田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

病院通いと五木寛之の養生

2024年09月21日 | 話の小箱
 今月は二週続けて病院通いだった。だいぶ前から経過観察とやらで定期的に幾つかの診療科目に通っている。この歳になれば普通なのかもしれないが、やれやれである。カレンダーに予定が入っているのは受診日だけというシルバー川柳があったような気がするが、私も似たようなものだ。それにレンタルビデオの返却日の書き込みが加わるくらい。  振り返れば子どものころから医者とは長い付き合いである。一番古い思い出は歯医者に . . . 本文を読む
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小林秀雄の「花見」 弘前城の桜

2024年04月30日 | 話の小箱
 先週に昔、青森県の弘前市へ行ったエピソードを投稿した。弘前公園の桜もそろそろ終盤ではないだろうか。たまたま昨日、小林秀雄の本を読んでいたら、「花見」という題の随筆に弘前城の桜の話が出ていた。少し紹介したい。  昭和39年、小林が文藝春秋社の講演会で弘前を訪れた時のことである。当時、文藝春秋では数人の作家を一組にして、各地で文化講演会を開催していた。講演を好まない作家でも、文士仲間との講演旅行で . . . 本文を読む
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孫息子の旅と人生の旅

2023年09月16日 | 話の小箱
 夏休みの終わり、高2の孫息子が友人と横浜へ旅行した。誰かのライブを観に新幹線で往復しただけである。それでも彼にとっては自分だけで行く初めての旅だ。母親に土産は不要と言って少しばかりの餞別をことづけた。その夜、本人から御礼の電話があり、楽しんでおいでと返事して土産はいらないよと言い添えた。  中学生の時、父の故郷に一人で行ったことがある。だが自分の力で実行した初めての一人旅は高1の終わりの春休み . . . 本文を読む
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谷内六郎の「週刊新潮」表紙絵

2023年08月17日 | 話の小箱
 先月の「週刊新潮」で横尾忠則が谷内六郎との交流を書いていた。サイケデリックな前衛画風で知られる彼と童詩画の谷内との取り合わせは奇異ではあるが、二人は家が近くで親しく行き来していたそうである。家の本棚に谷内の小さな画集があった。  「谷内六郎展覧会」 新潮文庫。   文庫のカバー絵は昭和31年発行の「週刊新潮」創刊号の表紙を飾ったものである。題して「上總の町は貨車の列 火の見の高さに海があ . . . 本文を読む
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「男の台所」は

2023年06月02日 | 話の小箱
 5年前に一人暮らしを始めた時から、メリハリのある生活をしようと心がけている。まずは食生活からと台所に立ち、栄養バランスも考えて食事をきちんと摂ることにした。スーパーの弁当や店屋物には頼らない。そうはいっても、結婚してこの方料理の経験がないので、彩り豊かな食卓とは縁遠い。  数日前のこと。衣替えをしようと押し入れを整理していたら、こんな雑誌が出てきた。NHKの料理番組テキストで平成12年11月号 . . . 本文を読む
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軽食喫茶のナポリタンを

2022年12月18日 | 話の小箱
 以前は「軽食喫茶」の看板を出している店がよくあった。街歩きの途中に一休みしたり、お腹がすいたら食事も出来る便利な存在だった。昼時にはサラリーマンのほか、現場の作業服姿もよく見かけた。  メニューは文字通り軽食であって、間違ってもビフテキやフレンチは出てこない。定番はトーストやサンドウィッチのほか、カレーライスやチキンライスなど。そして麺類では何といってもナポリタンにつきる。知らなかったが、イタ . . . 本文を読む
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最後の1ミリまであきらめない

2022年12月08日 | 話の小箱
 「新しい景色」にはあと一歩届かなかったが、ちょっぴり夢を見させてもらった。  私はサッカーの生中継は観ない。このスポーツが嫌いというのではなく、神経が昂り寝つきが悪くなるからだ。興奮すると血圧にもよろしくない。結果がわかってから試合の再放送があれば観ることにしている。それに、ふだんテレビ自体ほとんど見ない。  ドイツ戦の時も、多分負けるだろうから翌朝にでも結果が分かればよいと思っていた。朝、 . . . 本文を読む
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ワクチン接種の向こう側に

2022年02月24日 | 話の小箱
 3回目のワクチンを接種して2週間が過ぎた。今年の冬は長く、コロナ感染者も急増していて好きなドライブも控えている。週末からは暖かくなるそうだ。そろそろ海を見に鹿島あたりまで足をのばしたい。  ところで。ワクチン接種は個別ではなく、今回も総合体育館で集団接種を受けることにした。寒い日、当日は受付で整理券をもらい控室のサブアリーナに案内された。早期の高齢者枠なので、当たり前だが椅子に座っているのは皆 . . . 本文を読む
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「ビッグコミック」とメルケル首相

2021年09月06日 | 話の小箱
 居間の小さなマガジンラックに一冊の漫画雑誌がある。今年の3月に買い、読み終えても捨てずにいた。名前は「ビッグコミック」   あれは大学の3回生の時だったと思う。銀閣寺道停留所で市電を降り、下宿に帰ろうとして、前の煙草屋で何気なく手にしたのがこの雑誌との出会いである。創刊して数年たったころで、当時は手塚治虫、石森章太郎、白土三平、水木しげる、さいとう・たかお等の錚々たる漫画家が寄稿していた。青年 . . . 本文を読む
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夕立は馬の背を分ける

2018年08月05日 | 話の小箱
 夕立は夏の季語。歳時記には、夏の夕方に降る局地的な激しい雨とある。短時間で雨は上がり、涼しい風が吹いてくる。  子どもの頃、夏休みに外で遊んでいると、よく夕立に降られたものである。神社の境内で草野球をしていた時には、楼門の下で雨宿りをした。みんなで肩を寄せ合っていると、大粒の雨に打たれて舞い上がった、生暖かい土埃の匂いがした。  就職して何年目だったろうか。まだ週休二日ではなかった、ある夏の . . . 本文を読む
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