馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

遠き島より流れよるヤシの実

2023-05-31 08:52:08 | 日記
日本列島をバイクで旅する男性のブログを読んでいる。
鋭い観察眼で彼の地の歴史を物語る。
先のブログで島崎藤村の詩に触れていた。


椰子の実の漂泊の旅に自分が故郷を離れてさまよう憂いを重ね、歌曲『椰子の実』の詩を詠んだという。


名前も知らない遠い島から
流れてきた椰子の実が一つ


故郷の岸をはなれて
おまえはいったい何ヶ月の間
波に流されてきたのか


椰子の実が成っていた元の木は
今も生いしげっているのだろうか


枝は今もなお
影をつくっているのだろうか


わたしもまた 波の音を枕に
一人寂しく旅している


椰子の実を胸に当てれば
さまよい歩く旅の憂いが身に染みる


海に沈む夕日を見れば
故郷を思い あふれ落ちる涙
遠い旅路に思いを馳せる
いつの日か故郷に帰ろう


石川啄木は、小島の砂浜で詠んだ。
「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」、
漂白の旅路の果てに辿り着いた砂浜の一匹の蟹と
孤独な我を想った。
打ち寄せる白波の絶え間ない通低音。
ヤシの実、蟹も孤独。


息子は文化果てる島と清国時代呼ばれ
今は大陸と対峙する島で青春を過ごした。
10年前
息子の結婚で南の島に出かけた。
磯で遊ぶ妻と娘は屈託ない笑顔。
私は、白波に翻弄されるヤシの実を見詰めていた。


息子がツガイを娶り離れるのだ。
古来
女はその地に留まるが
男は父から離れ彼の地で戦いをしなければならない。
息子娘がいた部屋は、いつ帰ってもいいよ。
祖母が贈ってくれたベッドだけが待っている。
椰子の実が波間で磯に当たり、押し戻され
留まることのない人生を案じたのだ。

遠き島より、椰子の実一つ

唱歌 ・ 椰子の実 "YASHINOMI"

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