梅の実の熟す頃。

5月29日（月）

朝の9時、桜上水事務所に向かう。
先日までの暖かさは去り
冷たい細い雨が頬と腕に触れる。
5月が終わる花時雨。
徒歩10分の駅に向かわずに
30分程、傘差し、ターミナル北口前の銀行で送金。
月末は慌ただしい。
正午、事務所内で下請けに任したトランスに不良品が続出。
女性3人、弟、営業部長とで検査。
工程の手抜きであった。
来年春まで受注が埋まり下請けに発注は失敗。
私も事務処理を止めて手伝う。
20時、事務所を出る。
見上げる夜空は、雨はじっとりした梅雨に交代していた。
梅の実が熟す頃なのだ。
少年時代に想いを馳せる。
お袋に言いつけられて
門柱にあった梅ノ木から実を捥いで縁側で干す。
梅酒作り。
親父が客死して梅の木は切られた。

丹精込めた、桃ノ木、イチジク、夏みかんの木も切られた。
100鉢以上あった皐月も廃棄した。
小庭に咲き乱れる花々は道行く人に評判だった。
寒村育ちのお袋には、植栽に関心がなかった。
実家を継いだ弟夫婦は仕事で忙しく愛でる時間はなかった。
お袋が介護病院に入ってしまうと、小庭はジオラマの森になった。
年年歳歳、花は朽ち
歳歳年年、草生い茂る。

父母は土の中。
何と人生の浮き沈みか。
100年の時を経て、人間、土地も栄枯盛衰。


梅の実の熟す頃。
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梅の実の熟す頃。 - 馬鹿も一心！

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