ごっとさんのブログ

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糖尿病の人工透析減らす試み

2018-03-05 10:48:04 | 健康・医療
高額な医療費がかかる人工透析を減らそうと、予備軍といえる糖尿病の患者を早めに見つけ、予防する取り組みが全国の市町村で始まっています。

糖尿病性腎症は、血糖値を下げるために必須なインスリンの副作用で生じると思っていましたので、予防できないものという感じでしたがそれなりに成果を上げているようです。

ここで例に挙げているのは愛媛県の人口35,000人の漁業を中心とした市ですが、ここは国民健康保険の医療費に占める糖尿病治療費の割合が高いようです。この市は市内の総合病院や地元の医師会と連携し、2012年度から特定健診(メタボ検診)や通院時の検査結果を集めて糖尿病患者すべての状態をデータベース化し、症状の進行度を把握して対策に生かしています。

糖尿病は腎症を合併することも多く、透析患者の4割は糖尿病性腎症が原因とされています。自覚症状がほとんどなく、気づいたときには重症化していることが多いようです。

この市では、腎機能の目安となる「eGFR」という数値について、3回以上の検査結果をもとに専用ソフトで低下率を計算し、その患者に透析が必要になる時期を予測し、それが5年以内である患者を対象として絞り込みます。

そして治療には血糖値を下げる薬を使いますが、単に血糖値を下げるだけでなく、腎臓を保護する効果も期待できるタイプを選びます。また保健指導では減塩が柱で、保健師が患者宅を訪問し、食事内容から塩分量を推定する方法などを指導します。

塩分の過剰摂取は腎症を悪化させ薬の効き目を弱めるため、1日6グラム未満を目標としています。

この市では、把握できた高リスク患者は、14年末で89人で、保健指導を受けた22人のうち、15~17年度のいずれかの時点で透析が必要になると予測された患者は16人でした。しかし、実際にそうなったのは17年末で4人に抑えられたそうです。

ここは比較的小さな市で、対象も少ないのでこういった取り組みができた可能性もありますし、人数が少ないため本当に効果が出たのか判断は難しいのかもしれません。

透析にかかる医療費は1人分で年500万円とされており、この取り組みにより、単純計算で1億円以上を減らすことができたことになります。人工透析の患者は30万人を超え、年間1.6兆円という莫大な医療費が費やされています。国民健康保険を運営する市町村にとって、糖尿病性腎症から透析に至る患者を減らす取り組みは最重要課題の一つです。

この手法を医療機関主導で行うケースも出てきているようです。愛媛大学では、県内27カ所の病院や診療所で、患者の検査結果から透析の高リスク患者を絞り込むという活動を行っています。

基本的には糖尿病性腎症を減らすより、糖尿病自身を減らすことが重要な気がしますが、これは難しい課題なのでしょう。