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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

低血圧の人は朝が弱い?

2018-03-11 10:44:26 | 健康・医療
私は昔からやや低血圧で、上が100前後しかありませんでした。

医者に言わせると何かそのために症状が出ているのであれば、治療をするが特に問題なければほっておくということでした。タイトルに書いた朝が弱いということは無く、目覚ましが鳴ればすっきり起きられました。

むしろ最近この血圧が120程度になり、正常値になったのですが、これが加齢による血圧上昇の初めかもしれないとやや気にしています。ここでは低血圧全般の話を書いてみます。

まずタイトルの朝が弱いという点では、低血圧の人は自律神経が乱れやすい傾向があり、そのため朝の目覚めが悪かったり、午前中はなかなか仕事や家事のエンジンがかからなかったりするようです。

また肩こり、冷え性、めまい、立ちくらみなどの症状を慢性的に持っていることが多く、これは低血圧の症状ではなく、やはり自律神経の乱れのようです。血圧とは血管内の圧力で、心臓から流れる血液が血管を押す力と考えてよいでしょう。やる気はあるのに体がだるい、疲れてすぐ横になりたくなるという場合は低血圧が原因かもしれません。

ほかにも低血圧の症状は様々あるようですが、高血圧と違って低血圧は国際的な診断基準がありません。日本の病院では、最高血圧が100以下を目安にしているところもありますが、確定的なものではないようです。

低血圧は若い女性に多いものと思われがちですが、実際には男性も少なくなく中高年になるにつれ男女差は小さくなります。

低血圧には3つのタイプがあり、最も多いのが「本態性低血圧」で原因はよく分からず、遺伝による可能性もあるようです。病院で検査をして、他に病気の可能性がない場合に本態性低血圧と診断されます。

次がベットから起き上がったときや、イスから立ち上がった時などに急にフラっとする「起立性低血圧」です。一般的に横になった状態から立ち上がった時に、最大血圧が20以上下がる場合に起立性低血圧とされています。原因としては、低血圧によって脳の血液量が減少しやすいケースのほか、血圧を調整する自律神経の障害によっても起こります。

最後が「二次性低血圧」で、病気や薬が原因で低血圧になるタイプです。多いのが糖尿病で血糖値コントロールがうまくいかなときに起きたり、循環器系疾患や内分系疾患、パーキンソン病、ガン、甲状腺異常などの病気でも引き起こすことがあります。

ちなみに低血圧と貧血は一部の症状が似ていますが、実際は全く違うもので、貧血は多い原因が鉄分の不足によるものです。結局低血圧は重篤な症状になることもなく、食事や運動を心掛けるというあまり気にする必要のないものといえるようです。


人間とヒツジのハイブリッド胎児の作製に成功

2018-03-10 10:44:58 | その他
アメリカのカリフォルニア大学の研究チームが、ヒト細胞を0.01%もつヒツジの胎児の作製に成功したと発表しました。

昨年の人間と豚のハイブリッド胎児に続き、2例目となるものです。4週が経過する時点まで育てられたこのヒツジの胚は、人間への移植を目的とした臓器作成に向けての一歩前進といえる成果です。

アメリカ国内だけでも、心臓移植を必要とする人は10万人以上にのぼりますが、実際に移植を受けられる人は1年にわずか200人となっています。こうした現状を受けて、研究者は人為的に臓器を供給できないか、様々な試みを行っています。3Dプリントで臓器を作ろうとする人もいれば、機械的な臓器を研究する人もいます。

キメラ動物(異なる2種の生物に由来する細胞を併せ持つ生物)を作ろうというのもそうした試みの一つで、ブタやヒツジの体内で人間の臓器を育てる方法を模索しています。キメラを作るには、ある動物の幹細胞を別の動物の胚に導入しますが、幹細胞はどんな細胞にも成長できますがこれを適切に導入するのは非常に難しい処置のようです。

この時胚のDNAを編集し、特定の臓器を作らないようにしておくと、導入された幹細胞はそのギャップを埋め、その臓器へと分化していくわけです。2017年には、この手法を用いてラットの体内でマウスの膵臓を育てることに成功し、さらにその膵臓を移植することによって、糖尿病のマウスを治療できることを証明しました。

