第27章 キーホーはショックを受けました。 少女はこう言ったのです。 「あなたのお役目は果たされませんでした。 すでに遅かったのです。 あなたが私のスカートをめくる0.00001秒前に前の世界は滅亡して、こっぱみじんに消え失せて無くなったのでした。 そんで0.000001秒前に前の世界と全く同じ世界を再び神様がプログラムされたのです。 ですから今の世界であなたが、いくらスカートめくりをして目玉にピアノ線を突き刺そうとも、それはもう前と全く同じで全く違う今の世界にとっては何の意味もありませんのよ。 手遅れですわよ。 ざーんねん・むねん。 ケラケラ。」
そして再び朝が来ると、少女がエチュードを弾き始めたので、質問をひとつしてみました。 「最後に、教えて下さい。 いったい、どうして世界は滅亡してしまったのでしょう。」
ところがピアノは鍵盤自らが演奏を続けているのでした。 それは、ガーシュインの使ったデュオ・アート製の自動ピアノだったのです。 見えない手が鍵盤をたたいています。 仕掛けは巻紙にあけた小さな穴なのです。
「あのね。 ある日、美男美女が旅をしてるとお空のてっぺんから草原にUFOが落ちてきたの。 UFOは砕け散って半分くらいしかなくなっていたのよ。 中から宇宙人が、ふらふら這い出してきたんだけど、その人、記憶喪失になっていたの。 美男美女はね、その宇宙人が狼に似ているのでウルフって呼んだのよ。 ウルフはね、どこの誰で何をしに来たのか、さっぱり分からないんだけど知力は物凄かったのよ。 美男美女はね、ウルフを家に連れて帰ると彼の天才を利用して反陽子爆弾を一万個作ってもらって地球を脅迫したの。 戦争とお金を無くせってね。 でも、その反陽子爆弾は米粒よりちっちゃかったんで誰も相手にしてくんなかったわ。 ある日ね、美男美女はついうっかりと、一万個の爆弾で御飯を炊いてしまって大爆発が起きてしまったの。 地球は、いっぺんで消し飛んだわ。 それでウルフは地球のかけらに乗っかって一人だけ生き残ったの。 だってウルフはM78星雲から来た宇宙人だもん。 一人だけになったウルフはとっても孤独だったわ。 顔にSOLITUDEって書いてあるくらいにね。 ウルフは孤独のためにアル中になってしまってね、酔ったいきおいで頭をぶつけて思い出したのね。 彼は人類を破滅から救うためにやってきたのでした。 その後、ウルフは故郷からやってきた宇宙パトロールに宇宙犯罪人として追われています。 はい。 おわり。 じゃね。 ごしゅうしょうさまでした。」
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