝いて全てがゴチャマゼになった出鱈目な外の世界を、ぼぉっと眺めながら机の上で頬杖をついて、「ああ、ここから隅田川が、よく見えるなぁ」と思ったのでございます。 KIPPLE |
第29章 だから人それぞれリズムがあって、ひきづるリズムでさえも、どこか懐かしくて胸震える思いを感じるのです。 伸びる音。 下がったり上ったりして、うねうねと続いてパーンと突然、終わりになってしまって、やたら寂寥とするこの人生。 この人生。生命(いのち)、投げちゃおうか。おうか。 瞬間の積み重ねなんて人がよく言う。 人がよく言う事、つまんない。 つまんないから、ぐらぐら退行性があるんじゃない。 手紙を開く時の喜びのような生活は、いつ?。 ねばねばの現状。フツフツの頭とカラカラの外見。背反こそ全て。) キーホーは部屋に帰りました。 時が過ぎたり、やってきたりしました。
こんなに辛いのだろう。 こんなに淋しいのだろう。 きっと生も死も、みんな意味なんて無いからだ。 きっとそうだ。 そうに違いない。)
白くて大きな広い、でぇっかい、がらぁんとした、荒涼とした部屋に一人で木の椅子に凭れるキーホー。
特に何か、ありますか?
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第28章 キーホーは黙って音楽室五号の板戸を開けて廊下に出て行きました。 自動人形になった気分です。
バイオ・プロレスラーみたいなサラリーマンに、切符切りに、りょう子さんに、ペロペロキャンディの少女に、小説家に、奇型的美男子に、透明な少女に、処女を失ったおばあさんに、カラス女の夜子に、行李を背負った税理士に、車掌さんに、蟹に喰われたもう一人のキーホーに、復元されないはずだった用務員のおじさんに、地球儀を肩に乗せた音楽教師に、男と女に、笑い仮面に、市長さんに、ギャッヴィに、旅人に、旅の娘に、バカの患者に、僕に、優しいネズミに、LOGOSに、あごらほぉびあの人たちに、ウルフに、美男美女に、ショパンを弾く天使の少女に、エキストラに・・・その他たくさん。
どのくらいたったでしょうか、外でウグイスが鳴いていました。 校舎の裏で子供が変質者に殺されていました。
波がたったようでした。
歩く足が、なんだかプカリプカリと浮きあがっていくようです。
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