渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

今夜も西部劇 映画『続・荒野の用心棒』(1966)

2022年01月21日 | open


『続・荒野の用心棒』(1966)

史上最低のマカロニウエスタン。
大嫌いな作だが、我慢して最後
までまた観てみた。
やはり最底だった。
登場人物のキャラクタ、物語の
幼稚さ、表現描写の出鱈目さで
天下一品だ。
6連発から何十発も弾が出るのは
この作品からなのでは。
また、ベルト式ガトリングガン
風のマシンガンも一切ベルトは
動かない。
最後は、痛めつけられて両手を
潰されたジャンゴがピースメーカー
のトリガーガードを歯で食いちぎっ
て(笑)、銃を
十字架に掛けて構
える。

そして襲ってきた敵6名に対し、
6連発リボルバーから7発連射して
敵をなぎ倒して、おしまい。




銃から何発も出たり、機関銃の
ベルト弾帯がまったく
動いて
いないのはまだ
いいとして(てん
でよくないが)、
ストーリーが
あまりにも幼稚すぎて、全く
登場
人物の誰一人にも感情移入

できない。

今回我慢して最後まで観たが
(これまでラストまで観たのは
3度目)、やはり、
これほど史上
最低の西部劇が世の中
あるのか、
という程の作だ。

かろうじて良いのはテーマ曲のみ。
私は1973年夏休み中のNETの土曜
映画劇場で
本作を初めて観たが、
あまりの出鱈目
さに友人たちの間
で翌日は話題もちきり
だった。
「観たかよ?」「観た観た。何だよ

あれ。ひでえな」という具合で。
その後の劇画「ドーベルマン刑事」
で主人公がシングルアクション
マグナムリボルバーをスイング
アウト(弾倉輪胴が横に開くタイプ)
させた時のように『続・荒野の
用心棒』が放映された時は仲間内
では大騒ぎ
になった。
描写表現の出鱈目キテレツが人知
を超えているからだ。
どれくらいの出鱈目度合かという
と、仮に
例えるならば、リボルバー
(回転式拳銃)の
銃を撃ったら
空薬莢がポンポン
と排莢されて
砂の地面に落ちて
チンチンと音
がする映像、と
いう位の出鱈目さ。

だが、この作品、スペイン語圏
ではマカロニウエスタンという
枠を超えて西部劇の
代名詞のよう
に人気があるのだそうだ

スペイン人とペルー人が言ってた。
まじか。


同名異作としては、『スキヤキ
ウエスタン ジャンゴ』(2007
/日本)のほうが遥かに面白い。


また『ジャンゴ 繋がれざる者』
(2012/米)は超良作だ。
アカデミー賞5部門ノミネート。
そのうち脚本賞と助演男優賞を
受賞した。
賞金稼ぎを演じたクリストフ・
ヴァルツはタランティーノ監督
の前作の名作『イングロリアス・
バスターズ』に次いで連続で
オスカー助演男優賞を受賞した。
これは同じ原題がジャンゴでも
西部劇というジャンルに縛られ
ない素晴らしい名作映画
だ。
テーマも深い。



フランコ・ネロの映画『続・荒野
の用心棒(原題ジャンゴ)』

かろうじて良いのはテーマ曲のみだ。

これガチ。テーマ曲のみが秀逸。
あとは映画としても西部劇としても
物語としても、しどいに尽きる。

『ジャンゴ 繋がれざる者』では、

ディカプリオが快心のとてつもない
演技を見せる
も惜しくもオスカー
は逃した。

この作品、監督のタランティーノ
がオタクだからか、出てくる銃器、
および被服はビシッと時代考証が
完璧になされている。隙無し。
これは『イングロリアス・バスタ

ーズ』でもそうだった。
ちなみに『スキヤキウエスタン 
ジャンゴ』では、タランティーノ
は友情出演で南部出身のガンマン
の役で短い時間のみ出演している。
『ジャンゴ 繋がれざる者』では、
タランティーノは間抜けな護送車
護衛の役で自作映画にカメオ出演
している。
タランティーノはダイナマイトで
ジャンゴ
に爆殺される。
当然、物語のプロセスは違うが、

1965年のゴダール監督の『気狂い
ピエロ』へのオマージュだ。
そして、ゴダールは『気狂いピエロ』
の海のシーンで日本の溝口健二監督
の『山椒大夫』へのオマージュ

映像で表現していた。
時代を超える敬意の連鎖。

いやぁ、映画って、ほんと面白い
ですね。


この記事についてブログを書く
« キャンプで肉 | トップ | 海見てラーメン »