未明のコーヒー。

目覚めの時
毎朝ではないけれど、未明　そっと冷蔵庫を開けて
無糖コーヒーボトルとミルクを取り出してレンジで90秒。
生ぬるいマグカップを乱雑なパソコンデスクに置く。

山で逝ってしまった同期へ挨拶。
マグカップを持って
ベランダに出て初冬の夜風が薄着の身体に吸い付く。

刻一刻明ける夜空の静けさを待つ。
スカイツリーの藍の点滅を確認。
晴れるな。
下から猫の唸り声。
対面の南洋樹の下に白猫がじっと見まがえる。

黒猫が疾風の速さで交差して消える。

未明に繰り広げる野生本能が呼び覚ます。
リビングに花が置かれていた。

先日　娘がダンス公演を観に出かけた
お兄ちゃんが花束を贈ったのだ。

繊細な兄の心つかい、兄を案ずる妹。

父を除く　母、息子　娘の限りない愛の繋がり。
10時40分には定期検診　採尿、採血結果説明、インフルエンザ予防接種が
待っている。
午後から、新しいトランス銅線巻きが待っている。
今日も安寧な日を。

夜明けのうた／岸　洋子