1月8日(火)16時、NHK近くの取引先に集金に行った。
手形を受け取る。
手形が現金化は3月28日。
弊社は海外で製作するため去年10月には台湾メーカー送金済み。
約五ヶ月間金にならないのは苦しい。
集金後、山手通りに出て左折、国道246号線を下る。
夕闇は早い、246号を行き交うヘッドライトとエンジン音
黙々と歩く、今日は暖かくコートを脱いで歩いた。
池尻大橋の大学病院に17時に着いた。
受付で訪問者を記入すると係りの女性は
5階のお袋の名前を言った。
毎日、弟が立ち寄るのと副院長が親族であるのが分かるらしい。
病室に入った。
お袋は首をこちらに向けた。
直ぐに額の湿布を換えた。
お腹の湿布も替えた。
お袋は私の腹を指差す。
顔をしかめ、みっともないから上着のボタンを留めろと、しぐさをした。
軽い認知症が始まり、湿布したことは忘れるが
昔の記憶は鮮明なのだ。
弟夫婦が現れるのは19時過ぎなので
一旦外に出る。
246号沿いの焼き鳥屋に入った。
前に一度入ったが客はいなかった。
今宵も客はいない2階のカウンター
1200円セットを注文。
飲み物、食べ物が注文してから
出て来るまでが非常に遅いのを知っていた。
時間はあるので、焼き鳥屋なのにジャズ、ロックミュージックが流れている。
246号を行き交うライトの光を見ながら、気だるいBGMを
聞き、生ビール、焼き鳥、おでんをカウンターに並ぶ。
心地良い空間で思い巡らすのは心地良い。
19時病院に戻る。
弟夫婦がいた。
手形集金で渋谷まで来たと言うと
「今時、手形発行なんて珍しいな」
公正取引委員会は下請法に基づく、厳しく
零細会社への支払いへの優越的地位の乱用を規制している。
しかし現状はまだあるのだ。
弟が言った。
1月11日は転院して松涛にある病院へ入れることになる。
残された死を待つているだけの人生。
「子のある者は、子について喜び、また牛のあるものは牛について喜ぶ。
人間の執着するもとのものは歓びである