第21章
今日も精神病患者が一人、ギャッヴィの発明したカミソリ式絞死刑台の餌食となり、両目に特大安全カミソリの刃を突き立てた生首が受け皿の上にキチンとキウィのデザートの様に置かれていました。 執行人でもあるギャッヴィの仕事熱心のおかげです。
又、患者をめっけてきたでぇ~。 こいつ、この寒いのに旅行中なんだとさ。 それに、この年で。」
ちょうどいい。今、こいつ(カミソリ式絞死刑台)がワシに腹減ったと催促しておってなぁ。 分身のワシ(ドッペルゲンシュタイナー)を喰わしてやろうかと思っていただよ。 ハハ。」
最上部にキラキラ輝く黒塗りの安全カミソリが、その不気味な箱の内側に向かってたくさん並んでいました。
寒かろぅ、早くこっち来てあったまんしゃい、茶でも飲んだらよかぁ。」
もちろんギャッヴィも瞳をエメラルドの様に光らせて。
キーホーはギャッヴィと市長さんと旅人が、のっそりと湯気のように現れると、彼らに向かって尋ねてみました。
キーホーが何を言って何をしても、三人は何も見えず何も聞こえない、という態度をとり始めたのです。
そして三人が直立不動のまま茶をすすり、話を始めるのを黙って聞いていました。
そこへ、うつろな目を光らせている死刑執行人のギャッヴィが話に加わりました。
いくらあなたが気狂いだからといっても、こちらだって慈悲の用意ぐらいはあるんだよ。 話によっちゃ情状酌量の余地もありうる。 ま、死刑はまぬがれんがね。ふふ。 死肉を赤犬に喰わしてやる事くらいは、してあげるよ。」
ギャッヴィは熱湯でジュージューと赤らんでいく顔を奇妙に歪ませ、フフフフフと笑って舌なめずりをしました。 市長さんは自ら、チンチンいっているお茶を頭からぶっかけて、湯気を立ち上らせながら、アッカンベーをしました。
もちろんですよ、キーホーは、もう心底震えちゃっていましたね。
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