満開の桜並木、雨で散る前にゆっくり見ておこうと思い、反対側から降りていくことにした。並木道の少し手前
に、桜の花が落ちていた。誰かが花を取って捨てたのだろうなと思い、拾ってミニボトルに挿そうと思った。か
がんでみると、その花は、地面から5センチぐらい伸びている若い枝に咲いている桜だった。もうほとんど花びら
が地面にくっついていて、そこに新しい枝があるなんて全く分からない状態だ。眼を凝らすと土の中に太い根っ
この盛り上がりが見えた。ああ、ここから伸びていたんだ。桜の幹から短く枝を伸ばして花をつけるかわいらし
い桜花にはたびたび出会うが、こんな地面の花は初めてだった。
ソメイヨシノの寿命は余り長くないと聞く。アトリエ横の桜並木でも枯れてる樹が何本かある。そんななか、こ
んな世代交代も行われているのだ。下を向いて歩きがちな人(?)にしか見つからない花だとは思うが、摘み取
られないで、無事に成長していってほしい。あれから、気になってずっと回り道しながら、この花の存在を確か
めている。今日は今からアトリエだ。また、花の横を通ろうと思っている。仕事は、個展の追い込み中の追い込
みだけど、今年の桜があるうちは、花に会いたい。
フォト 2016