田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

懐かしの京都東山を歩く(中)

2016年11月13日 | 京都

 銀閣寺橋まで来ました。坂道の両側にはお店が並んでいます。大学の2回生か3回生の頃、ここで番傘を買ったことがあります。土産物にしては丈夫で長持ちしました。それ以来、雨の日には番傘を差し下駄履きで東山や北白川近辺を歩き回りました。

 和傘の特徴は和紙を透過する柔らかい光と植物油の匂い、そしてバタバタという雨音です。就職して郷里に帰りだいぶ経ってから、近くのホームセンターで台湾製の安い番傘を見つけ懐かしくて買い求めました。しかし一、二度番傘を差して歩きましたが止めました。私が住む住宅街の風景とは異質で似合いませんし、好奇の目で見られているようです。張ってある傘紙も直に破れました。

 銀閣寺橋からみた琵琶湖疎水の分線と哲学の道です。今は沿道に洒落たカフェなどが出来ています。白川は北から南へと流れて行きますが、疎水は南から北へ流れてきます。

  銀閣寺の中門に至る銀閣寺垣です。今日は拝観せず総門前から小路を法然院の方へ歩きます。

 銀閣寺から来るとこちらの裏坂が近道になります。左手には背の高い藪椿が生い茂り、3月下旬には見事な赤い椿の群れを見ることが出来ます。この日は快晴で、百万遍から銀閣寺まで歩いたら汗をかきました。しかし法然院では日差しが木立に遮られていて陰になっており、汗が引いて寒さを覚えてきました。

 いつも写真で紹介される山門です。昔ここに来た時は、初めて見る「不許葷辛酒肉入山門」の石柱が印象的でした。

  本堂の階段に座って地蔵菩薩像を見ています。50年近く前、法然院に来てはここに座ってぼんやりとしていました。私は思索をめぐらす様な哲学的思考は持ち合わせていませんが、大学を出て自分はどういう人生を送るのだろうと考えていました。法然院の墓地には著名な先哲が葬られており、学生として彼らの業績も脳裏に去来していました。その時はこれからの人生は長く、そしてまだ目標も何もありませんでした。

 あれから半世紀が経ったいま、体のあちこちには故障が出始め、幼いころ抱っこをせがんでいた上の孫は少年になろうとしています。この日は本堂に座り、学生の時からこれまでの人生の過ぎ越しかたについて物思いにふけっていました。 

 そうこうしていたら、外国人観光客が本堂の階段に土足で上がりました。若い時はそんな場合も見過ごしていましたが、この日は我慢できず注意しました。はて自分に分別が出来たのか、こらえ性が無くなったのか。

  別の拝観者がじっと池を見ています。鯉を見ているのでしょうか。 白砂壇にはまだ模様は描かれていませんでした。

  法然院を後にする前に山門を振り返ります。いつか又ここに来たいと思います。 

 少し下って哲学の道に来ました。この道を良く散策しました。普段は南禅寺まで行き、そこから岡崎公園に抜けていました。春は桜並木が美しいです。左手に屋敷の塀がありますが、会社や団体の所有なのか、個人の邸宅なのか分かりません。京都では町のはずれに時々こういう大きな屋敷を見掛けます。

  橋を渡っているのはノートルダムの生徒たちでしょう。 

  さらに鹿ケ谷通りまで下りました。疲れたのでバス停を探しましたが分かりません。歩いて永観堂に来ました。先の場所からそう遠くはありませんでした。

 永観堂は紅葉が始まろうとしています。学生の時にここでアルバイトをしたことがあります。着物の反物の展示会でした。仕事の中身は時々反物を運ぶくらいで、弁当も付き良いアルバイトでした。庭が美しかったですね。

 右手の塀の向こうには放生池と茶屋がありました。今は塀の入り口は閉鎖されていますが、当時は無料で入れたように思います。いつの日でしたか、池の畔を歩いていると一番奥で若い男女が抱き合ってキスをしているのを目撃して吃驚しました。慌てて引き返し永観堂を出て歩いていると、さっきのカップルが後ろを歩いて来ます。焦って早足になりました。まだ若く初心でした。

 南禅寺まで来ました。お決まりの三門です。ここにもよく来ました。学生ですから拝観料が要るところには入りません。ここまで歩いて来て足がくたびれてしまい、階段で一休みです。年を取ったことを実感せざるを得ません。学生の時には更に清水寺まで足を延ばすこともありました。 

 南禅寺に来ると水路閣を見ない訳にはいけません。ここは映画の撮影スポットにもなっています。しかしこの日は足に自信がなかったので、上の水路には上がりませんでした。

 

 この後、岡崎公園に回りました。南禅寺からバス停までは遠く、結局岡崎まで歩くことになりました。

 この記事は続きます。

 

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6 コメント

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京都で学生時代を (takezii)
2016-11-13 09:19:30
過ごされたんですね。
番傘、下駄で 闊歩。
そんな世界 若かりし頃、羨望いていた類です。
変わった所、変わらない所、懐かしい所、青春の思い出がいっぱい有って いいですね。
私の訪れたい地 No.1の京都、
九州様の情報、参考にさせていただきます。
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Unknown (ビオラ)
2016-11-13 09:40:12
初めまして、ティーガーデンのビオラです。

昭和な関西出身の者です^^
今は神奈川県に住んでいますが、年に1~2度ほど帰省しています。

親戚の人が、蹴上で喫茶店をしていまして、この辺りは、広範囲に渡って、懐かしい場所です。

この夏は、烏丸御池や錦市場辺りに友人と行ったりしましたが、古きも新しきも、京都はいつ行っても素敵だなと思います~♪
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Unknown (京都で定年後生活)
2016-11-13 14:42:48
こんにちは
ひさしぶりの京都の街はいかがでしたでしょうか。
京都の街は大きく変わったところもありますが、昔とほとんど変わらない景色も多いと思います。
歩かれると昔の記憶が蘇りますね。
銀閣寺から法然院、永観堂、南禅寺、岡崎は私の散策コースになっています。
今の時期哲学の道は空いていますが、桜のときは大変です。
法然院は以前とほとんど変わっていないのではないでしょうか。
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takezii様 (九州より)
2016-11-13 18:33:11
今晩は。
京都には和傘が良く似合います。
郷里に帰って番傘を差してみたら、町の風景とは不釣り合いでした。
若い時は家でも下駄をはいていましたが、今は見ないですね。値段もも高くなり、普段履きには出来ません。
翌日は嵯峨野を逍遥しようと思っていましたが、体調不良で取り止めました。
次回はゆっくりと回りたいです。
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ビオラ様 (九州より)
2016-11-13 18:36:48
コメント有難うございます。
京都もお洒落な店が増えて、新しい魅力が生まれていますね。
公共文化施設もリニューアルされているようです。
青春時代を一時期過ごしただけですが、京都の魅力は尽きません。
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京都で定年後生活様 (九州より)
2016-11-13 18:46:28
今晩は。
今回は昔歩いた道を歩いてみようと思い立ちました。
老体には少々強行軍でしたが、懐かしい時間を過ごしました。
法然院は墓地が少し変わっていましたが、ほぼ以前のままでした。
社会人になってからも、何度か法然院には行きましたが、ここに来ると何故か人生について思いを致すのです。
京都は町の風景は変わりませんが、よく見ると公共施設が新しい文化施設にリニューアルされたりしています。
そういう意味では日々、街が新陳代謝されているともいえます。
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