イタリアのなす、ロッソビアンコに、産地直送の野菜販売所で出会った。といっても、イタリアから輸入したものでなく神戸近郊で穫れたもの。
大きさは米なすくらい。丸っこくてかわいい。色の美しさに引かれて手に取った。日本のなすの『茄子紺』とは違う明るく赤みを含んだ紫。紫と
黄色みを帯びた白が、コラボのように洒落た皮。ヘタは先端が外へ反り返り、まるで外国の王様の髪型。ヘタの明るいグリーンもかなり、素敵な
ヨーロッパの色。
一個買って帰った。デジカメで艶々とした表皮に映る、光や、紫の濃淡の美しさを撮ろうと思い、テーブルに置いていたら、いつのまにか流しの
脇に移っている。待って!といいながらあわてて袋にしまった。これは、洗ってもらったらマズい。
次の日、アトリエで色鉛筆とクレヨンでスケッチを何枚もした。見れば見るほど、美しいなすだ。自然にできた小さな黄色の形が、紫のバックの
小花の造形のようだ。結局、二日にわたってアトリエでスケッチ。家族は、天ぷらにしてほしいとか、一体いつ食べられるの?とか、いろいろ、
騒がしく言っている。無視をして、スケッチ、を、した。
もう皮はところどころしなびてきていたが、今日の夕食に、なすステーキにして食卓に出した。やはり、イタリア。クリーミーな味わいといわれ
るとおりのこくと深み、主役になりそうな存在だ。
写真に撮ったり、何回もスケッチしたり、ロッソビアンコも疲れたかもしれない。でも、いただけて、美味しくて、鮮度も持ちこたえてくれて、
ほんとうにありがとう。
フォト 2015