その直後、ヒトの幹細胞を導入したブタの胚を4週間成長させることに成功しました。この辺りはこのブログでも紹介しています。

幹細胞の専門家はこの成果を評価しつつも、ブタの胚がもつヒト細胞の割合(およそ10万個に1個)は、臓器移植に使うには低すぎるとしていました。今回の羊の研究チームは、実験の手法を工夫した結果、ヒツジ胚がもつヒト細胞の数を1万個に1個まで増やすことに成功しました。

しかし臓器移植に使用するには、胚の1%(100個に1個)がヒト細胞でなければならないようです。それでも今回の研究は、実用可能な臓器作成に向けた進歩といえるようです。

これも研究資金が増えれば、研究のスピードは加速されますが、現在人間と動物のハイブリッドを作る研究に公的資金を投入することが禁じられています。それでもアメリカ国立衛生研究所は、昨年この方針を取り消す可能性を示唆しているようです。

こういった研究には倫理面での議論が必ず付いて回りますが、人間の脳や顔を持った動物ができるはずはなく、それほど深刻に考えることでは無いような気もします。効率よくヒトの細胞でできた臓器が作られる世になれば、チャンスの少なかった臓器移植に希望がもてるようになるでしょう。


高性能消臭剤 多孔性素材実用化へ

2018-03-09 10:42:37 | 化学
京都大学の研究チームが開発した「多孔性金属錯体(PCP)」を基に、京都の中小企業が高性能の消臭剤を開発しました。

タバコなど従来は残りがちだった臭いを効率的にのぞけるようです。商品化されれば、国内で初めてのPCPの実用化になるとみられています。最先端の知見を持つ京都大学と、長年販売実績のある中小企業がうまくタッグを組んだ形となっています。

PCPは金属イオンと有機配位子によって作られる、多孔性配位高分子金属錯体のことで、規則正しく並んだ格子状の物質です。この物質の比表面積は1グラムでテニスコートおよそ27面分にも相当し、活性炭のおよそ10面分、シリカゲルの2.3面分に比較し、非常に広い面積を有しています。

またこのPCPは、一辺が数ナノメートル以下の立方体がジャングルジムのように連なった構造を持っています。金属イオンが各頂点にあり、臭いのもととなる物質を引き寄せて立方体内取り込み、従来の活性炭などに比べて臭いを吸着できる力は数倍になっているようです。

この開発のきっかけは、この企業がPCPを使って水をはじく機能性材料を京都大学が開発したという新聞記事を読み、研究チームに連絡を取ったことから始まりました。

PCPの構造を知り、消臭剤にも使えるはずという感触を持ち、研究チームから技術指導を受け、15年4月から1年半かけ消臭剤を完成させました。現在、消臭剤を使った空調フィルターなどを手掛ける業者と協力して商品開発を進めているようです。

余談ですが、こういった大学のいわば眠っている研究成果を、いかに企業化までもっていくかというのは非常に難しい問題です。大企業ですと社内にシーズ探索のチームがありますので、色々大学と連絡を取ったり情報を集めていますが、中小企業ではそんな余裕はありません。

また大学の方も成果を学会発表にしますが、新聞などに取り上げられることは非常にまれなことです。そこでこういった大学と中小企業を橋渡しするということが重要になってきます。

私の友人の何人かはそういった仕事をしており、私も若干かかわったことがあります。最近は大学も企業化ということに積極的になり、学内にそういった部署を持つところもありますが、これも大きな大学に限られています。

大学の研究成果は、とても実用化とは程遠いというようなものも多いのですが、これは面白いというものもかなり多くあります。最近になりこういった産学共同を進めるための組織も法人化されつつありますが、まだまだ企業に関する情報が少ないようです。

今回の消臭剤の商品化は、大学のもつシーズをうまく実用化するという良いお手本になりそうな気がします。


高血圧の新治療 腎デナベーション

2018-03-08 11:03:15 | 健康・医療
高血圧が改善しない患者への新治療法として、自治医科大学などが臨床試験を行っている「腎デナベーション」が注目されています。

このブログでは新薬など薬剤での治療を主に書いていますが、こういった外科的手法も面白いのかもしれません。

高血圧には、適切な薬を正しく飲んでも数値が十分に下がらない薬剤治療抵抗性の人がいますし、何らかの理由で定期的に薬を服用できない人もいます。そこで開発されたのが、腎デナベーション(除神経)という手法で、血圧上昇に関係する腎動脈周囲の交感神経を焼灼します。

