田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

子日の松の奉納神事

2020年06月08日 | 日々の出来事

 だいぶ前のことになります。2月下旬に「子日の松」神事が行われました。この神事は太古の昔、上津荒木地区にある松を、高良の神のために高良山に植えたという言い伝えによります。毎年、上津町本山地区から松の苗を高良大社に奉納し植樹する伝統行事で、鎌倉時代に始まったとされています。中世末の「高良社縁起」には白装束の3人が松の苗を木箱で運ぶ様子が描かれており、縁起には「子日松」と「上津荒木」という文字が見えます。

 この奉納神事は明治2年で途絶えていましたが、20年前に再興されました。今では地元の町が持ち回りで当番を務めています。当日の朝は、本山地区にある上津天満宮で出立祭の神事が行われました。ここから出発します。

 高良山に行く前に当番町の地元を太鼓を打ち鳴らして祭列が練り歩きます。

 今年から負担軽減のために行事が簡素化されました。下の写真は4年前のものです。以前は奉仕者は雑色の装束を着ていました。人数が多いと、この着付けがなかなか大変なのです。白い靴は山の上まで参道を登るので高良大社からの支給品です。今年からは装束を止め、半纏を羽織ることになりました。奉仕者の人数も減らし、奉納する松苗も少なくなりました。

 松苗を運ぶ籠と幟をもった行列が歩きます。昨年までは2月初旬の一番寒い時期に行われていました。私も奉仕者役を頼まれたことがあります。しかし山道の参道を、真冬に雑色の装束で登る自信がなかったので断りました。今年は服装も自由になり防寒着を着ても良いとのことなので、奉仕者として参加しました。実際は幟旗をもって少しばかり歩いただけです。

 以前は麓の門前町から松苗を担いで参道を登っていましたが、今年は山の上までバスで移動しました。高良大社の下で地元奉賛会の出迎えを受けた後、下向坂を登ります。年によっては雪や雨の日もあるので、ずいぶん楽になりました。

 高良大社に来ました。

 子日の松奉納奉告祭を執り行ってお祓いを受けます。

 大社から、さらに植樹場所の本宮山まで登ります。

 ここに植樹します。20年前に植えた松はだいぶ大きくなっています。

 

 最後に奉献所役の子どもたちが松ゆかりの歌を奏上して神事は終わります。ちょうどお昼時。このあとは大社で直会です。 

 松の生命力にあやかって子の日に松を引く風習は、古く平安時代からあるようです。この行事もそこに由来しているのかもしれません。

 

 

 

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