
写真は神農像です。漢方薬の神様です。この像は国鉄の神田駅から歩いてすぐの湯島聖堂に祭られています。しかし、実物を拝めるのは毎年11月の23日の神農祭のときだけです。この写真はそこで売られている絵葉書のそれです。
湯島聖堂
http://www.seido.or.jp/
この神農さんは古代に薬草を体で見極めるために、常にあらゆる薬草を口にして、自分に起きた作用、或は副作用をつぶさに観察して、漢方医学を体系付けていったと伝えられています。
そのせいで角が生えてきたとか、体にうろこができたとか、いろいろな伝説が伝わっています。
私は学校の生徒たちに、漢方薬も鍼もお灸も必ず自分で試して見なさいと、口をすっぱくして伝えています。
「鍼は痛いし、お灸は熱いし、漢方薬はにげーからなあ。。。自分でやるのはやだよ。。。なんていっていると、せっかく大学院を出て、鍼灸漢方医学の免許をとっても、怪しいねずみ講のサプリメントのマルチビジネス屋さんになっちゃうよ!」とはっぱをかけています。
江ノ島には江戸時代の鍼の聖人 杉山和一検校のお墓と、この杉山医師がつまづいて転んだことで、鍼管(しんかん)という今でも全世界で使われている、鍼灸治療の際に必要な管を発明するに至った「石」が祭られています。
このいしは「福石」というパワースポットしても知られています。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~matuda/sugiyama.html
私は日本に行ったときは、この湯島聖堂、江ノ島そして、東京の江島杉山神社を詣でます。
東洋医学の専門家は、患者さんに出す漢方薬は必ず自分でも服用して、様子を見ることによって、初めて自信を持って質問に答えることができます。
昨今、グーグルなどの検索が充実してきたのは、大変よろしいのですが、その内容によっては、患者さんたちにいらぬ誤解や、心配を招く内容も多いものです。ネット検索で紹介されている文章の中には、責任の所在がわからないものも多いので、しっかりと見極めることが大切です。
先日も、葛根湯関連の記事を検索していて、下記のような説明不足な記事を見つけました。
漢方薬飲むなら、風邪の前に、二日酔いの五苓散ですよ!胃が弱ってるのに葛根湯飲むなんて危険です(+_+)
一般の方がこれを読むと、「自分は胃腸が弱いから葛根湯は危険なんだ!」という思い込みが発生してしまいます。
重湯やお粥と併用したりすることにより、まったく危険はありません。
また、カゼもそのステージが変ったら、葛根湯の段階ではなくなり、小柴胡湯(しょうさいことう)や越婢湯(えっぴとう)など、まったく異なる漢方方剤のほうがよいこともあります。
一つの型にはまらないところが漢方医学の魅力です。