焼灼という言葉はあまり聞かないのですが、焼いて除去するという方法のようです。高血圧の原因はさまざまですが、そのひとつが交感神経の活性化といわれています。ストレスなどの何らかの理油で脳から腎臓に伝わる交感神経が活発になると、腎臓からレニンという酵素が過剰に分泌され、アンジオテンシンという物質が増加し、血管収縮や塩分排出量減少によって血圧を上昇させます。

一方血管収縮で心臓から腎臓への血流が減少し、交感神経が活発化してやはり血圧が上昇します。

腎デナベーションでは、大腿部あるいは手首からカテーテルを入れ、高周波や超音波で腎動脈周囲の交感神経を焼灼するものです。これまでの研究では、薬剤を3剤服用しても収縮期血圧(上の血圧)が160以上の人、いわゆる薬剤治療抵抗性高血圧を対象にした臨床試験があります。

シャム手術(見せかけの手術、プラセボのようなものです)を施行したグループと厳密に比較した場合、腎デナベーション群と血圧の低下度に有意な差は見られませんでした。しかし薬物治療が効きにくい早朝や夜間の血圧が有意に低下し、早朝、夜間ともにピーク時で約5低くなりました。

さらに睡眠時無呼吸症候群(SAS)による高血圧でも有意に低くなりました。これは早朝・夜間高血圧やSASは交感神経の活発化と関係が強いため、腎デナベーションが効くと考えられるようです。

また世界的には未治療の患者を対象にした臨床試験も実施されています。血圧が150以上で24時間血圧が140以上の人を対象に、日本、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアで行われています。

この研究では3か月後の24時間血圧の変化は、収縮期血圧が対照群より5有意に低下しました。血圧が5下がってもあまり意味がないような気がしますが、この低下度は臨床的には脳卒中や心不全の20~25%の低下に相当するようです。

こういった未治療の高血圧患者にも腎デナベーションの効果が確認できたことから、今後はどの段階でこの治療を取り入れればよいかを検討するようです。現時点での課題は、どの患者に効きどの患者に効かないかの見極めとしています。


「ヒートテック」はなぜ暖かい

2018-03-07 10:43:45 | その他
私も持っていますが、冬の定番の一つになっている「ヒートテック」の肌着がなぜ暖かいのか解説記事がありました。

私の感触では、ヒートテックは着たときはそれほど暖かいと感じませんが、着ているうちに気付くと確かにほかの肌着より暖かいような気がします。これは身体から発散される水蒸気が大きな役割を果たしているようです。

人間の体からは、常に水蒸気が発散されており、その量は汗を除いて成人男性では1日約550mlといわれています。

これを開発した東レとユニクロの開発者によると、使われているレーヨンにその秘密があるようです。身体から発散される水蒸気をレーヨンが吸着し、この水分子が動き回るうちに熱を発生するということです。またレーヨン自体にも発熱する性質があるため、ヒートテックは暖かくなるということのようです。

生地の温かさを保つための保温も重要で、この機能を担っているのがアクリル繊維ということでした。つまりヒートテックは、主にレーヨンで水蒸気により発熱し、アクリルで保温することによって肌着などの生地を暖かくしているのです。

このレーヨンは非常に古いもので、1900年代の初めに絹の良さを生かした繊維として開発されました。原料はパルプなどの材料となる木材で、このセルロースを特殊な方法によって紡糸し、絹の光沢と軟らかさを出したものとして作られていました。ですからレーヨンのことを人造絹糸とよび、ジンケンという名称も使われていたようです。

前述の東レも旧社名は東洋レーヨンで、このレーヨンの製造会社として発展したようです。私はこういった高分子化学はあまりよく分かりませんが、レーヨンの素材は棉や麻と同じセルロースですので、水蒸気の水分子が動き回って発熱するということは知りませんでした。化学的に見ても、どういうメカニズムが働くのかはよくわかりません。

レーヨンというのは大昔に流行った繊維で、その後の化学繊維の登場によってほとんど消え去ったものと認識していましたが、新たな製造法によってこの発熱という性質を発現させたのかもしれません。こういった高分子化学には面白い現象がいろいろ出て来るもののようです。

ヒートテックを着るときは、肌に直接つけた方が良いというのは、肌から出る水蒸気を十分に吸着させるためとしています。さらにゆったりしたサイズよりも、ジャストフィットのほうが、暖かさをより得られるとしています。

私がそれほど暖かいと感じなかったのは、この辺りの着方にも問題があったのかもしれません。