稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

剣道の素振りについての雑感あれこれ。

2018年12月18日 | 剣道・剣術
先日、剣道稽古の帰りに弟子から質問を受けた。
「先生、家で素振りをするんですが、竹刀を2本握ってする素振りと、
重りを竹刀に付けてする素振りとどちらが良いですか?」という内容。

実は両方ともあまり経験した事が無いので自信のある回答は出来なかった。

2本の竹刀を一緒に振るのは太過ぎて手の内が変わると思う。
先だけ重いものを振るのは振る時のバランスが狂うと思う。
思うが実際はどうかわからない。
「素振りは振り負けない程度のものを振ると良い」とだけ答えた。

実は自宅には素振り用の木刀が3種類ある。
八角型、櫂型、太くて長いもの(小次郎型?)。
強くなりたいと毎晩庭に出て振っていた頃もあったが長続きしない。
いつも使う竹刀とかけ離れているので違和感もある。

重い物を振ったほうが良いという意見と、
軽い物をブレないように速く振ったほうが良いという意見がある。
どちらも正しいと思う。

剣道は腕力で行うわけでは無いので腕力だけ鍛えても意味は無い。
腕力を付けるとスピードが遅くなるということも良く聞く話だ。

仕事柄、時折り素振り用の木刀を頼まれて作ることもある。
特注品で、5キロ前後の六角型の依頼が多かったが、
一番重いものは10キロの角型木刀で重さは10キロをはるかに越えていた。
170センチもあり、これはさすがに柄を握って持ち上げ構えることが出来ない。


(とんぼ堂で製作した素振り用の特大木刀のメモ)


(同じ時期に製作した六角形タイプのメモ)


(上の実物写真)

しかしながら道具に凝っても仕方が無いと思う。
何万円もする異常な重さの素振り用木刀を作るなら、
ホームセンターで売っている角材や鋼材を振れば良いのだ。

弟子に言った「振り負けない」は大事なことだと思う。
振り負ける重さのものを振るとどこかに無理が生じてしまう。
私も二刀をやっていた時に、暇があれば片手で重い小太刀を振り続け、
いわゆる「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」になって1年近く苦しんだことがある。
無理をして良いことは何も無い。

経験上、ほんの少し負荷をかけるのが良いと思う。
物は、いつも使っている竹刀に近い形状が一番良いのでは無いだろうか?

11月29日の木曜会(誠先生の剣道教室)で面白いものを見せてもらった。
トレーニング関係の仕事をしているらしいK川さんが持ってきたもので、竹刀の先に、
適当に切り取ったホワイトボードをタイラップ(結束バンド)で縛り付けてあるだけ。


(三角形のボードを取り付けたもの)


(少し大きな四角形のボードを取り付けたもの)


(風の抵抗で刃筋が狂うと真っすぐに振れない)

予想外の抵抗があって、連続して素振りするとけっこう疲れる。
そして少しでも刃筋が狂うと真っすぐに振れないので手の内の修正にもなる。

さっそく、余っている竹刀に、廃材のダンボールを付けてみた。
廃材利用で少し小さめだが立派に抵抗になっている。
ボードの位置や大きさ、形を変えてみると素振りの効果も変わると思う。


(37の竹刀に硬めのダンボールをタイラップで止めてみた)


(タイラップは、竹刀側で止めると固定しやすい)


(裏側はこんな感じ)

素振りについては随分ながい間、いい加減にしてきたし、
いまも一生懸命やっているわけでは無いので偉そうなことは言えない。

紹介すると、自分がやっている素振りは、家の中で振れる短い木刀
(全長65センチ、重さ560グラム、一刀流木刀の折れた物を再利用)を使って、
足幅大きく、体幹や体軸がブレないように、大きく振り上げ振り下ろす前進後退の素振りである。
摺りかぶりの素振りとともに回数は多くない。思い出したように時々するだけ。しない時もある。

師匠からは「八段目指すなら毎日200本」とは言われている。
まったく出来ていないのは、自分の心の弱さなのである。

だから素振りについては雑感に留めておく。
何かの参考になれば幸いである。
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