画集出版からほぼ1年近く経った。2階の部屋の隅に幾つも幾つも置かれていた大きな紙袋。画集の校正原稿や、
出版社とのやりとりの書類、また、どんな画集を作ったらいいのかわからないまま、B5の無地ノートを本に見立て
絵のカラーコピーを切り貼りしたものやら色々詰め込んでいた。それらの出版に関わるもの一切を整理する気が全
くおきなかった。どちらかというと見たくない。よほどきつかったのだと思う。地元神戸での新作個展の作品制作
を続けながら、同時進行で画集を作ったこと。体調の悪さも未だ尾をひいている。 最近、気分の良い時に袋の中
身を一気に片付けた。校正原稿は最終のものを除いて捨てた。連絡文書も捨てた。B5のノートもそのまま捨てよう
と思ったが、ちょっとなかをめくった。ウッと思った。1年前の思いが立ち昇った。そのまま捨てられないものが
ある。そうだ、消しゴムで消してしまおう。各ページに書かれている鉛筆書きの絵のタイトルをゴシゴシと消し始
めた。それにしても消えない消しゴムだ。疲れてしまって最後はページを破った。B5のノートは白紙のページを残
したまま引き出しにしまわれた。
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